韓国ファンからの圧倒的な人気を獲得しつつも、
なかなか日本で食べられない料理というのがあります。
ひと昔前のタッカンマリ(丸鶏の水炊き、닭한마리)もそうでしたが、
あっという間に普及してファンの渇望が満たされました。
ならば次はこれをぜひとも普及させていただきたい。
冒頭の写真、オレンジ色の輝きが美しい……。
「カンジャンケジャン(ワタリガニの薬味醤油漬け、간장게장)!」
丸ごとのワタリガニを加熱せずに薬味醤油へ漬け込み、
とろとろの身と、濃厚なカニミソの味を楽しむ料理です。
韓国の専門店では産卵前のメスのみにこだわって提供し、
甲羅の裏に潜んだ絶品の内子(未成熟卵)も味わいます。
その内子というのがオレンジ色に見えているやつですね。
1人前(1匹)が3500円とけっこうなお値段ですし、
サイズも控えめですが、新大久保でこのビジュアルなら納得かと。
なお、足の部分は4等分なので、2人か4人での注文が理想。
3人だとケンカになりますし、5人だと血の雨が降ります。
個人的に嬉しかったのは使い捨ての手袋が用意されていたのと……。
カニミソと混ぜたごはんを、ひとりずつ個別に出してくれたこと。
甲羅にごはんを入れて混ぜるというのは格別の楽しみですが、
みんなでつつくとなると、いろいろ遠慮もありますもんね。
こういう日本的な気配りもいいものだなぁ、と感心しておりました。
でも、それ以上の喜びだったのが食べ終えた頃に……。
「こちら新しいの使ってください!」
とベトベトになったおしぼりを交換してくれたこと。
書き忘れましたが、僕ら「オレカテ」後の食事会で行ったため、
およそ30名というけっこうな団体だった訳です。
それを面倒がらず、テキパキとにこやかな笑顔でこの対応。
「いい店だなぁ!」
と感激したのは、韓国慣れしすぎているからかもしれません。
韓国料理って手づかみで食べる料理が多いじゃないですか。
サンチュで包む焼肉だとか、骨まわりをかじる豚足や豚の背骨など。
手がベタベタになるのは日常茶飯事という食文化の中で、
ペラッペラの紙おしぼりが出てきたりするとガッカリするのです。
どうせ汚れるなら、ストレスなしにゴシゴシ拭きたい。
そんな客の気持ちをわかっているかどうかが……。
「カンジャンケジャンにおける最重要要素!」
だとしたら言い過ぎでしょうか。
さてこの日、僕らは1人5000円の予算で料理を頼み、
その中にカンジャンケジャンと飲み放題が含まれていました。
キムチ盛り合わせ、ナムル盛り合わせから始まり……。
海鮮サラダ。
チャプチェ(春雨炒め、잡채)。
長ネギを使ったボリュームたっぷりの海鮮チヂミ。
※19時追記
この写真が抜けていたので足しました。
汁気のたっぷりとしたトッポッキ(甘辛の餅炒め、떡볶이)。
メイン料理にサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉、삼겹살)。
新大久保ではオーソドックスなコーススタイルかと思いますが、
ここにカンジャンケジャンが入るだけで、ぐっと特別感が出ます。
いま振り返っても、こうして写真で並べる以上に、
満足度はずいぶん高かったんじゃないかなぁと。
デザートのイチゴに加え、帰り際には全員にキムチのお土産まで。
大サービスというか、本当に至れり尽くせりという感じでした。
今後、
「新大久保でカンジャンケジャンを食べるなら?」
という問いには迷わず「名家!」と答えたいと思います。
ただし、産卵後の7~8月のみ、扱いがないそうなのでご注意を。
また、9月頃も場合によって内子がなかったりするそうです。
そんな説明を聞いて……。
「え、冷凍じゃないんですか?」
とびっくりしたのもひとつのポイントですかね。
韓国の場合、4~5月の旬にとったものを急速冷凍しておき、
通年で少しずつ使用していくというのが一般的です。
てっきり韓国から持ってきたりするのかと思っていたら、
築地から国産物を仕入れているのだとか。
であれば産卵前のこれからこそがいちばんの時期。
期せずしてベストタイミングでのご紹介になったようです。
※19時追記
カンジャンケジャンは事前に予約をしたほうがいいそうです。
店名:名家
住所:東京都新宿区大久保1-5-13櫻井ビル地下1階
電話:03-5287-6463
http://www.oishii-meika.jp/