コリアうめーや!!第286号
<ごあいさつ>
2月になりました。
年末からのバタバタが続いており、
あっという間に1月が過ぎ去った印象です。
1月行く、2月逃げる、3月去るといいますが、
このままだと、2月にもすぐ逃げられる予感。
どこかで、えいやっと捕まえたいものですが、
なかなかそうもいかないのが難しいところです。
そんな慌ただしい中、今号のメルマガでは、
現実逃避かのように、手間のかかる作業と向き合いました。
ときおりこういう企画物を挟みたくなるんですよね。
思いついてしまったら、やらずにはいられない。
壮絶な手間と無駄の労作をご堪能ください。
コリアうめーや!!第286号。
ダイヤの原石を求めて、スタートです。
<1万分の1のミラクル韓国料理を探せ!!>
既存の料理に、ひと文字、ひと単語加わるだけで、
イメージが劇的に変化するということがある。
例えば、塩。
塩ラーメン、塩せんべい、塩鮭といった具合に、
塩で味付けをした料理はごく一般的にあるが……。
「塩アイス、塩チョコレート、塩ケーキ」
とつながることで、ちょっとした驚きが生まれる。
いまでこそ、塩スイーツはだいぶメジャーになったが、
初めて出会ったときは、大きな衝撃だった。
あるいは、生。
生ビール、生クリーム、生卵あたりはごく普通だが、
こちらはときに意外な高級感を生み出していく。
・ハム(普通) → 生ハム(高級!)
・キャラメル(普通) → 生キャラメル(高級!)
・マッコリ(普通) → 生マッコリ(高級!)
という印象がないだろうか。
塩と同様、たったひと文字でこのインパクトだ。
はたまた、炙り。
・シメサバ(普通) → 炙りシメサバ(特別!)
・チャーシュー(普通) → 炙りチャーシュー(特別!)
・寿司(普通) → 炙り寿司(特別!)
ちょっと炙っただけで、このスペシャル感。
熱を加えることで素材の旨味が活性化し、
炙らない状態よりもぐっと美味しそうに思える。
たったひと単語で、この効果はマジックだ。
こうしたスペシャル感を演出する単語を見るたび、
「そうか、その手があったか!」
「なんと、この料理をこの味わいで!」
「むむぅ、斬新な発想ではないか!」
と脳みその奥底をチリチリ熱くしていた。
まして、それが韓国料理であったらもう大変。
「その可能性には気付かなかったぁ!」
となんだか負けたような気分になる。
興奮と悔しさが入り混じって目が血走っていき、
鼻息もふんふん荒くなって挙動不審になる。
でも、そんな興奮がとても楽しかったりする。
こうした単語は、既存の料理に付け加えることで、
劇的に新しい料理として生まれ変わらせる力を持つ。
もちろん、その手法は別途工夫がなされねばならないが、
発想の可能性を導くのは単語レベルで充分可能だ。
「えっ、この韓国料理を塩で!?」
「えっ、この韓国料理を生で!?」
「えっ、この韓国料理を炙りで!?」
という可能性を探すのが今回の趣旨。
韓国料理の世界に、まだ埋もれている逸材を、
強引な力技で掘り起こしてみようと思う。
名付けて、
「1万分の1のミラクル韓国料理!」
を探すプロジェクト。
そう、タイトルに書いたとおりである。
では、なぜ1万分の1なのか。
どうせなら可能性は多いほうがいいと思い、
まず、ベースとなる韓国料理を100種選定した。
そこに合わせる意味も含め、料理を劇的に変化させる、
ミラクル要素も、やはり100種類選んだ。
「100×100=1万!」
この総当たりから、未来の韓国料理を探そうと思う。
論より証拠、まずは下記のファイルをダウンロードして欲しい。
例によって、僕の大好きなエクセルファイルだ。
http://www.koparis.com/~hatta/koriume286date.xls
ファイルを開くと、料理名がずらりと並んでいる。
いちばん左の列が料理名、その右に日本語訳。
そして、最上段にミラクル要素がずらり並んでおり、
それと組み合わせた料理名が下に続いていく。
アグタン(アンコウ鍋) × 塩 → 塩アグタン
アグチム(アンコウの蒸し煮) × 塩 → 塩アグチム
アルタン(スケトウダラの卵入り鍋) × 塩 → 塩アルタン
という一覧を見て頂く形だ。
実際に塩アグタンも、塩アグチムも存在しないが、
見ていくと、どこかに可能性を感じる料理名があるはず。
それを見出すための、一覧リストだと思って欲しい。
なお、ミラクル要素は以下のように選んだ。
=========================
<味の要素>
激辛、塩、濃厚、さっぱり、デザート風
クリーミー、香味、甘酢、ジューシー、ビター
<食感の要素>
カリカリ、とろとろ、もちもち、ふんわり、パリパリ
ぷりぷり、しっとり、サクサク、シャキシャキ、滑らか
<色の要素>
白、黒、ゴールド、プラチナ、レッド
グリーン、紫、三色、レインボー、太陽の
<素材の要素>
生、熟成、丸ごと、季節の、自家製、
とれたて、巨大、骨付き、カクテル、燻製
<調理法の要素>
炙り、揚げ、焼き、蒸し、冷やし、直火焼き
あんかけ、サラダ風、~ロール、シェフのきまぐれ
<地域性の要素>
和風、中華風、洋風、エスニック、イタリアン
フレンチ、田舎風、宮中、フュージョン、長崎(白くて辛い)
<提供方法の要素>
デカ盛り、盛り合わせ、ひと口、串、石焼き
食べ放題、持ち帰り用、つゆだく、ミックス、セルフ
<作用の要素>
ヘルシー、スタミナ、薬膳、懐かしの、美人
コラーゲン、ニンニク、ショウガ、高麗人参、ゴマ
<アレンジの要素>
~丼、~麺、~カレー、~鍋、~パン
~寿司、~の天ぷら、~風パスタ、~餃子、~焼きそば
<追加素材の要素>
チーズ、温卵、トマト、マヨ(ネーズ)、バター
アボカド、ハーブ、季節野菜の~、キノコ、納豆
=========================
これらを選ぶだけで3日かかったのは内緒だが、
いずれもミラクル要素を多分に含んだ単語であるはず。
韓国料理との融合で、新たな境地を開いて欲しい。
ということで、早速結果発表!
1万通り、すべてが総当たりであるため、
見ていくだけでも、これまた相当に時間がかかった。
また、明らかに無駄な組み合わせも多かった。
・激辛プルタク(激辛グリルチキン) → そもそも辛い
・甘酢タンスユク(酢豚) → そもそも甘酢の料理
・白ソルロンタン(牛スープ) → そもそも白い
・温卵ケランマリ(卵焼き) → そもそも卵料理
・生ユッケ(牛刺身) → そもそも生
あるいは、どう考えても現実的でない組み合わせも。
・激辛パッピンス(カキ氷) → カキ氷を辛く?
・骨付きトッポッキ(餅炒め) → どこに骨が?
・とれたてスンデ(腸詰) → どこでとる?
・石焼きネンミョン(冷麺) → 温麺になる?
・串コムタン(牛スープ) → どう刺す?
これら笑える組み合わせに足を取られつつ、
吟味に吟味を重ねて、見出した珠玉の候補がこちら。
せっかくなので各部門から3つずつ選んでみた。
あえて蛇足となるような解説はしないので、
想像力をもって、料理名と向き合ってみて欲しい。
=========================
<味の要素部門>
・塩ホットク(蜜入りのお焼き)
・甘酢ユッケ(牛刺身)
・クリーミーチョングッチャン(納豆汁)
<食感の要素>
・カリカリタッパル(鶏足焼き)
・パリパリチャプチェ(春雨炒め)
・もちもちトッカルビ(叩いた牛カルビ焼き)
<色の要素>
・黒チョッパル(豚足の煮物)
・グリーンプルタク(激辛のグリルチキン)
・太陽のタットリタン(鶏と野菜の鍋料理)
<素材の要素>
・季節のキムチポックムパプ(キムチチャーハン)
・丸ごとチョンボッチュク(アワビ粥)
・燻製カルビチム(牛カルビの煮物)
<調理法の要素>
・直火焼きナクチボックム(テナガダコ炒め)
・蒸しサムゲタン(ひな鶏のスープ)
・シェフのきまぐれメウンタン(魚入りの辛い鍋)
<地域性の要素>
・中華風キムパプ(海苔巻き)
・エスニックテジカルビ(豚カルビ焼き)
・長崎ユッケジャン(牛肉の辛いスープ)
<提供方法の要素>
・串タッカルビ(鶏肉の鉄板焼き)
・つゆだくプルコギ(牛焼肉)
・セルフケランチム(茶碗蒸し)
<作用の要素>
・スタミナパジョン(ネギのチヂミ)
・薬膳プゴクッ(干しダラのスープ)
・ショウガトッポッキ(餅炒め)
<アレンジの要素>
・カンジャンケジャン寿司(ワタリガニの醤油漬け)
・チュオタンカレー(ドジョウ汁)
・コングクス風パスタ(豆乳麺)
<追加素材の要素>
・チーズクジョルパン(宮中式クレープ包み)
・トマトカムジャタン(ジャガイモ鍋)
・アボカドポッサム(茹で豚の葉野菜包み)
=========================
えー、以上である。
センスのあるものも、ないものも。
実現できそうなものも、そうでないものも。
美味しそうなものも、微妙なものも。
1度頭の中をシャッフルしてみることで、
いろいろな可能性が見えてくるのではないだろうか。
そして、ここからは提案。
これを読んで想像力をかき立てられた人は、
ぜひ新しい味の組み合わせを、自ら探してみて欲しい。
頭の中をフラットにして見ていくことで、
意外な方向性からのインスピレーションがあるはず。
もし、ピンときたものを試作して、
美味しくできて、商品化にまで至ったら……。
ここはぜひ、
「1万分の1のミラクル韓国料理!」
と銘打って頂けないだろうか。
アイデア料なんて、ケチなことはいわないので、
1度御馳走して頂けるとたいへん嬉しいです。
<お知らせ>
来年3月に済州島ツアーを予定しています。
島ならではの郷土料理を食べつくす3泊4日。
ご興味ある方は、ぜひご検討ください。
八田靖史と行く済州島まるごと食べつくしの旅
http://www.mrt.co.jp/topics20121201.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
見ているだけで目がチカチカするリスト。
宝の山だと思って、じっくり見つめてください。
コリアうめーや!!第286号
2013年2月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
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