ポッサムの歴史についての考察。

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先日、「ECOてじまぅる」の1周年に呼んで頂いた際、
店の看板料理であるポッサムについて、あれこれ調べ直しました。
料理の概要から、発祥の由来、食べ方のバリエーションなど。

それを踏まえて語らせて頂いたのですが、その直後に大きな発見があり、
一部訂正の必要があるため、ここに報告させて頂きます。

韓国料理は背景がはっきりしているものと、そうでないものがあり、
僕はこれまでポッサムを後者のほうに位置づけておりました。
事実、ポッサムは、

「茹でるか、蒸した豚肉を葉野菜で包んで食べる」

というシンプルな料理であるがゆえに、
いつ誕生した料理なのか、はっきりわからないのが現状です。
イベントでも、はっきりわからないとした上で、
周辺の情報から絞り込んで、その歴史について話をしました。

まず、代表的な包み野菜であるサンチュについて、

・朝鮮半島に伝来したのは隋経由で三国時代
・高麗時代に千金菜と呼ばれて高い評判を取った

という情報から、歴史は6~7世紀頃から。
同様に、エゴマも統一新羅時代には栽培されていました。

そして、その当時これらの野菜で何を包んでいたかというと、
当時は肉や魚ではなく、もっぱらごはんでした。
19世紀前半に書かれた『海東繹史』という本に、

「高麗の人は生の葉でごはんを包んで食べた」

という話が出ているそうです。

このごはんを葉野菜で包んで食べるという古くからの習慣が、
現在の焼肉や刺身を包む食べ方に発展した、というのが定説。
すると次なる問題は、いつ豚肉を包むようになったのかです。

ここでひとつ大きなカギになるのは、高麗が仏教国であること。

表だっての肉食は忌避された時代ですので、
豚肉料理が登場してくるのは、儒教国家である朝鮮時代以降。
おそらく朝鮮時代後期から、あるいは日本統治時代、それ以降の、
かなり新しい時代の食習慣ではないか、と語りました。

でも、発見してしまったんですね。

1766年に書かれた『増補山林経済』という本があるのですが、
これの「豚肉調理法」という項目に、

「茹でた豚肉をピョニュク(薄切り)にする場合は大きく薄く切り、
 冬に淡白な白菜キムチの芯、3寸ぐらいでピョニュクを包み、
 チョジャン(唐辛子酢味噌)につけて食べると大変美味しく、
 酸味もあってよいが、痰がからむのでたくさん食べてはいけない」

と書かれていました。

これは見るからにポッサムの食べ方そのものであり、
この時代においては一般的な料理であったと語ることができます。
唯一、最後の「痰がからむ」という部分だけ謎ですけどね。
当時はそういう言い伝えがあったのかもしれません。

ということで、ポッサムの歴史について、

「朝鮮時代後期から、あるいは日本統治時代、それ以降」

と語ったことを、少なくとも朝鮮時代後期の18世紀には、
現代のポッサムに近い料理があった、と訂正させて頂きます。

事前にもっともっと調べておけばよかったとも思いますが、
この手の発見には、いつ出会えるかわからないのが正直なところ。
今回の件を大きな戒めとし、日々の勉強に努めたいと思います。



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