10月1日から9日まで韓国出張に出ていました。すでに、twitter、Facebookなどでもお伝えしましたが、光栄なことに慶尚北道の広報大使を拝命しました。
今年6月に慶尚北道栄州(ヨンジュ)市の広報大使になったばかりですが、それがきっかけとなって道全体の広報も担うことになりました。今後は栄州をはじめ、慶州(キョンジュ)、安東(アンドン)、浦項(ポハン)などの主要都市も念入りに取材し、その魅力を伝えていきたいと考えております。
なお、僕は「料理観光の優秀性と長所を日本に広く知らせる」のが主な役割ですが、同時にもうふた方が広報大使に委嘱されており……。
編集&ライティングユニット「おいしいしごと」の韓麻木さんは滞留観光(宿泊を伴う観光)、コスメライターで「韓国コスメ イヤギbyジャヨンミ」や「韓式イヤギbyジャヨンミ」を運営するジャヨンミさんは「美容産業」の優秀性と長所を日本に広く知らせると役割が分けられています。
早速、今回の出張でそれぞれの立場から慶尚北道の各地域を取材してきましたので、遠からず、その成果も形にして発信していく予定です。
本ネタのほうはいずれ形になるまで、しばらくナイショということにして、まずは帰国報告を兼ねながら仕事以外で食べたものを並べてみたいと思います。
秋の慶尚北道ということでマツタケの取材もしてきましたが、それが終わった後の食事でもさらにマツタケ。栄州在住のグルメな友人の案内で、倉庫のような卸売店でリーズナブルなマツタケを仕入れ……。
焼肉店に持ち込んで一緒に焼く、という地元ならではの体験をしました。
マツタケをいっぱい買い込んだので、「牛肉は残してもいいからマツタケだけは食え!」という贅沢なやり取りがあったり。自分で書いていてもイヤミだなぁとは思いますが、ここ3年ほど秋の慶尚道取材が多く毎年マツタケを山ほど食べています。
慶尚北道では奉化、安東、青松(チョンソン)などの内陸部が産地として有名。
かと思えばこんな海のものにもありつきました。
韓国語でナクチと呼ばれるテナガダコは全羅南道の特産品ですが、ちょうど木浦(モッポ)の方々が栄州に来ており、お土産として大量に持っていらしたものを相伴にあずかりました。
それを活きたままの踊り食いにチャレンジ。
前回、木浦でこれを食べたのは2005年でしたから10年ぶりの体験ですね。うねうね動くところをしっかり手でつかみ、まずは頭だけをよく噛み潰して、動かなくなったところを足まで味わうというのが流儀です。
下手をすると吸盤が喉に貼り付いて窒息することもありますからね。
残酷ではありますが、殺られる前に殺れ! が鉄則。人によってコチュジャンをつける人もいますが、そのままでも素材の塩気で充分美味しく食べられます。
あるいはソウルに戻りまして、コンビニ前で気のおけないメンバーで外飲み。
韓国の春秋はちょうどいい野外飲みのシーズンなんですよね。屋台でもいいですし、こうしたコンビニ前でのビールをぐいぐいやっている人たちがけっこういます。酒やつまみが足りなくなればすぐ買い足せますし、少し肌寒くなってきたらカップ麺でも作ってシェアすればよし。
これを貧乏ったらしいと思うか、粋と思うかで、韓食生活はだいぶ変わってきます。
ちなみに写真は「Photo Fix梨大店」の奈穂さんからお借りしました。コチラの記事や、コチラの記事でも外飲みを提唱されているほど、この分野では信頼のおけるプロフェッショナルです。
この夏、キワモノ的なチキンとして一部でブレイクした「メキシカーナチキン(멕시카나 치킨)」のイチゴ味、メロン味、バナナ味もしっかりフォロー。この冬、来年に向けたフルーツブームの起爆剤と予想しています。
赤、青、黄という3色から「信号機チキン(신호등치킨)」とも呼ばれていますが、見た目通りのド派手なインパクトがウリです。ただし、味については一切ノーコメントの方向で。
個人的には柚子焼酎のスナリから始まったフルーツテイストブームに対し、初期段階から敏感に反応した商品と評価しています。すでに第2弾の柚子&レモン味が発売されており、こちらは酢豚のような味わいできちんと美味しく味わえます。
Facebookでも紹介しましたが、出張中に1度は立ち寄る先生宅の夕ごはん。どれほど高級店を食べ歩いても、心尽くしの手料理にかなうものはありません。
豆入りごはん、蔚珍産のワカメを牛肉と煮込んだミヨックッ(ワカメスープ)、紫蘇の葉や穂紫蘇のティガク(揚げ物)、牛肉を多めにした薬コチュジャン、ゴマ油と刻みネギを振った特級品の明太子、汁気を少な目にして漬けた白菜キムチ、フキの和え物、完熟キュウリのコチュジャン和え、タケノコの和え物。
どれも目からウロコが落ちるほどに美味しかったです。感謝。
また、そんな先生とともに、今回は京畿道の南楊州(ナミャンジュ)でトークイベントに参加しました。韓国人相手に、韓国料理の話を、韓国語で語る、という大それた役割でしたが、先生も含めて3人でのトークだったので、まあなんとかなったかと。
それを終えて打ち上げ的に食べに行ったのがトンチミグクス(水キムチ麺、동치미국수)でした。
しかも、2軒ハシゴで。
またどこかできちんと書こうとは思いますが、松村里(ソンチョンニ)という町に「チュギョジュヌントンチミグクス(죽여주는 동치미국수)」「開城チプ(개성집)」という2軒の店が並んでいます。どちらもトンチミグクスが有名ということで、それなら両方食べようと思える皆様とご一緒できたのは何よりの幸せ。
個人的には、写真2枚目「開城チプ(개성집)」のほうが甘さがなくて口に合いました。
開城式のコギマンドゥ(肉餃子、고기만두)とキムチマンドゥ(キムチ餃子、김치만두)、ピンデトク(緑豆のチヂミ、빈대떡)、カルグクス(手打ちうどん、칼국수)なども美味しかったので、いろいろシェアしながら食べてもいいお店だと思います。
店名:チュギョジュヌントンチミグクス(죽여주는 동치미국수)
住所:京畿道南楊州市鳥安面北漢江路547(松村里754-2)
住所:경기도 남양주시 조안면 북한강로 547(송촌리 754-2)
電話:031-576-4070店名:開城チプ(개성집)
住所:京畿道南楊州市鳥安面北漢江路539(松村里792-1)
住所:경기도 남양주시 조안면 북한강로 539(송촌리 792-1)
電話:031-576-6497
そして大邱(テグ)。ここしばらく身の回りにやたら大邱ファンが大増殖し、なかなか行けず肩身の狭い思いをしてきましたが、およそ2年半ぶりに足を踏み入れてきました。
広報大使の委嘱状をいただいた慶尚北道庁が大邱にあるからという、いかにもついでの立ち寄りですが、朝食として名物のタロクッパプ(大邱式のスープごはん、따로국밥)を食べました。大邱にドハマリしているブロガー「ポテサラ、あるいはKOREA DAYS」のポテサラ男爵さんからご紹介いただきまして、コチラの店を朝から訪問。
たぶん、クチコミで日本からのお客さんがたくさん行っているんでしょうね。日本人だとわかると、これも食べてと追加のパンチャン(副菜)が出てくるなど、あれこれ気遣っていただきました。
写真にあるニンニク、ニラ、海苔を好みで足しながら味わうのですが、何も入れずとも控えめな塩気の中に、しっかり牛のダシが出ています。なんというか、昔ながらのクッパプ(スープごはん)という感じ。ソンジ(固めた牛の血)を入れるかどうか事前に聞いてくれるので、苦手な方は除いて食べることもできます。
タロクッパプの後は朝食のハシゴで1957年創業の「サムソンベーカリー」へ。
通称、麻薬パンと呼ばれる写真のトンオクススパン(トウモロコシパン、통옥수수빵)が有名なお店です。中にマヨコーンがたっぷり入っているのに加え、表面には甘いコナコナのコーティング。この甘こってりとした感じが麻薬(ヤミツキを意味する俗語)なんでしょうね。
店名:サムソンベーカリー(삼송베이커리)
住所:大邱市中区中央大路395(東城路3街7-6)
住所:대구시 중구 중앙대로 395(동성로3가 7-6)
電話:053-254-4064
B級グルメの宝庫といえる大邱らしい朝食を楽しみましたが、マニアのみなさんが深ボリしているので、おすすめいただいたものだけでもすでにかなりの数。いずれしっかり時間を作って探索しに行きたいと思います。
また、今回の取材中、ふとしたところから「大邱の食文化は慶尚北道の集大成」という意見に出合いました。確かにどの地域でも交通の要衝となる大都市には周辺の食文化が集まってきます。せっかく慶尚北道の広報大使を拝命したので、慶尚北道の視点から大邱を見る、というのも面白いかなぁと。まだ思い付きの段階にすぎませんが、今後意識していきたいと思います。
以上、駆け足に9日間の取材こぼれ話。いずれ本編の記事もあちこちで書きますので、随時そちらもご覧いただければ幸いです。