僕が韓国で留学生として暮らし始めた1999年というのは、
まだアジア通貨危機の影響で経済がたいへんな頃でした。
IMFからの資金援助を受け、なんとか経済を立て直しつつ、
2002年のサッカーW杯に向けて突っ走っていた時代です。
街中には「IMF価格!」なんていう貼り紙が出ていて、
値段の安さを強調していたのをよく覚えています。
その象徴的なひとつがサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉)。
記憶にある最安値は1人前2000ウォンぐらいでしょうか。
スンドゥブチゲが1人前2500ウォンという時代でしたから、
学生街に住んでいたにしても、かなり安い部類でしたね。
そんな激安サムギョプサルのイメージこそ冒頭の写真。
カンナくずのようにくるんと丸まった冷凍サムギョプサル。
これらを食べながら、当時23度のチャミスルをバカ飲みしました。
割り勘にしても、1万ウォンかからなかったいい時代です。
とはいえ、その頃はこんなつけダレもなかったですし……。
こんな見事な野菜コーナーもなかったですね。
なんと朝摘みの有機野菜がバイキング形式で取り放題。
このところの新大久保はすっかりサムパプブームで、
大量の包み野菜を用意する店が増えております。
本来、サムパプって「ごはんを包む」という意味なので、
新大久保における用法とは少しずれるんですけどね。
むしろ、
「サンパ」
という表記が主流なので、これは別物と考えるのでもいいのかも。
ごはんとは無関係に、焼き肉などの肉料理を大量の葉野菜で包む食べ方。
これを日本式の「さんぱ」として理解するほうがよさそうです。
鉄板に載せるそばから、すぐ焼けていくのは昔と同じ。
タレに浸しているぶん、焦げやすいのに注意です。
包み野菜はカゴに入れて持ってくるシステムでした。
葉野菜のほか、スティック野菜なども用意されており、
また、さっとゆがいた野菜があるというのもよかったですね。
この料理を美味しく味わうコツは、
「包み要員と、味・香り要員の役割分担を見極める!」
ことではないかと個人的に思っています。
ガサガサした葉っぱばかりでも食べにくいですし、
クセの強い野菜は、少量でないとアクセントとして機能しません。
ゆがくことで、かさが減るのはありがたい気遣いです。
薬味要員、味付け要員などもきちんと配置され……。
全部をひとまとめにしてガブリ!
間髪入れずに焼酎! といきたいところでしたが、
この後に重要な用事があったので、ぐっと我慢。
というか、この後は第2回「オレカテ」というときでした。
新大久保で少し早めのランチを食べて勉強会に臨む。
なかなかに充実した過ごし方だったと思います。
まあ、夜もサムギョプサル食べましたけどね。
セットについてくるスンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)。
タデギに入っているだろう牛脂系の甘味が濃厚で、
自分好みの味だったのは、予想外の幸運でした。
ただし、チゲは日替わりなので常にあるとは限らないようで。
ごはんはジャーから自分で好きなだけ取ってくるシステム。
サムギョプサルと、スンドゥブチゲと、焼酎が飲めなかったおかげで、
それはもう、ごはんが進んだのは言うまでもありません。
野菜コーナーの脇には、ナムルなどの副菜コーナーがあるので、
自前でビビンバを作って食べるというのも可能です。
サムギョプサルがおかわり自由で、有機野菜が取り放題、
ごはんも食べ放題で、1人1575円(税込)なら文句はないなと。
むしろ留学時代のノスタルジックな記憶もよみがえって、
なにやら幸せなランチタイムだったといえましょう。
さて、第3回「オレカテ」の前には何を食べようか。
そんなことを今から考えていたりします。
店名:やさい農家
住所:東京都新宿区大久保1-16-22
電話:050-5799-6458
営業:11:00~翌5:00
定休:なし
http://sampap.jp/
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