世の中に、いい韓国料理店というのはたくさんありますが、
何度となく繰り返し通える、行きつけ店というのはそうありません。
もちろん、行きつけとして通うにはいろいろな条件が必要となり、
そもそも自分の生活圏に密着していないと厳しいですよね。
会社の近所、自宅の近所、定期的に出かける理由がある町とか。
こういう場所に、自分の気に入る韓国料理店があるのは幸せなことです。
僕は仕事柄、あちこちの韓国料理店に足を運びますが、
誰かの行きつけ店にご招待頂く、というのはなんとも嬉しいもの。
「もう本当に地元密着のお店なんですよ」
「なにか特別なものがある訳ではないんですけどね」
「お母さんが料理上手で、とっても親切で……」
そんなことをみなさんおっしゃるのですが、
「それがいいんですよ!」
とこぶしを握って主張するのが常です。
また、実際そういう店に連れて行って頂くと、
その「なにか特別なもの」にもけっこうな確率で出会えます。
地元密着で常連を抱えるというのは、それだけで充分すぎるほどの実力店。
この日、足を運んだコチラの店もそんな系統のいい店でした。
冒頭の写真は自家製のトトリムクムチム(ドングリゼリーの和え物)。
ドングリのでんぷんをゼリー状に固め、生野菜と和えた料理です。
僕の個人的な経験ですが、このトトリムクを手作りしている店は、
総合的に見ても、アタリの店であることが多いように思います。
けっこう手間のかかる料理ですし、既製品がいくらでもありますしね。
ただ、手作りしたものは、口に入れたときの滑らかさがまったく異なり、
基本的に無味であるはずの素材が、無味の美味に変化をします。
「この店、いいじゃないですか!」
と思う最初の瞬間ですね。
そこへ特別料理として、こんなものまで出して頂いて。
薄切りの大根で、牛肉や野菜を包み、カラシソースで味わう料理。
いわゆるクジョルパン(牛肉と野菜のクレープ包み)を、
大根の薄切りに置き換えて、アレンジしたものです。
こういう野菜の使い方が上手な店、というのもいいですねぇ。
鉄板に載せたLAカルビ。
牛カルビ焼きの一種ですが、カット方法が若干異なり、
肉の中央部分に骨が入った格好になっています。
アメリカの韓国料理店で流行ったメニューであることから、
「ロサンゼルスカルビ!」
だと思われておりますが、本来の語源は、
「Lateral Axis(側面の軸)!」
ということだそうです。
カルビ(あばら骨)に沿ってカットをする韓国式に対して、
側面軸の方向から、骨を断ち切るようにカットするのが特徴です。
骨に対して横から切るか、縦から切るかという違いですね。
サクサク、もちもちのカムジャジョン(ジャガイモチヂミ)。
醤油味の宮中トッポッキ(餅炒め)などもつまみつつ。
メインの料理はサムゲタン(高麗人参とひな鶏のスープ)でした。
写真はトゥッペギ(鍋)で出てきたのを取り分けて頂いた状態。
こちらも鶏肉が柔らかく、旨味の染み出たスープでした。
デザートに果物も頂いて大満足。
ちなみにこちらのお店、すぐ近くに「東京韓国学校」があり、
子どもを通わせているファミリーが常連に大勢いらっしゃるとか。
メニューにこだわりが見えるのは、そういう背景もあるかもしれませんね。
ちなみに僕は別件の用事があって、新大久保から歩きましたが、
東新宿の隣駅なので、ちょっと頑張れば徒歩でも充分行けます。
最寄駅は若松河田のほか、新宿線の曙橋からも歩けるそうです。
店名:仁寺洞(インサドン)
住所:東京都新宿区河田町6-24
電話:03-5269-5082
営業:11:00~15:00、17:00~23:00
定休:第1・3日曜日
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