コリアうめーや!!第39号

コリアうめーや!!第39号

<ごあいさつ>
10月の3連休が終わりました。
今年は9月、10月とずいぶん3連休の多い秋でした。
あちこち旅行に出かけられた方も多いのではないかと思います。
八田氏はこの連休中にひとつ嬉しいことがありました。
韓国の眞露と日本の眞露ジャパンが共同で募集をかけた、
「眞露食の交歓留学生」に選ばれたのです。
留学生には最高で50万円の留学費用をサポート。
この資金を活用し、韓国の食に関する好きなことが出来ます。
八田氏は来年の1月頃からこの留学資金を持って、
韓国の地方をぐるぐると回ってこようと思っています。
江原道、京畿道、忠清道、全羅道、慶尚道、済州島。
全国各地を巡りつつ、ご当地料理、名物料理を全制覇してきます。
もちろん旅をしながらメルマガでもリポートです。
来年からはコリアうめーや!!全国編。
さらなるパワーアップをお見せできるようにがんばります。
と、いうわけでコリアうめーや!!第39号。
ちょっと晴れがましくスタートです。

<韓国のアナゴ、ウナギ、ハモ!!>

ウナギとアナゴだったらウナギの方がダントツ格上だと思う。
ウナギ専門店はたくさんあるし土用の丑の日という全国的なウナギデーもある。
夏のスタミナ料理としての地位をすでに磐石なものとし、
日本料理のスター選手としてかなりの位置にあると思われる。

また似たような風体の魚にハモがいる。
こちらも京都の夏を代表する高級魚として名を馳せ、
土瓶の中ではマツタケと混浴するほどのエリートである。
骨切りの難しさなどは「そう簡単には食べられないわよ」という高飛車な態度が伺える。

それに対してアナゴの地位はどうだ。

鮨屋でこそウナギ、ハモを差し置いて活躍の場を与えられているものの、
それでもアナゴがいなければ鮨が成り立たないというほどではない。
ウナギ屋からウナギがいなくなったらそれこそ致命傷だが、
鮨屋からアナゴがいなくなってもそれは小さな残念にしか過ぎない。

アナゴずし、アナゴてんぷら。ゴボウを芯に巻いて八幡巻き。
どれも非常においしいがウナギ、ハモの高級感には及ばない。

これはどうにも可哀想だ。

だが韓国では違う。
ウナギ、ハモを抑えてアナゴのほうが大きな顔をしている。

韓国ではウナギ、アナゴ、ハモは全部ひとくくりにチャンオ(長魚)と呼ばれる。区別の
ためにウナギはミンムルチャンオ(淡水のチャンオ)、アナゴはパダチャンオ(海のチャ
ンオ)、ハモはケッチャンオ(浜辺のチャンオ)と呼ばれるが、どれもこれもチャンオに
は変わらない。

ウナギは蒲焼きや鉄板焼きに、ハモは刺身や湯引きにして食べる。
それぞれウナギは全羅北道高敞(コチャン)の名物料理。
ハモは全羅南道麗水(ヨス)の名物料理として知られているが、
知られているといっても韓国人も「あまりよくは知らん」という程度に知られている。

アナゴのほうがよほど一般的だ。

韓国ではアナゴを刺身で食べる。
骨ごとザクザク切ったアナゴをコチュジャンに酢を混ぜたソースにつけて食べる。
コリコリした歯触りと白身の甘味、唐辛子の辛さが渾然となってとてもおいしい。
慣れないと食べにくいが、骨の歯触りが新鮮でもある。
骨が邪魔だという人には骨を取った刺身もある。

八田氏としては刺身よりも、アナゴの炭火焼きこそ真の韓国アナゴ料理と推薦したい。

アナゴ料理はやはり専門店に限る。
「おばちゃんアナゴ2人分お願いね。」と頼むと、
いけすの中からまるまると太ったアナゴを2尾取り出してくれる。

まな板の上でぬるぬる暴れるのはご愛嬌。
ゴム手袋がよく似合うおばちゃんの包丁がきらりと光り、
目にも止まらぬ早さでクビチョンパ。

あたしなんかノドのあたりの風通しがよくなったみたい。

動揺隠せないアナゴにおばちゃんは千枚通しで目打ちをして、
「あんたちょっとおとなしくしていなさいね。」とナデナデする。

ナデナデに油断をしたアナゴは目をパチクリ……しているかどうかはわからないが、
そのような雰囲気を醸し出しつつ、とりあえずおとなしくしていると、
背中のあたりから包丁がつつーっと入ってきて見事なヒラキ状態になる。

あたしなんか背中のあたりも風通しがよくなったみたい。

おばちゃんはあくまでもにこやかに
「あんたもう少しおとなしくしてなさいね。」と声をかけると、
中骨を一気にこそげとっていく。

あたし、あたし、なんかお腹も風通しがよくなったみたい。

おばちゃんは「大丈夫よー、痛くないからね。」と限りなくマゾヒスティックに、
ぶちっぶちっと内臓をひきちぎっていく。

あたしなんか内臓も風通しよくなったみたい……と思ったその瞬間。

ストンと頭が落とされ、身体はブツギリ、ブツギリ、ブツギリ。
ザルにまとめられて水で血を洗い流されたアナゴは……。

あたしなんかおいしそうになったみたい。

「あいよ。アナゴ炭火焼き1丁あがり。」
「うひょう。うまそうだね。おばちゃん。」

七輪の中で真っ赤におこった炭火。年期の入った金網。
そこにさばいたばかりのアナゴを乗せてじゅわじゅわと焼いていく。
ふっくらした白身から脂が染みだし、もうもうとした煙が店中に広がっていく。

香ばしく焼けたところに甘辛いタレを塗る。
サンチュで巻いてニンニクも乗せて焼肉のように食べる。

これがもうおいしくておいしくて。
アナゴも白身魚だったんだなあ……。としみじみ思う。
口の中でホロリホロリとほぐれるアナゴの身が淡白にうまい。

日本の鮨屋のように甘いツメを塗って食べるアナゴもおいしいが、
白身魚であるということを再確認できるアナゴ炭火焼きも絶品である。

日本では長魚族3番手の地位に甘んじているアナゴ。
韓国では立派なエースピッチャーである。
韓国のアナゴ。ぜひ1度試してみて欲しい。

<おまけ>
チャンオの呼び名は他にもたくさんあります。ウナギはペムジャンオ(蛇長魚)。アナゴ
はプンジャンオ、または日本語でアナゴとも呼ばれます。ハモも日本語でハモと呼ばれる
ことが多いです。また屋台などでよく見かけるヌタウナギはコムジャンオ、モクチャンオ
と呼ばれます。ドジョウはミクラジ。チャンオの仲間ではありません。

<お知らせ>
アナゴの写真をホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
プサンナビで市場レポート第2弾を書きました。
済州島日記の第2回もそろそろアップです。
http://www.pusannavi.com/area/area_r_list.html?bid=KFC

<アンケート>
第38号で募集したアンケートの結果です。
多数のご応募ありがとうございました。
解答者数26名。有効投票数77票。

1位、スンドゥブチゲ(8票)
2位、チャプチェ(5票)
3位、カムジャタン(4票)
   サムギョプサル(4票)
   ケジャン(4票)

くわしくはこちらをごらんください。
http://www.koparis.com/~hatta/enquete.htm

<八田氏の独り言>
ウナギとハモの本場にも行くつもりです。
アナゴ派からウナギ派、ハモ派へと素早い変わり身を見せる予定です。

コリアうめーや!!第39号
2002年10月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



Comments are closed.

 

 
 
previous next