少し遅くなりましたが帰国報告です。
6月3日から10日までソウル出張に出かけていました。普段は地方ばかりをうろうろしておりますが、毎年この時期は「るるぶソウル」の取材です。ソウルの流行料理や、流行スポットを巡りつつ、今回も刺激の多い取材をしてきました。
これから取材内容をまとめて原稿を書いて、9月には今年の「るるぶソウル」ができあがりますので、その頃にまた報告したいと思います。
さて、冒頭の写真はソウルに到着してすぐに撮ったもの。
おかげさまで1日を除いて天候には恵まれました。むしろいま韓国は日照りに苦しんでいるので喜べる話ではないのですが、観光地などの写真を撮る立場から考えると、やっぱり天気はいいほうが助かります。
同じく韓国はMERS(中東呼吸器症候群)への対策にも苦しんでおり、観光客もだいぶ減っているとの話ですが、少なくとも僕が見てきたソウルの市街地はほぼ普段通りです。マスクの人を見かけるというのが普段とは異なる点ですが、それでも多くて20人にひとりぐらいでしょうか。明洞(ミョンドン)などの観光地ではマスク率が跳ね上がりますが、見ていると日本人や中国人であることがほとんどです。
「いま韓国に行って大丈夫ですか?」
という質問をいただきますが、正直それに答えるのは難しいです。
外務省の海外安全ホームページを見る限り、いまのところ危険情報は出ておりませんし、MERSに関する情報を見ても、手洗い、マスク、十分な休息と栄養といった一般的な予防に加え、院内感染が多いことから救急外来の受診を控えるといった情報があるだけです。100%の安全を期するのであれば、それは行かないに越したことはありませんが、行って帰ってきた立場とするとやや過剰とも感じます。
専門家による「出張や観光で韓国を訪れても感染することは考えにくい」との意見もあり、感染者のいる病院などを訪れるなど特別なことをしない限りは、まあ大丈夫だろうというのが私見です。もちろん責任は持てませんので、行く方は自ら情報を集めてご検討ください。
また、僕自身ですが至っていつも通りの体調です。
潜伏期間が最大で2週間(以上の情報もあり)あることを考えると、本来それまで表に出る仕事は控えるべきなのかもしれませんが、もろもろのイベントや講座などを中止にするというのも過剰に思え、いまのところは予定通りに行うつもりです。もし、これから体調の変化などがありましたら、その時点でまた検討します。
さて、ソウル駅にまず降り立ったのはゲストハウス「剛の家」のお世話になるため。
昨年11月の取材でもお邪魔し、すっかり定宿化している日本人専門のゲストハウスです。韓国の一般家庭に宿泊するというのがコンセプトなので、一般的なゲストハウスというよりも親戚の家に泊まるような感覚であって欲しいとのこと。象徴的な要素に……。
「朝ごはんはみんなで食べる!」
というポリシーがあげられます。
親戚なのだから一緒にごはんを食べるのは当たり前。AM8時にリビングへ集合して、奥様の手料理をみんなで味わいます(人数によってテーブルが分かれていたりはしていますが)。
この日の朝食は、黒米入りのごはんにミヨックッ(ワカメスープ、미역국)。4種類の副菜には僕の好物であるチィナムル(シラヤマギクのナムル、취나물)も含まれていました。そして焼き海苔。これぞ韓国の朝ごはんです。
翌日はタッチュク(鶏粥、닭죽)。
丸ごと1羽ではないサムゲタン(高麗人参とひな鶏のスープ、삼계탕)だと思っていただければいいですが、柔らかく煮込んだ鶏肉とそのスープでもち米のごはんを煮込んでいます。ナツメ、銀杏、ニンニクなども入って栄養満点。一日の活力をチャージできます。
豆ごはんとテンジャンチゲ(味噌チゲ、된장찌개)。4種の副菜には焼き魚もついていました。
大きな餃子の入ったトッマンドゥクッ(餃子入りの雑煮、떡만두국)。
豆ごはんとチョングッチャン(納豆汁、청국장)。写真にはありませんが、この日はパジョン(ネギのチヂミ、파전)もついていました。
黒米のごはんとソゴギムクッ(牛肉と大根のスープ、소고기무국)。
4種の副菜にコダリチム(生干しスケトウダラの蒸し煮、고다리찜)が入っていたのもポイントが高かったですね。居酒屋などのメニューで稀に見かけますが、これも家庭ならではの料理です。
統営(トンヨン)の親戚から魚が届いたんですよ、ということでひとりに1尾、尾頭付きの焼き魚が並んだりも。
ごはんとたっぷりのスープ、それに副菜4品というのが定番のスタイルですが、運がいいとそこに1品ついてくるという感じでしょうか。どちらにせよ、朝からかなりお腹いっぱいになりますし、この後にコーヒーかお茶も出てきます。
観光客の立場ではなかなかこういった朝ごはんを食べるのは難しいですし、連泊してこれだけ違った料理が出てくるというのは、そこに力を入れている何よりの証明でしょう。朝ごはんのためにでも泊まる価値がある、というのを強くお伝えしたいと思います。
滞在中の1日は夕飯もご一緒させていただき、家庭でのサムギョプサル(豚バラ肉の焼肉、삼겹살)を楽しみました。
外食として食べることも多い料理ですが、こうして家庭で食べることもよくあります。留学時代は寄宿舎の庭に友人らを招いて、サムギョプサルパーティをよく開催しました。そんな家サムギョプサルの記憶がよみがえって、妙に懐かしい気分に浸ったり。
こちらがオーナーご夫妻。
ご主人が長渕剛の大ファンであることから、このゲストハウスは「剛の家」。ご主人は生粋の韓国人ですが、日本名で小川剛(おがわつよし)を名乗っており、みんなからは剛さんと呼ばれています。
ゲストハウスでの宿泊は長所短所それぞれありますが、長く滞在する人や、韓国家庭での暮らしを体験してみたい人、それと奥様の作る朝ごはんにひかれる人にはオススメです。逆にそういった親戚付き合いのような距離の近さが苦手な人には向きません。朝食の時間が決まっていたり、他の旅行客とも設備を共有するなど、自由が制限される部分は確かにあります。
とはいえ……。
・1泊5000円(日本円で支払い、朝食付)
・全室パソコンあり、全室Wi-Fi利用可(いずれも無料)
・長期滞在時の割引有(4泊以上)
・2泊以上の滞在時は洗濯無料
といった料金とサービスは魅力的かと。逆に……。
・ソウル駅から徒歩15分ほど(11番出口からなら10分)
・一部の部屋は風呂トイレ共同(9部屋中4部屋は風呂トイレ付)
・部屋は3、4階でエレベーターなし
あたりがマイナス要素になるかと。
それでも大きな荷物のあるチェックインとチェックアウトの日はソウル駅まで車で送迎してもらえますし、荷物も3、4階まで剛さんが運んでくれます。また、家のすぐ前に「厚岩市場(フアムシジャン)」というバス停があって、ソウル駅、明洞、乙支路(ウルチロ)方面、梨泰院(イテウォン)の隣駅である緑莎坪(ノクサピョン)、新沙洞(シンサドン)、論峴洞(ノニョンドン)、江南(カンナム)、良才(ヤンジェ)などは1本で行けて便数も多いです。
観光客にとってバスに乗るというのはかなりハードルの高い移動手段ですが、もしこれを有効活用できるのであれば市街地の中でも便利な立地と言えます。
ゲストハウス自体はソウル各地に増えていますし、女性専用だったり、伝統家屋の韓屋スタイルだったりと、いろいろ選択肢はあります。ファミリーなど団体で宿泊するのにも向きますし、観光客の立場ではなかなか体験しにくい出前を注文しての宴会なども楽しいかと。
チキンとビールで一杯やって、そのままひっくり返って寝られる至福。
2日酔いで食べる朝食もたぶんひとしおです。
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