8月30日に開催された第9回「オレカテ」。
講師は韓方医療の伝道師として活躍する前田紳詞先生です。「世界から20万人以上が訪問する韓国医療ツーリズムって何? 私の韓国医療ツーリズム実体験報告」というタイトルで行われました。
なんとなくは耳にしていた医療ツーリズムという単語。
僕自身、韓国政府や自治体が力を入れているとは聞きつつも、外国で医療を受ける理由がわからず、長いことそのままにしていた分野でした。おそらく似たような感覚の人も多いであろうということから、韓国における現状を基礎から教えていただくというのが今回の趣旨です。
おかげさまで第1部、第2部とも超満員。
毎回、第1部はそのテーマに関わるスペシャリストが多く、第2部はオレカテ常連の皆様が多いのですが、今回の第1部は医療関係の仕事に従事する方が多数。医師、看護師、理学療法士、医療通訳といった方々が参加なさっていました。
このオレカテも少しずつ回を積み重ねてきましたが、韓国とかかわる仕事というだけでも、ずいぶん多岐に渡るものだと実感します。
ところで上の写真、いつもと違うことがひとつありまして……。
前で司会進行をしているのが僕ではありませんでした。
第1回の講師でもあり、オレカテの事務局スタッフでもある美容ライターの橘亜美さん。「オレカテ」では希望者が主催者になるシステムを模索していまして、まずは実験として橘さんにお願いをした次第です。
最近は略称のほうで定着していますが、もともと「オレカテ」は「急募!オレの韓流家庭教師(若干名)」というのが正式名称。「オレの韓流家庭教師」の「オレ」は声かけをした僕であってもよいのですが、なにか特定の分野、あるいは先生から学びたい人が「オレ」をやってもいいじゃないかと。
こんな勉強をみんなでしませんかという持ち込みを、事務局によるフォローのもと実現していくというのが、現在考えているひとつの未来です。
ただ、何度かアンケートを取ってみた結果、興味はあるけどハードルが高そうに見えるのと、実現性のバランスを取るのが難しいのとで、いざ実行に移すにはもう少し時間がかかりそうです。じっくり腰を据えて取り組もうと思いますので、主催者をやってみたい方はいつでもご連絡ください(過去のオレカテ参加者に限ります)。
第2部も盛況でした。
本当に基礎の基礎からという講座でしたが、いちばん目からウロコだったのは、医療ツーリズムが韓国に限らず世界的に見ても成長している産業だということでしたね。
ただ、前田先生もおっしゃっていましたが、これワードとして明らかに「ツーリズム」は余計に思えます。要は、自分の病気を治すのに、最寄りの病院に行くか、隣の病院に行くかに加え、隣の「国の」病院に行くという選択肢が追加されるということ。そこに日本で受けられない医療があったり、専門性が高かったり、あるいは値段が格段に安かったり、なんらかのメリットがあるならそれは歓迎すべきことだと理解しました。
その中で韓国は「韓方医療」というジャンルに力を入れている訳ですが、こうした東洋医学は日本よりもはるかに生活の一部として浸透しています。それを近い国に住む日本人として、選択肢のひとつに取り込めるのなら、それは意義のある情報でしょう。
もちろん現段階ではまだ普及途上なので、言葉の問題、医療トラブルなど、さまざまなリスクがあるのも事実。
このあたりは国によって、医療機関によっても差が出るところですが、韓国でも通訳の育成や、医療事故が起こったときの保証などを整えているそうです。実際に海外で医療を受ける場合は、メリットとリスク、イザというときの保証についても、よく把握して慎重に判断する必要があるようですね。
そんな話を聞きつつ、個人的に衝撃だったのは、前田先生がこうした知識を2009年以降に蓄えたということ。
もともと前田先生は韓国のスペシャリストでも、医療関係者でもなく、経済や経営を専門とする方です。ご自身での治療体験をもとに韓国の韓方医療と医療ツーリズムの研究に目覚め、わずか4~5年で伝道師と呼ばれるほどになりました。つい先日は、釜山で開催された「釜山国際医療観光コンベンション」でも講演をなさったほど。
これほどまでに情報が増えて、やり尽くされたような感すらある韓国業界に、まだまだ新たなビジネスチャンスが転がっていることを実感。そう思えたことが、もしかするといちばんの収穫だったかもしれません。
さて、そんな第9回を終えて、第10回は今週土曜日(募集終了)。第11回は11月15日(土)と決まっており、10月上旬には告知の予定です。年内のオレカテはこれが最後で、来年1月も飛ばして、第12回は2月の実施になります。学ぶべきことは山ほどあるので、今後も「オレカテ」は長く続けていきたいですね。意欲のある皆様のご参加で、引き続き盛り立てていただければ幸いです。