家庭料理店が増えて、専門店が減少する新大久保。
サムギョプサルを中心として、鍋料理を揃え、
トッポッキ(餅炒め)やキムパプ(海苔巻き)は必須。
そんな売れる店の方程式が確定してきた気がします。
以前は個性的な専門店がけっこうあったんですけどね。
新大久保自体がメジャー化の道を歩んでいるともいえますが、
マニアックな料理が新大久保から減るのはツマンナイ。
コアな韓食好きとしては、心の叫びでもあります。
そんな中で。
昨年、この店を発見したのはちょっとした驚きでした。
なんと「マンドゥ(韓国式餃子)」の専門店。
韓国料理のジャンルとしてはマイナーな存在である、
「韓国式中華料理」のそのまたサブメニューが専門です。
その存在を聞いたときは、
「新大久保もまだまだ捨てたもんじゃない!」
と思いましたね。
ビギナーが安心して楽しめる店が増える一方で、
リピーターが韓食の奥深さにずぶずぶ浸れる専門店もある。
それでこそコリアンタウンの隆盛というものです。
冒頭の写真は看板料理のマンドゥジョンゴル。
この冬、日本でブームという話題もあったりする、
餃子鍋の韓国バージョンといった料理です。
それでいて、店名が「たくあん」というのもナイスなフェイント。
「最初はマンドゥ屋とかにしようと思ったんだけどね」
「それを日本語にして饅頭屋がいいかなと」
「でも、饅頭って日本じゃ違う意味なんだってね」
「だから日本語でも通りのいい、たくあんを選んだのよ」
と語るマスター。
確かに、韓国語でのマンドゥは漢字で「饅頭」
日本語だと、アンコの入った和菓子になってしまいます。
それを「たくあん」にする、というのも飛躍した発想に思えますが、
韓国では中華料理に添えるものといえば、たくあんが定番中の定番。
日本人にとっては、なぜ!? と思うようなネーミングですが、
韓国式中華料理を知る人なら、その意図がよくわかります。
煮込まれたマンドゥジョンゴルはこんな感じに。
子どものげんこつほどの、大きなマンドゥが1人前に6個。
それを各種野菜や、キムチなどと一緒に牛骨スープで煮込みます。
マンドゥは専門店だけあって、皮からすべて手作り。
なんでもマスターはもともと中華料理の料理人という訳ではなく、
ひたすらマンドゥの修行だけしていたという変わった経歴の持ち主。
そのキャリアを背景に、
「マンドゥは野菜嫌いな子どもも喜んで食べる最高の栄養食だ!」
と語る、いわばマンドゥマニア的な存在です。
栄養食と語るマンドゥの具には、豚肉、各種野菜に加え、
豆腐と春雨が入る、韓国ならではのヘルシー仕立てです。
なお、このマンドゥジョンゴルを食べた後に余力があれば、
これまた手打ちのカルグクス(韓国ウドン)でシメても可。
というより、むしろそこまで楽しんでこその料理ともいえます。
こちらは単品で注文したキムチマンドゥ。
マンドゥジョンゴルのほうは大きく馬蹄型に包んでありますが、
こちらはひと口サイズに作ったものを蒸してあります。
韓国では「クンマンドゥ(焼き餃子)」と呼ぶこちら。
油をたっぷり使って焼くので、多く揚げ餃子として出てきます。
ほかにも、水餃子があったり、また鍋に入れる大きな餃子を、
ワンマンドゥ(王餃子)として、蒸した単品料理もありました。
メインはあくまでもマンドゥですが、その他の韓国料理も用意。
チーズトッポッキ(チーズ入り餅炒め)や、……。
海鮮チヂミなども注文してみました。
いろいろ食べましたが、やっぱりマンドゥにひかれますね。
スンドゥブチゲ(柔らかい豆腐の鍋)にも、マンドゥが入っており、
こちらは新商品として、現在開発中とのことでした。
「ワン(wan)」マンドゥ入りの、「スン(sun)」ドゥブチゲに、
擬人化させる「イ(i)」がくっついて、「ワンスニ」と命名したとか。
これまでもマンドゥ入りのスンドゥブチゲは存在しましたが、
「ワンスニ」というかわいらしいネーミングはいいですねぇ。
こちらもマンドゥジョンゴルとともに、店の名物になりそうですね。
ちなみにこちらのお店、座席数はさほど多くなく、
10数名が座れる小上がりに加え、あとはテーブルが2つほど。
ご夫婦ふたりで切り盛りする、アットホームなお店なので、
大勢で行くときは、予約をしたほうが無難です。
新大久保で久しぶりに見つけた個性的な専門店。
ぜひとも長続きして欲しいものです。
店名:たくあん
住所:東京都新宿区大久保1-11-1朝日ビル2階A号
電話:03-3202-3968
営業:17:00~翌5:00(月~金)、11:00~翌5:00(土日祝)
定休:なし
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