『東京 本気の韓国料理店』は無事発売になりました。
アマゾンの順位でも3ケタ台を記録するなど滑り出しは順調です。
いくつか書店も回りましたが、いい位置に平積みされているようで。
最初が大事なので、どんどん売れて欲しいところです。
東京にあるおすすめの韓国料理店が180店舗。
これだけの韓国料理店情報を載せた本は初めてでしょうが、
実はギリギリで掲載が見送られた幻の181店舗目があります。
それが銀座にある「韓国薬膳はいやく」。
取材にも行き、原稿も書き、載せる予定で進んでいたのですが、
なんとも残念なことに、今月末をもって閉店になるそうです。
お店の方から連絡を頂いたときは、正直愕然としました。
韓国料理店のガイドブックだけに、土壇場での閉店は覚悟していましたが、
話を聞いたときは、まさかこの店が、という気分でしたね……。
リピーターも多く、客足も順調と聞いていましたし。
これまでにも取材させて頂き、思い入れのあった店だけに残念です。
スタッフ一同、その閉店があまりにも残念だったため、
コラムの中などに、少しずつ「韓国薬膳はいやく」の写真を使いました。
記事として載せることはできなかったものの、確かに取材しましたと。
ここは確かに僕らが載せたかった、いい韓国料理店のひとつであると。
そんな主張を込めて。
なので公には180店舗紹介の本ですが、心情的には181店舗。
そんな気持ちとともに、この日は個人的に足を運んできました。
いままでランチや、取材としては料理を頂いていたものの、
行こう行こうと思いつつ、ディナーを楽しんだことはありませんでした。
もっと早く来ればよかったと後悔しつつ、自慢の料理を味わってきました。
注文したのは自慢のサムゲタンを中心としたコース。
土曜日の夜というのもあるのでしょうが、客席はいっぱいでした。
閉店にはもろもろ事情があると思いますが、やはり残念ですよね。
ひと品目の「前菜3種」。
手前からレンコンのナムル、刻んだニラのヤンニョム豆腐、
奥に見えるのがムカゴとシシトウ、ジャコの和え物でした。
見た目にもきれいですし、韓国料理にムカゴというのも独創的。
このあたりの食材使いは銀座のお店ならではでしょうね。
日本の旬菜を使った韓国料理は、最先端の流行でもあります。
個人的には豆腐に乗せられたニラのアクセントが印象的でした。
上品な味わいのチャプチェ(春雨炒め)。
ボリュームは抑えてありますが、食べてみると実に具だくさん。
ニンジン、ホウレンソウ、キクラゲ、ゴボウなどなど。
また、極細に切ったショウガが味わいをさっぱりさせています。
魚介料理はチョジャンソースで味付けたヒラメの刺身。
奥に置かれたツマ、エゴマの葉までしっかり頂きました。
ぷっくり肉厚の牡蠣が忍ばせてあったチヂミ。
ひとり1片なので、もっとくれ! という気分になります。
真打登場。看板料理のサムゲタンです。
初めてここのサムゲタンを食べたときは衝撃的でしたね。
斬新な工夫が随所に見られる進化形のサムゲタン。
『東京 本気の韓国料理店』でもっとも伝えたかった部分です。
こちらの店では鶏を煮込まず、「真空低温調理」という手法を使用。
お腹に具を詰めた状態で真空パックにし、専用の機械で熱を加えます。
煮ないことによって栄養分やうまみがスープに逃げることなく、
また低温調理なので蛋白質が壊れないメリットもあるとのこと。
スープは別に煮込んだものを用意し、最後の調理過程で合わせます。
そのスープというのがまた濃厚そのもの。むしろ超濃厚。
親鶏、鶏ガラなどを9時間煮込んでいるため、白濁を通り過ぎて茶濁。
ひと口すすっただけで、鶏のうまみに全身が包まれる気分です。
目の前で店員さんがシャキシャキと食べやすいサイズにカット。
ごはんがほんのり赤いのは紅麹が入っているためとか。
スープには独特の甘さがあるのですが、これは紅麹のためですかね。
最初に食べたときはもっと漢方的な甘さかと勘違いしました。
甘草でも入っているのかな、というほのかで柔らかな甘さです。
そのままでも充分美味しいですが、好みによって塩を足しても可。
パキスタン産のパハール岩塩を使っているそうです。
こうした気配りの細かさは、やはりさすがの一言。
ちなみにサムゲタンコースはここまでで、あとはデザートなのですが、
どうしても食べたかった料理を単品でひとつ追加。
こちらの店は韓国の有名ビビンバ専門店「古宮」と提携しており、
都内では珍しい本格的な全州ビビンバを出しております。
20種類近い食材を乗せ、ごはんには12穀米を使用。
食べるたびに、違う味が楽しめるというくらいに、具だくさんです。
ビビンバって、韓国料理の中でも相当にメジャーなのですが、
ソウルあたりでも、美味しいと思うことは非常に少ない料理です。
本場の全州で食べると、ビビンバってこんなに美味しい料理だったのかと。
そんな全州での驚きがよみがえってくるような味わいでした。
コースの最後を飾るデザートはブドウのシャーベットでした。
一緒に、温かなトゥングルレ茶(アマドコロ茶)がついておしまいです。
閉店という残念な気持ちを抱えたままの食事でしたが、
最初から最後まで、本当に満足のゆく料理ばかりでした。
特に看板料理のサムゲタンは、もう1度味わえて本当によかった。
お店の閉店も残念ですが、このサムゲタンが味わえなくなるのも悲しい。
本場韓国においても、韓国料理が流行ってきている日本においても、
既存の韓国料理は、多くの人の手によっとどんどん進化しています。
その中でも、長く後世に残すべきひとつのアレンジだったと思います。
なお、お店の閉店については近日、正式に発表があるそうです。
お店の許可を頂いたので、ひと足早くですが書かせて頂きました。
今月末までは営業しておりますので、もし行きたい方は早めにどうぞ。
いま行かないと、後々まで悔いを残す可能性のある店です。
※追記
「韓国薬膳はいやく」は翌年3月3日に再オープンしました。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-692.html
店名:韓国薬膳はいやく
住所:東京都中央区銀座4-10-10銀座山王ビル地下1階
電話:03-3547-3526
営業:11:30~15:00、17:30~23:00(月~金)、11:30~15:30、17:30~23:00(土・日・祝)
定休:なし
http://www.yakuzenhaiyaku.com/
<過去の関連日記>
(03月28日)銀座「韓国薬膳はいやく」でパンゲタン。
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