という記事を2014年8月に書いたことがあります。そのときは市ヶ谷にお店をオープンしたときでしたが、それ以前にも釜山だったり、浅草だったり、東上野だったり、あちこち移動するたびに僕がネット上で拡散する役目になっています。
「みなさん、いまは全羅南道康津(カンジン)郡にいらっしゃいますよ!」
って、どこだよ!
という声が聞こえてきそうなので地図を載せます。
康津はここです。
ソウルからバスで4時間半。釜山からもやはりバスで4時間半。そして康津のバスターミナルからご自宅までが車で15分。どこからどうやって行っても遠いですが、ソウルの龍山(ヨンサン)駅からKTXに乗って羅州(ナジュ)まで着けば、車で迎えに来てくれるそうなので、それがいちばん早いようです。羅州まで2時間ちょっと。羅州からご自宅までが車で40分なので、それでもなんだかんだ3時間以上はかかりそうですが。
それで到着するのはこんなところ。
周囲は民家が数軒に、牛がちらほら、あとはひたすら田んぼと畑と山だけという、韓国の模範的な田舎がそこにあります。冒頭のご夫婦は昨年の4月よりこちらに移住し、畑仕事をしたり、山で薬草を取ったりという暮らしをしているそうです。
「何しろ初めての農作業だから毎日大変だ!」
と楽しそうに苦労を語っていたのが印象的でした。
僕が行ったときは、ふたりのお孫さんが遊びに来ていましたが、基本的にはおふたりで暮らしています。それと4匹の犬……。
だったのが8匹になったそうです。
「ちょうど昨日生まれたばかりでね」
「へー、そうなんですか」
「さっき、ミヨックッ(ワカメスープ/미역국)を作って食べさせたばかり」
「犬にも食べさせるんですねぇ……」
って、なんですと!?
お母さんの作るミヨックッといえば、お店をやっていた頃は、常連の中で誰か誕生日のメンバーがいるときしか作ってもらえなかった特別メニュー。それをここ康津では……。
犬が食べている!
という事実に猛烈嫉妬しました。いえ、犬に責任はないですし、麗しいペット愛なのですが、犬のおすそ分けをもらえないかと本気で思ってしまったのは偽らざる本音です。
まあ、それに負けず劣らずの大歓待をしていただきましたけどね。
これが着いた日の夕ごはん。雑穀ごはんに、テンジャンチゲ(味噌鍋/된장찌개)、大根の千切りキムチに、ヒジキの和え物、カラシナのキムチ、そして奥にあるのが……。
イノシシのカルビ焼き。
猟師をやっている親戚が撃ったのを分けてもらったそうですが、イノシシ肉が当たり前のように食卓に上がるというあたりで、その田舎具合がまたよく伝わるのではないでしょうか。さすがにしょっちゅうある訳ではないそうですが、ほかにも雁とか、アヒルとか、キジぐらいなら身近な様子。そのうち農作業だけでなく、地鶏や黒ヤギを育てたいとも言っていましたので、行けばなんだか珍しいものが食べられそうです。
こちらは翌日夜にいただいたイノシシのポッサム(茹で豚の葉野菜包み/보쌈)。カルビもそうでしたが、とりたてて野性味のようなものも感じられず、脂がやや控えめながらもうま味の濃い豚肉という感じでしたね。
そして、これらを肴に昔話をしながら、お父さんと飲む焼酎がまた格別なのでした。
こちらは朝ごはん。
右下はタコと大根のスープ。左上はカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け/간장게장)。キムチも含めてとにかくどれもごはんが進み、朝からおかわりもして、おなかがパンパンになるほど食べました。
わずか2泊でしたが、いろんな元気をもらった感じ。
お母さんの手料理と、お父さんの満面の笑顔が懐かしい方は、ぜひ全羅南道康津郡まではるばる訪ねてみてください。
冬は突然雪に覆われたりもするので、もう少しあったかくなってからがいいかもしれませんね。春は桜がきれいだそうですし、夏には青磁祭りも開催されます。僕も今回行って初めて知りましたが、今年は「康津訪問の年(강진방문의해)」でもあるそうで。まさしくちょうどいい機会ではないかと思います。
行くときはお父さんかお母さんの携帯まで事前にご連絡を。
お父さん
+82-10-2892-0110
お母さん
+82-10-6739-0933
思いっきり個人情報ですが、「いいからネットに載せとけ!」ということなので仰せのままに。かつて店に通った常連のみなさまへ、無事届くことを祈っております。
2 Responses to 全羅南道康津郡 ~このご夫婦に見覚えある方は足を運んでください