留学直後で身の程を知らなかった24歳の僕が一瞬で凍り付いたトラウマ単語。

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 普段から日常的に韓国語を使っていますし、仕事上で韓国語に困ることはあまりありません。あくまでも自分の専門分野に限ってですが、飲食店の取材であれ、インタビューであれ、韓国語でのトークイベントであれ、ときに拙くはあってもそれなりにこなします。ただ、そんな専門分野においてもできれば避けて通りたい仕事がひとつあります。

 通訳です。

 よほどのことがない限り請け負いません。はっきり言って無理です。立場上、どうしてもやらねばならないときはありますが、自分でもかなりポンコツだと思います。韓国語が話せるのと、韓国語の通訳ができるというのはまったく別次元の話です。

 僕がそれを初めて思い知ったのは24歳のころ。留学から戻ってきたばかりで、自分の韓国語力を試したい気分もあったのでしょうね。知り合いの知り合いから流れてきた通訳の仕事を、なんの躊躇もなく請け負い、そして大失敗しました。アニメ業界の通訳でしたが、ろくに下調べもせず、専門用語の連続に混乱し、まったく役立たずもいいとこでした。

 その中でもひとつ強烈に覚えているのが、

「빙하기(ピンハギ)」

 という単語。

 僕はそのとき以来、忘れたくても忘れられませんが、「氷河期」という意味です。冒頭の写真は手持ちから氷河期の写真が見当たらなかったので(ねえよ!)、ピンス(カキ氷、빙수)で代用しました。通訳ってひとつ単語がわからないだけでも致命傷になることがあるんですよね。この単語がわからず固まってしまい、

「빙하기(ピンハギ)がわからないんですか……」

 と依頼者さんにあきれられてしまいました。いま振り返っても気持ちは針のムシロです。

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 それ以来、できるだけ通訳はしないようにしていたのですが、ときにやらねばならない場面もあります。この写真は唐津(タンジン)という地域にある1933年創業の新平醸造場。蓮の葉を入れて造る白蓮マッコリを自慢とする蔵ですが、ここをマッコリツアーで訪れたときは、目の前で社長さんの話が始まってしまったため、自分でやらざるを得ませんでした。

 そこそこ得意とするマッコリの話だったので、なんとかだいたいは訳せましたが、一連の話で唯一わからなかったのが……。

「주박(チュバク)」

 これもまた2度と忘れることはないでしょう。日本と同じ漢字を書いて「酒粕」のこと。固有語である「지게미(チゲミ)」「찌꺼기(チッコギ)」という単語なら知っていたのに、なぜよりによって漢字語がわからなかったのか。

 幸いにも針のムシロという雰囲気ではありませんでしたが、酒蔵で通訳をしていながら酒粕を訳せないという恥ずかしい思いはしました。いまもって悔やまれる単語です。

 そんなふうに僕の数少ない経験でも痛い失敗の連続ですから、プロの通訳者さんというのは本当にスゴイなぁといつも思う訳です。いったいどれほどの準備をすればよいのか。むしろどのような準備をしておくべきなのか。そんなプロの心構えを学びたくて、次回のオレカテ(韓国関係の勉強会)は韓国語通訳者の嵯峨山みな子先生にお願いをしました。

第21回「オレカテ」(講師:嵯峨山みな子さん)2月6日開催

 本日1月6日(水)22時より申込み受付開始です。

 

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