「黒田福美&八田靖史と行く ぐるぐるグルメ感謝ツアー」
2月6~8日(9日延泊あり)の日程で開催されました。
昨日もちらっと書きましたが、参加者はなんと総勢59名。
上の画像に1号車とあるのは、2号車もあるということですね。
観光バス2台を連ねて、ソウル近郊エリアを訪れました。
今回のタイトルは福美さんが出版した、
という本が元ネタになっています。
このタイトルはもともと「スッカラ」での連載を経たもので、
韓国各地をぐるぐる回って地方旅行の魅力を伝えるもの。
そこに僕の守備範囲である「グルメ」をつなげて、
「ぐるぐるグルメ」
というタイトルが決まりました。
韓国の地方をぐるぐる巡りながら観光をしつつ、
グルメのほうも最大限に楽しもうというのが趣旨です。
最後に「感謝ツアー」とあるのは、僕も福美さんも、
三進トラベルでのツアーをやらせていただいており……。
「常連様への感謝を込めた還元ツアーにしよう!」
という当初の意図があったから。
実際、旅行代金なども安く抑えていろいろ特典もつけましたが、
そのおかげか新規の方にも多数ご参加いただくこととなりました。
今回の企画は「ミステリーツアー」となっており、
事前段階ではソウル近郊とだけしかお伝えしませんでした。
当然、何を食べるか、何を見るかもアナウンスなし。
お申し込みいただいた方のみ、1週間ほど前に連絡が来て、
それでもざっくりとしか行き先、内容が伝えられないとの企画でした。
不安と期待がないまぜになる中、まず到着したのは……。
「坡州(パジュ)!」
ソウルの北にあって軍事分界線を挟んで北朝鮮と向かい合い、
朝鮮戦争の停戦協定を行った板門店を有することでも知られます。
南北分断という現実をもっとも肌で感じられる地域のひとつ。
ただ、グルメの視点から見ると、人や車の往来が制限されるため、
清浄な環境で農作物を栽培できるとのメリットもあります。
そんな坡州における特産品のひとつが……。
「長湍豆(チャンダンコン)」
と呼ばれる大豆。
長湍(チャンダン)とは坡州市内にある町の旧称であり、
古くから大豆をはじめ、穀物の産地として名を馳せました。
日本統治時代である1913年にはこの地域でとれる大豆が、
初の奨励品種に指定されたとの名誉な歴史もあります。
写真はそんな長湍豆を使ったトゥブポッサム(豆腐と茹で豚の葉野菜包み)。
白い豆腐と、やや灰色がかって見えるのは黒ゴマ入りでした。
ちょっと固めに作ったこれらの豆腐は、しっかりとした甘味があり、
茹で豚や葉野菜、キムチなどにも負けない力強さがありました。
こちらはもう1品、トゥブジョンゴル(豆腐鍋)。
たっぷりの豆腐に加え、キノコ、野菜が入っています。
余裕があったら長湍豆で作ったテンジャンチゲ(味噌チゲ)とか、
チョングッチャン(納豆汁)、ピジチゲ(おからチゲ)も食べたかったですね。
大豆がいいということは、大豆製品もみんな美味しいということ。
地域の食文化を支える、大事な特産品です。
その後、坡州プロバンスというテーマビレッジに出かけ、
名物とされるマヌルパン(ガーリックパン)をつまみ食い。
ツアーとして予定されたものではありませんでしたが、
情報として提供したところ、多くの人が買っていらっしゃいました。
ガリガリ食感のバゲットスタイルと、柔らかなデニッシュスタイル。
どちらも予想以上に美味しく、甲乙つけがたい味でした。
夕食は坡州市内を流れる臨津江(イムジンガン)名物から、
軍事地域の鉄条網をバックに、野外で煙を立てながら焼くウナギ……。
のはずでしたが、今回行ったらガラス戸で覆われていました。
店員の制止を振り切って鉄条網の向こうを覗きに行った人がいたのか、
あるいは単に焼き場のみなさんが寒さに耐えきれなかったのか。
理由は聞きませんでしたが、僕の思う情景とはちょっと違いましたね。
「ウナギと鉄条網のミスマッチこそ坡州らしさ!」
なんて話をすると、こういうことになります。
まあ、ウナギの味には影響ないんですけどね。
かつて臨津江では天然のウナギがたくさんとれたそうですが、
日本も韓国も天然物は激減し、いまは養殖物が主流となっています。
しっかり脂の乗ったウナギは、ブリッと弾けるような食感で、
白焼き、醤油ダレ焼きともに、みなさんから大好評でした。
葉野菜に包んで食べるという韓国式のスタイルも新鮮であり、
焼き立て、そして炭火焼きの風味というのもよかったですね。
それとともに臨津江名物としてぜひ食べていただきたかったのが……
「メギメウンタン(ナマズの辛い鍋)!」
ナマズと聞いてギョッとした方も多いかもしれませんが、
食べてみるとクセもなく、白身の美味しい魚です。
ウナギが名物ということは、他の川魚も豊富だということ。
こちらも現在は養殖物を使っているそうですけどね。
「ああっ、ナマズのヒゲも入ってる!」
なんて声も飛び交っておりましたが、
すくい上げてみると、実際は川エビのヒゲだったりして。
地元の坡州生マッコリも飲みながら、だいぶ雰囲気も和んできました。
1日目の夜は高陽(コヤン)市に移動して宿泊。
2日目の朝はメインである江華島(カンファド)方面に移動しつつ、
すぐ手前に位置する金浦(キンポ)市の大明港(テミョンハン)で朝食でした。
前日のメウンタンに引き続いて、この日も朝から……。
「サムシギメウンタン(カジカの辛い鍋)!」
大明港でとれる魚というのはシーズンによって決まっており、
冬はカジカか、ボラ、またはブリということになっています。
カジカはオコゼやカサゴにも似た頭の大きな魚ですが、
グロテスクな見た目に比して、味は淡泊で上品な白身です。
刺身で食べると、やや物足りないぐらいの味なのですが、
じっくり煮込むと、途端にいいダシが出てきます。
この汁をごはんと一緒に味わいながら……。
焼き魚もつつこうではないか、というのが今回の趣向。
手前で固まっているのがトンオグイ(ボラの稚魚の焼き魚)で、
奥で放射状に並ぶのがペンデンイグイ(ツマリエツの焼き魚)です。
ボラの稚魚は寒い時期にしか味わえない珍味のひとつで、
頭から骨ごとかじると、ほんのり苦味を含んで大人の味わい。
ツマリエツのほうも地元の人は頭からバリバリといきますが、
ガサッとした食感の中にも脂が豊富でたいへん美味です。
ツマリエツは本来、5~6月が旬とされておりますが、
冬場は全羅南道のほうから、どんどん運ばれてくるそうです。
寒い時期だからこそ、脂が乗っているのかなとも思ったり。
水揚げと同時に死んでしまうため、活けでこそありませんが、
冷凍ではなく、急速冷蔵という方法で鮮度を保つそうです。
それとひとつ余談。
この魚、辞書を引くと「サッパ」と出てきますが、
実際はよく似た「パンジ」という魚でペンデンイは京畿道方言です。
パンジを日本語にすると、馴染みのないツマリエツという名前になり、
このあたりのややこしい経緯は以前に書いた記事が詳しいです。
コリアうめーや!!第294号/未来に宿題を残す反省の弁!!
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1534.html
上記の記事ではまだ未検証となっていますが、
1月の出張時に写真を撮って図鑑サイトで検証しました。
僕の判断では間違いなくツマリエツです。
もうひとつ済州島におけるカワハギの事例も確認済で、
こちらはほぼウマヅラハギということで結論を出しました。
ただし、区別なしにカワハギを使う場合もあるようです。
なんて、ややこしい方面に話が行っちゃいましたが、
やたらとボリューミーな朝食の後は、近隣にある市場を散策。
つかの間の腹ごなしを経て、いよいよ江華島へと向かいます。
長くなりましたので、ここで区切るとしますかね。
この後、中編、後編と三部作になる予定です。
三進トラベルサービス
http://www.sanshin-travel.com/
本ツアーの主催元。マニアックな韓国旅行に定評アリです!
三進トラベル「ぐるぐるグルメ感謝ツアー」後記(前編)
三進トラベル「ぐるぐるグルメ感謝ツアー」後記(中編)
三進トラベル「ぐるぐるグルメ感謝ツアー」後記(後編)
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