慶尚南道の食を語るうえで、南海岸の海の幸は欠かせません。これまでのツアーでは統営、巨済、昌原(馬山)、泗川(三千浦)などの港町を回ってきたので、今回は固城(コソン)を選びました。写真は固城湾の夕焼け。手前の橋も観光名所のひとつです。
海の幸の下見で難しいのは、季節の壁があること。3月のツアーに向けて想定した旬の料理にはまだ早いので、作り方がほぼ同じというムルメギタン(クサウオと海藻のスープ/물메기탕)をいただきました。とろとろの白身と澄んだスープが絶品。これが春になってどう変わるかはツアーのお楽しみとしましょう。
南海岸での朝食はポックッ(フグのスープ/복국)も名物。こちらの店では生のクロサバフグ(흑밀복)を使っていました。
たっぷりのセリと豆モヤシは、海苔と唐辛子酢味噌(초고추장)の入った器に移し、ごはんと混ぜて食べるのが流儀。固城、泗川あたりの食べ方と思っていましたが、大邱発祥との説もあり背景が気になっています。
固城の見どころとしては、こちらにも昨年9月「伽耶古墳群」としてユネスコの世界文化遺産に登録された松鶴洞古墳群があります。先に紹介した咸安は阿羅伽耶(アラガヤ、아라가야)、固城は小伽耶(ソガヤ、소가야)の歴史を継ぐ地域。小伽耶時代からの城郭都市であり、現在の地名である固城は「堅固な城郭」を意味するそうです。
古墳群には隣接する固城博物館。展示の資料では、小伽耶を「古代東アジアの国際交易都市」として紹介し、中国や西海岸地域の文物を伽耶へと引き入れ、新羅や大伽耶の文物を西海岸や日本へと運ぶ出発地になったと説明しています。古墳群からはガラスの装身具、鉄器、土器などが出土しました。
歴史をさらにさかのぼって、恐竜が闊歩した時代の足跡化石も固城は有名ですが、こちらは2017年のツアーで訪れたので残念ながら割愛しようかと。ご関心のある方は、近隣に固城恐竜博物館もあり、骨格模型、映像展示のほか……。
野外にも恐竜のオブジェがたくさんありますので、立ち寄ってみてください。
残念ながらの割愛は食にもあり、固城はホタテ(가리비)の養殖が盛んながら、出荷のメインシーズンは秋とのこと。同じく養殖の多いバナメイエビ(왕새우, 흰다리새우)も秋。ハモ(갯장어)とアナゴ(붕장어)は初夏から夏が旬で、いずれも春のツアーとは合いませんでした。それぞれ地元の方におすすめ店を聞いたので、別の機会を探ります。
個人的に印象深かったのは、冒頭の写真にあった固城湾にかかる橋。夕焼けを撮ったあと、食事をして戻ってきたらレインボーカラーにライトアップされていました。思わずマリオカートを思い出したのは、ちょうど飛行機の中で『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観ていたからでしょうか。
ということで、以上がすべての下見報告。ミステリーツアーなので詳細は内緒ですが、咸安、河東、固城と巡るつもりでいます。宿泊は各地域で1泊ずつ。地方都市なので、ゴージャスな宿ではないかもしれませんが、地元密着で楽しめればと思います。ぜひ奮ってご参加ください。
ツアーのお申込みは三進トラベルサービスまでお願いします。
慶尚南道グルメツアー下見報告(1)~祝・世界遺産登録「伽耶古墳群」
慶尚南道グルメツアー下見報告(2)~咸安の高麗韓菓と落花遊び
慶尚南道グルメツアー下見報告(3)~河東の始培地茶と蟾津江グルメ
慶尚南道グルメツアー下見報告(4)~固城の海の幸とレインボーな橋
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