けっこう気付かない人もいらっしゃるようで、新刊『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』の表紙は、さかさまにした日本と韓国の地図を表しています。
そして背表紙は白黒と天地が逆転して普段から見慣れた地図。
ここにどんな意図が込められているかというと、実は描いてくれたデザイナーさんしかわからないのですが、僕のほうでは「視点を変えよう」というメッセージなのかなと勝手に読み取っています。
出版関係の方以外はあまりご存じない方も多いかと思いますが、表紙、タイトル、オビというのは著者の手がほとんど入りません。一応、こんな感じにしますよということで見せてはもらえますし、こちらからも意見を言うことはできますが、基本は出版社の意向で作られることが多いです。なので、毎回どんな表紙になるかは楽しみのひとつだったりします。
ただ、例外的に今回タイトルだけは僕が考えたものになりました。
というか2014年末に作った企画書の仮タイトルがそのまま採用になっています。まさに1年がかりの企画だった訳ですが、自分のつけたタイトルがそのまま書名になるというのは特別な感慨がありますね。ぜひ、たくさんの人に読んでいただきたいと、こうして毎日のようにしつこくブログに書いています。
そんな中、ライターの塩澤雄二さんが書評を書いてくださいました。
塩澤さんは利き酒師、焼酎利き酒師の肩書きも持っているお酒のスペシャリスト。いちばん最初にお会いしたのも、新発売のマッコリをテイスティングするという韓国のテレビ取材を受けたときでした。食の専門家に読んでいただくというのも緊張するものですが、高い評価をいただいたようなので、許可を得たうえで以下に転載させていただきました。ぜひご一読ください。
韓国フードライターの八田靖史さんの新刊『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』を読了。本当に久々にちゃんとした「アジア本」を読んだ気がする。
15年間、韓国の食文化に向き合ってきた著者が、2015年という現在において、多くの人が閉塞感とモヤモヤを感じている日韓関係を、「食」、それも極めて日常的な食の実情を題材に、考え、提案をまとめた本である。
両国のスーパーの店頭から垣間見る相互理解のアンバランス、意識しないまま深く重なり合っている食材流通、現代における発見は、明治期の日本と植民地下朝鮮の「洋食」の同時代史に飛んだかと思えば、日本人の知らない異国での日本食の進化の現状という予想外の着地点へ。さらには朝鮮民主主義人民共和国の知られざる郷土食へと進む。
韓国や北朝鮮、在日コリアン、それらと日本、ひいては自分との関わりへの眼差しは、関心・関係を持った時期や世代によりさまざまで、なかなか「これ」という切り口が難しい。ベトナム好きなら関連書は何でもかんでも読むものだが、こと韓国に関してはそうはならず、意外に話が深まらない。韓国好きのいつまでもビギナーぽさは、90年代からずっと変わらない。
本書は、そうしたウロウロ状況に、突然大穴を開けて、こっちに道があると指し示す。日常食という旅行ガイドならコラム1個で通り過ぎ、「異文化経験」とすら自覚しないままにやり過ごしてしまいがちな事柄をていねいに幾重にも重ねて重ねて重ねて見えてきたもの。その確かさ・説得力に、思わず息を飲む。
本書は、「韓国とか一時期けっこうはまったんだけど最近はちょっと」という人には、初期の頃の発見やワクワクの感覚を思い出させて今の韓国を知りたくさせ、「そもそもこれまで韓国興味ないし」という人にも、踏み込めば踏み込むほど迷宮化する韓国・日韓の「面白さのツボ」を疑似体験させてくれる。できれば今時の高校生や大学生、「外国とか行きたいとも思わないし」という世代におすすめしたい。
丁寧に読み込んでいただいたこと心より感謝致します。
<お知らせ>
1月22日(金)に新刊が発売されました。『食の日韓論 ボクらは同じものを食べている』(三五館)。全体としては日韓の未来を考察するものですが、話のひとつひとつはグルメルポや地方の旅エッセイの形を取っています。詳細はコチラ。Amazonなどでも予約受付が始まっています。
<お知らせ2>
2月13~15日(土~月)の第3回「ぐるぐるグルメ感謝ツアー(韓国南部)」は、女優の黒田福美さんと八田靖史のふたりがプロデュースし、全日程に同行する2泊3日の旅です。詳細は直前まで内緒というミステリーツアーですが、見るもの、食べるものには極限までこだわっています。どちらも寒い時期ではありますが、熱の込もった企画で特別な旅行にしたいと思っています。
<お知らせ3>
慶尚北道広報大使の執筆した観光小冊子「GB-Story Vol.1」は前編を以下よりダウンロードできます。慶尚北道旅行の参考にぜひご利用ください。
https://www.kansyoku-life.com/15120501gb.zip
<八田靖史プロフィール・既刊著書一覧>
https://www.kansyoku-life.com/profile
<最近のお仕事>
『新宿区新聞』(コメント提供)
新宿区新聞社/定期購読/2015.1.1
『のりこえねっと』(番組出演)
のりこえねっと/無料/2015.2.23
※上記リンクより全編を視聴できます。
『るるぶ韓国 ソウル・釜山・済州島’16』
JTBパブリッシング/1026円/2015.3.6
『パンと菓子の専門誌B&C 2015年3、4月号』(原稿執筆)
パンニュース社/年間購読料9,810円(6回、送料、消費税込み)/2015.3.15
「常識覆した咸興の冷麺 北朝鮮の味語る八田さん」(コメント、写真提供)
共同通信社/配信記事/2015.5.31
「ラジオ深夜便 ないとエッセー」(出演)
NHKラジオ第一/無料/2015.6.22~25
「丸大スンドゥブ5,000円プレゼントキャンペーン」(番組出演)
丸大食品/無料/2015.8.1
『韓国語学習ジャーナルhana Vol. 09』(原稿執筆)
hana/1490円/2015.9.1
『日経おとなのOFF 2015年10月号』(原稿執筆)
日経BP社/780円/2015.9.5
『るるぶソウル’16』(原稿執筆)
JTBパブリッシング/1080円/2015.9.9
<日々のお仕事>
『aTセンター』(「K-FOODコラム」執筆)
→最新記事「19. 韓国人が高級なワカメを買う理由」 ←2016.1.25UP
『ぐるなび目利きシリーズ ippin(イッピン)』(コラム執筆)
→最新記事「韓流スターが認めた味!新大久保で予約必須の韓国家庭料理弁当」 ←2015.12.18UP
『韓国語学習ジャーナルhana Vol. 11
』(FOOD連載)
→最新記事「Vol.11 フルーツ味」 ←2015.12.25発売
『地球の歩き方 旅いさら』(「旅コラム」執筆)
→最新記事「韓国でカラスを見ない理由 ~竹林浴とスンドゥブチゲを楽しみながら」 ←2016.1.19UP
『innolife.net』(「コラムニストと共にする料理紀行」執筆)
→最新記事「チャンオグイ(金海)」 ←2014.12.3UP
<イベント&オフ会情報>
2月4日(木)出版記念イベント「食する日韓交流 ~美味い!は国境を越えて」 ←募集中 ←NEW
※主催:チェッコリ
2月13~15日(土~月)第3回「ぐるぐるグルメ感謝ツアー(韓国南部)」 ←募集中
※受託販売:三進トラベル
2月20日(土)セミナー「韓国料理の健康思想と、食する韓方(ハンバン)」 ←募集中 ←NEW
※主催:ハンバンスタイル協会
※名古屋開催!
3月5日(土)第2回 八田式「世界一オモシロ美味しい韓国語講座」 ←1月21日募集開始 ←NEW
※主催:八田式ハングル事務局
3月22日(火):講座「春の韓国料理を味わう 春のキムチと野草・山菜を中心に」 ←募集中
※主催:朝日カルチャーセンター横浜教室
※商品へのリンクはamazonアソシエイトリンクが使用されています。
2 Responses to 食の日韓論 ~ライターの塩澤雄二さんが書評を書いてくださいました