麻布「文家」でタッカンマリコース。

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毎日のようにこれだけ韓国料理ばかり食べていると、
1年の締めくくりに何を食べるか、悩んでしまったりもします。
たかが1食。されど1食。フィナーレを飾る店をどこにしようか。
そう考えると、今年はコチラの店にこれたので幸せでした。

麻布の奥まった路地にある昭和時代の古長屋。
タイムスリップしたかのような錯覚とともに、
手間と精緻の韓国料理を味わえる「文家」です。

韓国の宮中飲食研究院などで学んだ料理研究家、
な・すんじゃ先生が料理長を勤めていることでも有名な店。
料理のひとつひとつに手作り感があふれています。

ちなみにこの日は某出版社の方々との会食。
忘年会的な集まりでもあり、来期に向けた企画会議でもあり。
美味しい料理をつつきながら、もろもろ盛り上がりました。

料理はアラカルトでも注文できるのですが、
ある程度の人数が集まっていたのでコースで注文。
名物のタッカンマリ(鶏1羽鍋)を中心として、
1人5000円(ドリンク別)のコースを組み立ててもらいました。
やや値段は張りますが、それだけの価値は確実にあります。

冒頭の写真は、まず1品目として出された前菜3種盛り。

左が干した白菜のナムル、中央はカリッと炒めた芝エビ、
右が白菜のチョナムル。チョは酢という意味なので酢ナムル。
通常のナムルにちょっと酸味を加えた模様です。
白菜を2種使いつつ、食感も味も変えてあるあたりがさすがです。

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キムチ3種盛りは白菜、大根、キュウリの定番から。
キムチやナムルはアラカルトメニューを見ると、
季節ごとにさまざまな野菜を用いて作られています。

セロリのキムチや、ゴボウのキムチ、春先に行ったときは、
ノビルのキムチというのもメニューに並んでいました。

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手前が緑豆のムク、奥がドングリのムク。
韓国語でいうならチョンポムクとトトリムクですね。
ムクというのは素材のデンプン質をゼリー状に固めたもの。
プリッとした独特の食感と素朴な味わいを楽しむ料理です。

たいていの店では既製品を使って作りますが、
こちらの店ではしっかりと手作りで作っているとか。
酢醤油風の薬味ダレで頂きます。

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あっさりと上品な味わいのチャプチェ(春雨炒め)。
炒めている感じがないので、和えるタイプのチャプチェでしょう。
食材のひとつひとつに下味をつけ、最後に全体を和えるのが、
もともとの正しいチャプチェの作り方だといいます。

ただ、僕も家でそのように作ったことがありますが、
手間ばかりかかるので、結局は全体を炒めたほうが楽。
いわゆる家庭料理として出てくるチャプチェはみんな炒めています。
どうしてもすべての素材が画一的な味になりますけどね。

手間をかけても素材ひとつひとつの味にこだわるのが、
和えるタイプのチャプチェを作る意義だと思います。

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オジンオフェ。イカを刺身にして野菜と和えています。
かかっているソースはチョコチュジャン(唐辛子酢味噌)風。

新鮮なイカの刺身も甘くて美味しかったのですが、
一緒に和えられているセリの香りに驚きました。
食べながら、「このセリはすごい!」との声があがったり。

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キムチジョン。キムチを具にしたチヂミです。
これもいい油を使っているんだろうな、という軽やかな味わい。

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さて、メイン料理の登場です。
この日は岩手県産の丸鶏を使用したタッカンマリ。
場合によって鳥取産なども使用されるそうです。

じっくり煮込まれた鶏肉はしっとりと柔らかく、
スープは薄味でありながら、鶏の味が最大限に生きています。

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煮えた状態で出てきますが、テーブルでいったん火にかけ、
ほどよいタイミングで店員さんがカットしてくれます。

韓国だったら間違いなくハサミでジョキジョキですが、
フォークとナイフが出てくるあたりは、日本的な上品さですね。

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食べやすい大きさにカットされたのがコチラ。
だいたい1鍋で3~4人分はあります。
女性3人だとけっこう頑張って食べるくらいの量でしたね。

味付けは塩コショウ、塩ゴマ油、薬味醤油の3種。
いずれも鶏本来の味がわかるシンプルな調味料です。

ていうか鶏だけでも充分に美味しいんですけどね。
味付けなしで食べても美味しいというのは鶏のよさでしょう。
鶏肉もスープもまずは味付けなしで食べてみてください。
その上で塩なりを加えると、より味の輪郭がくっきりと。

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タッカンマリとセットで出てくる野菜類。
アラカルトのときは、別注文になるそうなのでご注意を。

これも日によって少しずつ変わるのだと思いますが、
マイタケ、大根、春菊、シメジ、セリ、韓国餅……。
だったかな。ちょっと曖昧かもしれません。

鶏肉をある程度食べて鍋にスペースができたら、
この野菜を入れて、さらに味わいます。

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残ったスープはごはんを入れて雑炊にしてもらえます。
これだけ鶏のうまみが出ていると、スープ1滴でももったいない。
このあたりではすでにお腹がいっぱいになっておりますが、
もったいないので、ごはん粒をさらうようにして頂きます。

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デザートは手作りの甘酒でした。
韓国式のシッケではなく、日本式のいわゆる甘酒。
ショウガの香りがきいており、すするだけでほわっと暖まります。
最後にこれを飲み干して、この日のコースは終了。
居心地のよさに、閉店時間までのんびりしてしまいました。

といったところで今年の韓食日記は終了。
実際に書いているのは新年明けてからなのですが、
来年も「韓食日記」を宜しくお願い致します。

店名:文家(むんが)
住所:東京都港区元麻布3-10-8山水荘808号
電話:03-3408-6055
営業:17:00~23:00
定休:日曜日
http://moon-ga.com/

※この店は『東京 本気の韓国料理店』のP87にも紹介されています。

<過去の関連日記>
(04月05日)麻布「文家」で宮中風家庭料理。



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