三進トラベルの「まんぷくツアー」は3日目に突入。
統営(トンヨン)での朝食は、いろいろ悩んだ結果、
いちばん定番といえるだろうこちらから始めました。
統営名物の忠武キムパプ(ひと口海苔巻き)。
忠武(チュンム)というのが統営の旧称です。
ひと口大に作った具なし、味なしの海苔巻きに添えられるのは、
オジンオムチム(イカの和え物)とカクトゥギ(大根の角切りキムチ)。
これらを長めの爪楊枝で、ぷすっぷすっと刺しながら食べます。
元祖とされている店が伝えるところによれば、
この料理が誕生したのは、1947年のこと。
当初は具ありの一般的なキムパプを売っていたものの、
どうしても暑い時期には傷みが早く……。
「じゃあ、具とごはんを分けよう!」
と思い至ったのがきっかけとか。
それが漁師の方や、旅行客に受けて定番化し、
いつしか統営地域の名物になったとのことです。
ただ、「まんぷくツアー」の朝食としてはやや軽めなので……。
ちょっと重めのオヤツを午前中に用意しました。
密度の詰まったずっしりみっちりのあんドーナツを、
さらに蜜でコーティングするというハイカロリーな一品。
それでも、必ず元祖の店で購入すること、という条件付きで、
「必食!」
の2文字を掲げておきたいと思います。
うまいんですよ、コレは。手がベタベタになりますけど。
その後、ケーブルカーに乗るなど一帯の観光を経つつ、
まだまだ統営に留まって、昼食もしっかり食べていきます。
「統営3泊4日でも充分成立するのではないか?」
という話を移動中にバスの中でもしたのですが、
この町は本当に食べるべき名物がどっさりあるのです。
その中から悩みに悩んでチョイスしたのが……。
「チャンオグイ(アナゴ焼き)!」
ぷりっぷりのアナゴに薬味ダレをかけて焼いたものですが、
店によっては、食卓で網焼きにする場合もあります。
そのままバクバク食べても充分美味しいですが、
エゴマの葉に包んで食べると、さらに味が引き立ちました。
個性のある素材だけに、力負けしないという感じですかね。
正直、焼肉も刺身も包まないほうが好きだったりするのですが、
このアナゴ焼きばかりは韓国式のよさを痛感しました。
生のニンニク、青唐辛子との相性も抜群です。
そのアナゴ焼きを食べながら、もうひとつのメインは、
これまた統営名物のカルチホバックッ(タチウオとカボチャのスープ)。
薄い味噌味ですが、ピリッと青唐辛子も効いています。
タチウオとカボチャの組み合わせは済州島にもありますが、
味付けに味噌を加えるというのが、大きな違いといえますね。
タチウオの鮮度を活かした済州島式の塩味スープに対し、
うっすら味噌を効かせる統営式はカボチャの甘味が引き立ちます。
このへんの微妙な地域差もたまらなく面白い部分かと。
その後、巨済島(コジェド)から船に乗って外島(ウェド)を観光。
あえて説明は省きますが、こんなレアな場所も訪問しました。
外島を出た後は、巨加大橋を通って昌原(チャンウォン)へ。
……という書き方をするとイマイチしっくりきませんが、
いわゆる馬山(マサン)が3日目夜の目的地でした。
2010年7月に馬山市は隣接する鎮海(チネ)郡とともに、
慶尚南道の道庁所在地である昌原市へと編入されています。
そんな馬山の名物といえば、何よりもアンコウ料理。
韓国では1960年代までアンコウを食べる習慣がなく、
この馬山において、その利用が始まったとされています。
上の写真はアグチム(アンコウの蒸し煮)ですが、
生アンコウでなく、乾燥アンコウを使うのが正当なる馬山式。
干しダラのような食感で、正直韓国でも好き嫌いは分かれるのですが、
にじみ出る旨味を楽しめるとの通好みな魅力もあります。
せっかくなので一緒にアグタン(アンコウ鍋)も注文。
こちらはぷるぷるの生アンコウを使っています。
翌朝。
3泊4日って、あっという間なんですよねぇ。
こんなに食べられるのかとか、何キロ太るのかと心配しつつも、
けっこうペロッと食べ切れてしまうのが不思議です。
馬山のアンコウ通りから、少し歩くとフグ通り。
馬山における朝食といえばポックッ(フグのスープ)です。
フグは値段によって種類を選べるのですが、
今回は東海岸産のミルボク(クロサバフグ)をチョイス。
僕らの行った店では、
「トラフグとクロサバフグのみ白子が入る!」
というスペシャルなサービスがあるのでした。
まあ、高価なトラフグを食べられればいちばんですが、
値段が倍近くになるというジレンマはありますね。
「安いフグのほうが身が大きく食べ応えもある!」
という言い訳のような本音もあったりします。
その後、馬山の市場で最後の買い物をして、
金海(キメ)での観光を経て、最後の食事は昌原名物のソクセプルコギ。
この場合の昌原とは、馬山、鎮海と合併する前の昌原です。
ソクセというのが網を意味するので、すなわち牛肉の網焼き。
この料理が名物となったのは1970年代、南海高速道路の建設当時で、
労働者が仕事の後に、焼肉で鋭気を養ったのが始まりといいます。
甘い醤油ダレと肉汁、炭火焼きの香ばしい風味が入り混じり、
この料理もみなさんの感想では評価が高かったですね。
地元の方は、この網焼きプルコギで焼酎を飲み……。
ソクッパプ(牛スープごはん)でシメるのが定番。
僕らもそれにならって、両方のメニューを楽しみました。
以上をもって3泊4日の「まんぷくツアー」が終了。
ご参加いただいたみなさま、本当にお疲れさまでした。
一覧にするとこんな感じですね。
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<1日目>
昼食:特注弁当(KTX車内)
間食:柿ワイン(清道)
夕食:清道韓牛の焼肉(清道)
<2日目>
朝食:清道式のドジョウ汁(清道)
昼食:マツタケ鍋、マツタケごはん、マツタケの刺身(昌寧)
間食:ユッケビビンバ(晋州)
夕食:牡蠣のフルコース(統営)
<3日目>
朝食:忠武キムパプ(統営)
間食:蜜がけあんドーナツ(統営)
昼食:アナゴ焼き、タチウオとカボチャのスープ(統営)
夕食:アンコウの蒸し煮、アンコウ鍋(馬山)
<4日目>
朝食:フグのスープ(馬山)
昼食:網焼きプルコギ、牛肉のスープごはん(昌原)
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そのほかにも細々としたオヤツがあったりもしましたが、
とりあえずこんな面々をずらり食べてきました。
事前の宣伝文句では、
「韓牛、マツタケ、牡蠣、アンコウ、フグ!」
といった高級食材をアピールしましたが、
いずれも地元に密着した食材であり、地域性を反映するもの。
決して贅沢なだけのツアーではないのが伝わるかと思います。
韓国内の評価は決して高くない慶尚道地域の料理ですが、
実際に食べれば、それがまったくの偏見であるのがわかるはず。
「慶尚道の料理は美味しい!」
ということを最後にアピールしつつ、
以上で、前、中、後編にまたがっての報告を終わりにします。
各記事の最後にも書きましたが、次回のツアーは2月。
女優、黒田福美さんとのコラボでソウル近郊を食べ歩きます。
食欲をくすぐられた方は、下記の詳細をご覧ください。
黒田福美&八田靖史と行くミステリーツアー ぐるぐるグルメ感謝ツアー
http://www.sanshin-travel.com/tour/detail.php?sid=1528