※注意:第3回「ぐるぐるグルメ感謝ツアー」に参加される方にはネタバレの内容を含みます。
韓国の地方をウロウロするほど、地名って大事だなぁと思うのです。
釜山が韓国随一の港町でありながら、ちょっと内陸に行くとすぐ山があり、「釜」のように「山」が囲んでいて釜山。すると刺身ばかりでなく、フギョムソグイ(黒ヤギの焼肉、흑염소구이)とか、トジョンタッペクスク(地鶏の水炊き、토종닭백숙)といった郷土料理もきちんとある訳です。
じゃあ、蔚山(ウルサン)はどうかというとやっぱり地名に山が入る。
重工業の町であり、海外に車などを輸出する港湾都市として栄えましたが、やっぱり内陸に行けば嶺南(ヨンナム)アルプスを象徴とした山々が連なる訳です。
蔚山の人たちに言わせれば……。
「100万都市だけど広域市の中でいちばん面積が広く人口密度も低い!」
「工業都市がゆえに緑化区域が設けられていて公園がやたら多い!」
「蔚山は工業都市であっても自然が豊かな町なんです!」
というアピールをしたくなるようですね。
蔚山における地名の由来を紐解くと、三韓時代(原三国時代)に栄えた于尸山国までさかのぼるそうですが、于尸山というのが蔚山の旧称で「山が城のように囲んでいる」との意味があるそうです。なので、冒頭の写真のようにちょっと内陸に行くと、もう山だらけで農業、畜産業が盛んといった姿を見られます。
慣れないうちは工業都市という先入観とのギャップに戸惑いますね。
韓牛の牧場を見学したら、一緒に地鶏の飼育もしていました。
「こっちのケージと、あっちのケージでは何が違うんですか?」
「こっちは卵を取る用で、あっちはタッペクスク(水炊き)用です」
地鶏の生活にもいろいろ運命の分かれ道があるようです。
そんな蔚山の山岳地帯は概ね、蔚州(ウルジュ)郡に属しますが、その中でも中心的な位置にあるのが彦陽(オニャン)という町です。KTXの蔚山駅がこの彦陽にあるため、ソウルからの玄関口という役割も担っています。
そして彦陽には日本統治時代から牛市場で栄えた町という姿も。近隣地域からたくさんの牛が集ってきたため、いまも彦陽市外バスターミナルの付近にはプルコギ(牛焼肉、불고기)の専門店がたくさん軒を連ねています。
薄切りにした牛肉に下味をつけ、両面焼きの網で焼いたものを網ごと提供。炭火の香りをまとった甘い味わいのお肉は、彦陽プルコギとして全国的な知名度を誇ります。
店名:彦陽キワチププルコギ(언양기와집불고기)
住所:蔚山市蔚州郡彦陽邑巘陽キル86(西部里13)
住所:울산시 울주군 언양읍 헌양길 86(서부리 13)
電話:052-262-4884
あるいは蔚州郡の中心部から北部へと移動すると、隣接する慶州(キョンジュ)市内からも車で20分ほどの位置に、鳳渓里(ポンゲリ)というやはり焼肉で有名な地域があります。
この町の名物はカクトゥギユッケ(角切りにした牛刺身、깍두기육회)。
カクトゥギ(大根の角切りキムチ、깍두기)のように作ったユッケ(牛刺身、육회)ということですが、僕が食べた店ではカクトゥギよりも薄切りでしたね。店によってはサイコロ状になって出てくるところもあるようですが、生なので食べやすさを考えると薄切りのほうがよいとの判断かもしれません。ゴマ油で溶いたコチュジャンにつけて味わいます。
店名:マンボンネスップルグイ(만복래 숯불구이)
住所:蔚山市蔚州郡斗東面斗東路1789(鳳渓里871-7)
住所:울산시 울주군 두동면 두동로 1789(봉계리 871-7)
電話:052-262-7255
そして近年、急速に躍進を遂げた新名物が彦陽トッカルビ。
「ん、ハンバーグ?」
と思った方は、以下の記事をご覧ください。
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