赤坂「古家庵」で夏の韓国料理を味わう講座~高麗人参に始まり高麗人参に終わる

14090101

 8月23日に行った朝日カルチャーセンター横浜教室の外出講座。

 毎度、どこぞの韓国料理店に足を運んで、テーマに沿った料理を味わいつつ、韓国文化も学ぼうという企画です。今回はタイトルが「夏を乗り切る韓国の食習慣 - 薬食同源と以熱治熱」ということで夏の料理がテーマ。会場は韓国のアンティーク家具も並ぶ、赤坂の「古家庵」でした。1997年創業と界隈でも古株の1軒です。

14090102

 冒頭に僕のほうから、韓国における夏の食習慣について簡単な解説を行い、その後、この日のために作っていただいた特別料理を楽しむという流れ。

 写真は前菜3品。左から

・チョッピョン(牛の煮こごり、족편)
・オジンオガンフェ(イカの葉ネギ巻き、오징어강회)
・エホバッチョン(韓国カボチャの衣焼き、애호박전)

 といった品々が並んでいます。

 お店のママさんいわく、チョッピョンは胃に負担をかけない夏の家庭料理だとか。牛の足を丹念に煮込むとゼラチン質が溶け出て、冷やすことでぷるぷるに固まります。熱い状態でスープとして飲んでもいいですし、固めたものをひと口大に切れば、ちょっとした一品料理になります。この写真は少し時間が経ってから撮ったので、溶けてでろーんとしちゃいましたけどね。

 オジンオガンフェはゆがいたイカを、細切りのパプリカや錦糸卵とともに、同じくゆがいた葉ネギでぐるっと巻いた料理。葉ネギやセリで巻いた料理を総称してカンフェ(강회)といいますが、色合いが鮮やかで見た目にも映えるのが魅力です。味付けはチョコチュジャン(唐辛子酢味噌、초고주장)。

 イカと同じく、エホバク(韓国カボチャ、애호박)も夏の食材ですね。薄い衣をつけてジョン(衣焼き、전)にしてあります。

 あと、写真では切れてしまいましたが、右上にちらっと写っているのがインサムジュ(高麗人参酒、인삼주)の器。強いお酒なので味見程度の食前酒でしたが、まずはここから夏を乗り切るパワーを充電しました。

14090103

・プッコンクッ(枝豆の冷製スープ、풋콩국)

 韓国で枝豆を見ることってほとんどなかったのですが、最近は日本居酒屋の進出もあり、それなりに馴染みが出てきました。枝豆を冷製スープに仕立て、セアル(새알)と呼ばれる白玉をふたつ落としてあります。飾りには松の実。この日はスープとしてでしたが、これでコングクス(豆スープ麺、콩국수)を作っても美味しかったでしょうね。

14090104

・プルコギサラダ(牛焼肉のサラダ仕立て、불고기샐러드)

 「古家庵」名物の一品です。この日は特別メニューということで、ちょっと贅沢な牛肉を使いつつ、たっぷりの生野菜とサラダ仕立てで味わいます。

 この店のママさんは家庭料理の中でも野菜の使い方が上手で、肉料理を食べていても野菜をどっさり摂れるのが嬉しいところ。赤坂にあって会社員の方にも野菜をしっかり食べて欲しい、というのが創業以来の大事な思いだそうです。

 ちなみにこの料理、ランチではごはんと食べても美味しいのですが、うどんというチョイスもあって、プルコギサラダうどんにもなります。まだまだ暑い日は続くと思いますので、そういうときには爽快な一品です。

14090105

・ヘムルプチュジョン(海鮮ニラチヂミ、해물부추전)

 ただ海鮮チヂミとしてもいいのですが、この店では夏場はニラを使い、冬場は長ネギを使うとの変化があります。葉ネギではなく、長ネギというのが珍しいですけどね。そのへんの話はかつて記事にも書きましたので、興味のある方はご覧ください。

14090106

・ポッサムキムチ(包みキムチ、보쌈김치)

 これは予定になく、サプライズメニューとして登場しました。この日は唐辛子の入った料理がほとんどなく、一品ぐらいは赤いものがあってもいいかな、という意味合いがあったそうです。ポッサムキムチといえば、魚介などの具をたくさん入れたキムチのことですが、この日はタコやとびこ(トビウオの卵)などが入っていました。

14090107

・サムゲタン(ひな鶏と高麗人参のスープ、삼계탕)

 メイン料理登場。じっくり煮込んだ鶏肉からいいダシが出ていました。もち米、高麗人参のほか、ナツメ、ニンニクなども入っていました。すでに伏日(サムゲタンを食べる日)は過ぎていますが、これを食べたことで残暑に対する備えにはなったかと思います。

 なお、「古家庵」でサムゲタンは要予約メニュー。食べたい人は事前に連絡が必要です。

14090108

 最後はデザート。

 「古家庵」のランチには牛乳ベースの高麗人参ジュースがつくのですが、それを牛乳かんのように固めたものです。トッピングは蜂蜜に漬けた高麗人参とミント。高麗人参酒に始まり、サムゲタン、デザートでシメるという高麗人参尽くしのスタミナコースでした。

 こうした朝日カルチャーセンター横浜教室の講座は、年に4回ほど行っており、最近は半分が座学、半分がおでかけといった感じでやっています。次回は座学の番で12月6日(土)に開催。韓国・ソウルにおける流行料理とその背景について語ります。

もっと深く知る韓国・ソウルの食 - 流行の背景を読み解く
https://www.kansyoku-life.com/calendars/yokohama_asahi20

 先日、大阪でもやりましたが、ソウルのオススメ店100軒リスト付き。12月までにまたソウル出張もあるはずなので、最新情報なども抑えつつ微改訂をしていきたいと思っています。すでに申し込みも始まっていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

 

→韓食生活のトップページに戻る

→最新記事の一覧を見る



2 Responses to 赤坂「古家庵」で夏の韓国料理を味わう講座~高麗人参に始まり高麗人参に終わる

 

 
 
previous next