カムジャタンの考察。

短い間にカムジャタンへの不満を連続して聞きました。
カムジャタンは豚の背骨とジャガイモを煮込んだ鍋料理。
いずれも韓国料理にさほど詳しくない人で、かつ食にはこだわるタイプ。
流行のものとして、あるいは外国の珍しい料理として食べたようですが、
結果としてカムジャタンには満足できなかったということ。

聞くと、彼らの不満はだいたい次のような感じでした。

1、背骨まわりについた肉が少ない
2、少ないにもかかわらず店員がほじって食べろとすすめる
3、ほじって食べてみてもさほど美味しくない
4、料理にも店員にも不満が残る

言われてみれば、なるほどなあというところ。
自分としても心当たりがないわけでもありません。

確かに日本で食べるカムジャタンは肉の量が少ないです。
もともとが背骨という余剰部位を利用した料理なので、
肉が少なくて当たり前なのですが、それにしても少ない。
韓国で食べるカムジャタンは、もっと食べでがあります。
ほとんど肉の塊、という背骨すら見かけるくらいです。

おそらく日本には背骨の需要があまりないからでしょう。
豚の背骨を使うのはせいぜいラーメンのスープをとる程度。
背骨まわりの肉をわざわざ食べる文化はないため、
結果として残る肉が少なくなっていくのではないでしょうか。
きっちりこそげおとし、可食部位として出荷されるはずです。
日本で食べるカムジャタンに肉が少ないのは当然のことかもしれません。

振り返ってみると、僕も最近日本でカムジャタンを食べていません。
去年の日記を見ても、おそらく1度か2度程度。
自分から好んで食べに行くこともほとんどありません。
HPに「韓国料理好きに100の質問」というコンテンツがあり、
そこで僕は好きな料理の1位にカムジャタンをあげております
少なくとも3年前までは1番好きな料理でした。
にもかかわらず、今はほとんど食べることがありません。

ただ、カムジャタンへの不満が聞こえてくるということは、
それだけカムジャタンの認知度が高まったということでもあります。

かつて鍋料理の特集ガイド本を買ったことがあるのですが、
そこに和洋中各店に混ざって韓国料理の店が22店紹介されていました。
なかなかの数で、韓国料理もメジャーになったと喜んでいたのですが、
パラパラめくっているうちに、とあることに気付きました。

紹介店舗の3分の1はオススメ料理がカムジャタン。

ヘムルタンも多いですが、それよりもはるかにカムジャタン。
すでにカムジャタンは韓国家庭料理店の看板メニューなのでした。
原価が安く、利益率が高いうえ、韓国料理らしさも充分。
見た目のインパクトもあり、日本で出す韓国料理としては最適だと言えましょう。
右にならえで、一気に増えてしまったのは納得できる事実です。

でも、もしかしたらその安易な選択が曲がり角に来ているのかも。

珍しいだけでは評価されなくなる時期が、近づいている気がします。
日本のカムジャタン。おそらく今が過渡期の1歩手前では。
そんなことをふと考える、今日この頃だったりします。



2 Responses to カムジャタンの考察。

 

 
 
previous next