いい店って、まだまだあるんだなぁ。
そんなことをしみじみ思った雨の日の夜でした。
東京の北側、三田線の地上駅ゾーンが最寄りだった僕にとって、
三田(山手線の田町駅と接続)というのは果ての果てにある終着駅でした。
いまは東急目黒線と接続し、武蔵小杉行きとかが普通ですけどね。
大手町、日比谷ぐらいまでは乗っても、三田まで行くことは稀でした。
いまは荒川区在住ですが、新大久保駅に出ることが多いので、
巣鴨、池袋経由で、山手線の北側を往復する日々。
従って、山手線の南側を目指すということはほとんどなく、
ごくごく稀に打ち合わせで五反田に出かけるという程度です。
なので、
「では、田町の韓国料理店に集合で!」
という連絡が来た際、
「なにそれ、そんなとこにも韓国料理店があるの?」
と素でびっくりしてしまったのは内緒です。
まあ、元板橋区民で、現荒川区民が、港区の店を指して、
そんなとこ呼ばわりもないもんですけどね。
でもよくよく考えてみれば田町は慶応大学のお膝元。
学生街であり、当然のごとくオフィスもたくさんあるので、
足を運んでみると、そこは実に賑やかな繁華街でした。
その一画に位置していたのが本日の店「東光(トングァン)」。
なんとも珍しいことにお店の社長夫妻が江陵出身で、
江原道料理を提供している、というかなりのかわりダネです。
冒頭の写真はフェボッサム。
通常、ポッサムといえば茹で豚の葉野菜包みを指しますが、
この店ではフェ(刺身)を使った葉野菜包みを提供しています。
カンパチの刺身を生野菜とともにピリ辛の薬味ダレで和え、
海苔やエゴマの葉で包んで食べる、という趣向です。
冒頭の写真だと、後ろがぼけてて少し見にくいですが、
エゴマにはとびっこ(トビウオの卵)が載せられています。
とびっこの載ったエゴマの葉に、海苔を重ね、
その上に刺身和えを載せて、ぐるっと包んで食べます。
この順番が大事とのことで、とびっこをエゴマの葉と海苔がサンドする形。
刺身の後に、ぷちぷちとした食感が追いかけてくるという仕組みです。
なんでも江陵地域では一般的な食べ方だとか。
江陵は過去に2度ほど行きましたが、まだ食べたことがありません。
いつか江原道もまたゆっくり巡ってみたいですね。
ワカメのティガク。いわゆる揚げワカメですね。
昆布などでも作りますが、宮中料理にも含まれる調理法です。
全州のピビムパプにも砕いたティガクがよく載っています。
上に振り掛けられているのは砂糖なのですが、
見た目に比して甘味は少なく、ワカメと油の旨味が勝っています。
なので、
「ごはんを一口食べてからティガクを食べてね」
というにわかに信じがたいような食べ方も、
試してみると、意外によく合うという不思議な体験でした。
こちらは薬味ダレで味付けをする豆腐チゲ。
江原道の郷土料理としても知られるチゲじゃないスンドゥブ。
出来立ての柔らかな豆腐を薬味ダレで食べる料理ですが、
あれをベースにしたような、淡さが光るチゲでした。
中にはうどんも入っているのでボリュームもたっぷり。
豆腐チゲを頼んだところ、
「テンジャンチゲ(味噌チゲ)は食べないの?」
という店の方からの進め。
どうやらいい在来味噌が手に入ったようで、
それをおすすめしたかった模様です。
こちらも豆腐を活かしたテンジャンチゲでしたね。
江原道はジャガイモの名産地でもあります。
たっぷりのジャガイモをすりおろして生地にする、
カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)も郷土料理のひとつ。
独特のもちもちとした食感がたまりません。
そして、この貼り紙にもド肝を抜かれましたね。
先日も新大久保で知らぬ間に新しい生マッコリが出ていた、
という記事を書きましたが、これもまた新たな生マッコリ。
江原道平昌郡の蓬坪(ポンピョン)で作られているマッコリで、
同じく地域の特産品である蕎麦を原材料に使用しています。
飲んで蕎麦の香りがする、という訳ではないのですが、
すっきりした味わいの生マッコリでした。
むしろ、
「江原道料理を掲げる店に江原道の生マッコリがある!」
というあたりを高く評価したいですね。
いずれは同じく江原道名物のトウモロコシマッコリも輸入予定とか。
いろいろなマッコリが続々と輸入され日本を賑わせておりますが、
こういった地域情緒なども、ぜひ大事にして欲しいですね。
久しぶりにいいお店に出会いました。
港区オフ会の会場はここだな、とも密かに思ったり(笑)。
店名:東光(とんぐぁん)
住所:東京都港区芝5-26-2
電話:03-3451-7722
営業:11:00~23:00
定休:日曜日
2 Responses to 田町「東光」でフェボッサムほか江原道料理。