沖縄通の方であれば、この写真を見てギョッと驚かれることでしょう。
日本の有人島としては最南端に位置する波照間島の泡盛。
泡盛の中でも特に希少性が高く、幻の酒と呼ばれる「泡波」です。
先日、誕生日のプレゼントとして、島に行った友人から頂きました。
波照間島は人口わずか600人程度という小さな島で、
島にひとつある醸造所では、島の人たちが飲むくらいしか造りません。
極端に生産量が少ないうえ、販売時期も不定期ということから徐々に幻の酒に。
島を1歩出るだけでプレミアがつき、石垣島の段階で値段は数倍。
那覇まで行くと万の声を聞き、都内では1杯数千円の値がつきます。
島で3ヶ月ねばったキャンパーが結局買えずに帰ったなど、
とかくもろもろの伝説がつきまとう、沖縄好きには垂涎の泡盛です。
とは言っても島の民宿に泊まればこの「泡波」も普通に飲めますし、
タイミングさえよければ、観光客でも普通に購入することができます。
写真の「泡波」も観光客向けに作られたミニチュアボトル(100mm)で、
以前よりは、いくらか買いやすくなっているようです。
なんとも懐かしい話ですが、僕も9年前にこの波照間島を訪れ、
5日間ほどの滞在で、運よく「泡波」の販売に出会ったことがあります。
そのときは3合びんと2合びんを1本ずつ購入して帰り、
1本は自宅用、もう1本は当時のアルバイト先のお土産としました。
自宅用は父親が喜びましたし、バイト先は飲食店だったので、
そこの料理長がえらく気に入って飲んでくれました。
「こんなうまい泡盛飲んだことない!」
というのが酒好きな2人の共通する評価でした。
もちろん僕も飲みましたが、確かにまろやかで美味しかったです。
泡盛通に言わせると、泡盛としては普通だという評価が多いですけどね。
確かに希少性から過度に評価され、幻扱いされている面はありますが、
個人的にはこれなら幻でもいいよなあ、というのが感想です。
また、僕にとっては父親と一緒に飲んだ数少ない酒のひとつです。
うちの父親は僕が23歳のときに亡くなっており、
おおっぴらに酒を酌み交わせたのはわずか2、3年でした。
酒好きな父親でしたから、本当は一緒に飲みたかったんですけどね。
日本酒なら「〆張鶴」、カクテルなら「サイドカー」、
チューハイであれば「ハイリキ」、そして泡盛は「泡波」。
このあたりが僕にとって特別な酒です。
お盆ということで8月15日に父親と飲もうかと思っていたのですが、
どうしても仕事が終わらず、タイミングを逃してしまいました。
次は旧盆あたりを狙って、この「泡波」を飲もうかと考えています。
これはオマケ。9年前に沖縄で書いていた日記です。
拙いイラストは波照間島にある「日本最南端の碑」。
実は目的地だったここにたどりつくまで、38日かかっています。
大学の夏休みを利用し、青春18切符とフェリーを利用し沖縄へ。
沖縄本島、座間味島、宮古島、石垣島、黒島、与那国島を経て、
最終目的地として到達したのが最南端の波照間島でした。
お金のない学生でしたから、民宿には泊まらず野宿かテント泊。
食事も自炊が多く、海で魚や貝をとって食べたりもしていました。
全行程で40泊41日にものぼる沖縄旅行は、今振り返っても黄金の時間。
頂いた「泡波」を見た瞬間、当時の記憶がわっと蘇りました。