かねてより本格的な盛岡冷麺を食べてみたいと思っていました。
韓国の冷麺を食べて、そのギャップに驚いたという人がいるからです。
もともとは盛岡冷麺も北朝鮮の冷麺がルーツなのだとか。
根っこが同じでも、ずいぶん違うというのは興味深いです。
できれば本場の盛岡まで飛んで行って食べたいところですが、
今年の6月、銀座に「ぴょんぴょん舎銀座百番」がオープン。
盛岡で展開する有名な店の支店だということなので、
まずは手近なところからと、食べに行ってみました。
お店は銀座4丁目の路地奥、隠れ家のように引っ込んでいます。
カウンター4席と、テーブル6席だけの小さな店内でした。
でも驚いたのはその規模よりも、店員さんの数ですか。
たまたまかもしれませんが、全部で5人の方が働いていました。
店が満員になっても、客2人に対して店員が1人つけます。
そういった人口密度のせいか、店長さんらしき方は常に店の外。
入口で来るお客さんを丁寧に迎えていらっしゃいました。
冒頭の写真は「盛岡冷麺の普通盛り中辛(850円)」です。
大盛りや辛さが選べるほか、チヂミなどのサイドメニューもあり、
また、ミニビビンバとのセットなども用意されていました。
半端な時間だったので、普通盛り1杯だけにしましたが、
ランチ時などであればセットのほうがいいでしょうね。
冷麺の普通盛り1杯だけでは、やや物足りない量だと思います。
まずはとスープを一口すすって……お、濃い!?
牛骨や鶏肉でとったスープとのことですが塩気が濃いです。
薄く薄くですがとろっとした感じもあり、ほのかな甘味も感じます。
なるほど。これは確かに韓国の冷麺とはずいぶん違いますね。
その濃さの理由が麺をすすった瞬間にわかりました。
予備知識としてもありましたが、やっぱり麺が太いです。
この太さに対抗するには、ある程度の濃さが必要なのでしょう。
麺はジャガイモのデンプンと小麦粉を混ぜて作っているとのこと。
その配合からすると、北朝鮮でも咸興(ハムン)式の製法ですかね。
北朝鮮の冷麺は大きく平壌式と、咸興式に分かれるのですが、
平壌式ではソバ粉を主体に使い、咸興式では緑豆、ジャガイモ、
サツマイモ、トウモロコシなどのデンプンを主体として作ります。
ただ、咸興式の冷麺であれば麺はごくごく細く作ります。
小麦粉などを加えて食べやすくし、太めに作ったあたりが特徴なのでしょう。
麺の芯部分にコシを残しつつ、軽快に食べていけるのが嬉しいです。
思えば別府で食べた別府冷麺も麺はかなり太かったですね。
食感としては盛岡冷麺とも共通するものがあったように思います。
一方で、やはり韓国で食べる冷麺とは明らかに違います。
その違いは小麦粉を使っているあたりから生まれるのかなとも。
朝鮮半島では小麦というと南部地域の食材という印象が強いです。
北朝鮮では小麦がとれなかったので、そば粉や緑豆粉を上手に利用。
結果として冷麺のような料理が生まれたと聞いています。
北朝鮮の冷麺を元に、ある食材を使って、地元の好みに合わせつつ、
改良に改良を重ねて現在のような個性が生まれたのでしょうね。
ルーツは同じであっても、やっぱり違うタイプの料理。
そのあたりを理解していれば、ギャップを感じることもないのでしょう。
またひとつ、よい勉強になりました。
でも、できればやっぱり本場盛岡に行って食べてみたいです。
思えば東北地方には、まだ1度も足を踏み入れておりません……。
店名:盛岡冷麺の店ぴょんぴょん舎銀座百番
住所:東京都中央区銀座4-4-1
電話:03-3564-1963
営業:11:00~23:00
定休:なし
http://www.pyonpyonsya.co.jp/
<過去の関連日記>
(03月20日)別府「胡月」で別府冷麺。
(08月18日)浅草橋「KORYO浅草橋本店」で平壌冷麺。
2 Responses to 銀座「ぴょんぴょん舎銀座百番」で盛岡冷麺。