「来月浦項に来い。味噌仕込むから」
「え゛!?」
「取材していけ。メシぐらいおごるぞ」
「え、えーっと……」
という会話の詳細は過去記事をご参照ください。
コリアうめーや!!第288号
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1500.html
味噌を仕込むタイミングには間に合いませんでしたが、
一応、指示通りの「来月」に浦項を訪れました。
浦項というと海沿いの港町という印象が強いですが、
内陸方面に車を走らせると、山間部も存在します。
北部地域から続く太白山脈の最後あたりが浦項の山間部。
嘘か本当かは知りませんが、
「このへんの人は朝鮮戦争が起こったのも知らなかった」
というぐらいのド田舎にハンアリ(甕)の大群が並んでいます。
現在は約2000個、将来的には5000個まで増えるそうです。
多くの料理研究家や人気飲食店のシェフが絶賛する、
プレミアムテンジャン(味噌)がここで造られています。
竹長面(チュッチャンミョン)という地名から名前を取り、
ブランド名「竹長然(チュッチャンヨン)」となっています。
「然」の字は社長さんの名前にも入っている文字ですが、
「自然と歳月以外は何も入れていません」
というコンセプトにもかかっているんでしょうね。
テンジャンの原材料は、
「豆!」
「塩!」
「水!」
「以上!」
というのがいちばんのこだわりです。
地元産の大豆を使い、敷地内の地下200mから岩盤水を汲み上げ、
3年寝かせた新安産の天日塩で味を整え、あとはじっくり待つだけ。
いわゆる「名人」と呼ばれる人がいる訳でもなく、
地元の方々が、農閑期に交代で手伝いながら手造りで生産。
機械化されている部分も、
「豆を洗うのとつぶすところだけ」
というから徹底しています。
2009年の創業なので、会社としては新しいですが、
地元に密着している姿をしっかり見てきました。
まあ、社長さんとの付き合い自体は15年ほどだそうですし、
社長のお父様とはもっと古くからの付き合いだとか。
そういう緊密な人間関係があっての新しいビジネスですね。
ゲストハウスを作ったり、味噌造りの体験場を作ったり、
いろいろ計画はあるそうですが、ほとんどがまだまだ途中。
飲食店がある訳もでなく、この料理も地元の方の手造りです。
並の飲食店では到底かなわないほど素晴らしい味でしたけどね。
いずれも「竹長然」の醤油、味噌、コチュジャンを使った、
山間部ならではの春の味覚は、どれも衝撃のひとことでした。
詳細はまたいずれ。たぶんメルマガで書きます。
見学が終わったら、海沿いの地域まで繰り出して、
有名な竹島市場を巡り、また浦項名物も堪能しました。
サンマを生干しにして味わうクァメギです。
全国に宅配している有名な卸売店で家庭用セットを購入し……。
地元の飲食店に持ち込んで賞味。
ヌメッとして、シコシコとして、脂がにじみ出る。
ちょっとクセのある風味で苦手という人も多いようですが、
魚好き、珍味好きな人なら、むしろハマる味だと思います。
海苔と一緒にコンブかワカメを重ね、薬味を加えて、
チョジャン(酢コチュジャン)につけたサンマを載せて。
ええ、それはもう焼酎がどんどん進む味でした。
持ち込みを許可してもらった店の名物はムルフェ。
中央の器にはヒラメの刺身と、刻んだ生野菜、千切りの梨、
そしてたっぷりの海苔と、甘辛い薬味ダレが入っています。
これをぐるぐるっとかき混ぜるとこんな感じに。
ここに水(ムル)を注いで食べる刺身(フェ)ということで、
ムルフェと呼ばれますが、冷や冷やっとして爽快な味わいです。
江原道や済州島では最初から水が入っていることが多いですが、
どうやら慶尚道では水なしで出てくることも多い様子。
このままフェムチム(刺身の和え物)で食べてもいいですし、
僕を浦項まで呼んだ兄さん曰く、
「ムルフェは3段階で味わうべし!」
という人もいる様子。
1、3分の1をフェムチムの状態で食べる
2、3分の1を別の器に取り置き、残りにごはんを入れて食べる
3、取り置いた3分の1を器に戻し、水を注いでムルフェとして食べる
というのが兄さん流。
ムルフェ道もなかなか奥が深いということを知りました。
その後、浦項から慶州に戻り、今後はKTXで大邱に移動。
東大邱駅周辺に宿を取り、このブログはそこで書いています。
夜は大邱に住む友人の案内で、中華街のマンドゥ(餃子)。
韓国式の揚げ餃子に近いクンマンドゥ(焼き餃子)と一緒に……。
なぜかチムギョスと呼ばれている蒸し餃子も注文。
他のメニューはマンドゥなのに、なぜこれだけ呼び名が違うのか。
またほかにもメニューを見ると、不思議な料理名が多く並び、
大邱の中華料理事情には謎が多いということを学んできました。
まだ、まったく整理がついていないのですべてこれからですが、
おそらく大邱の中華料理には相当な面白さが眠っていそうです。
以前、書いたヤキウドンもその象徴的なひとつですが、
それにも負けない不思議料理の片鱗を感じてきました。
コリアうめーや!!第247号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber_all.php?back_rid=687907
2次会はこれまた地元感あふれるテント屋台。
豚肉の練炭焼きとウドンがここの名物だそうです。
これらを肴にしつつ、気持ちのよい夜を過ごしました。
さて、地方行脚もそろそろ終盤。
今日もこれからまた別の地方を目指す予定です。
<お知らせ>
日本で進化する韓国料理~食の韓流10年を振り返る~
http://www.rihga.co.jp/osaka/culture/single/detail/korean.html
<新刊情報>
韓国料理には、ご用心!
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http://books.rakuten.co.jp/rb/12257440/
<紹介記事>
スポーツソウルジャパン
http://www.sportsseoul.jp/article/read.php?sa_idx=4447
6 Responses to 出張報告(8)プレミアムテンジャンの生産地を訪ねる。