先日書いた記事で、韓国料理店のデザートについて触れました。
これといって目立った定番デザートを持たない韓国料理の中で、
ダイニング系の店を中心に、ホットク(お焼き)が活躍し始めています。
これが進化して、いずれ杏仁豆腐のような存在になったらいいなあ。
そんな願望を記事の中に込めてみました。
事実、韓国料理店の方からも、
「なんかいいデザートないですかね」
と聞かれること少なからずあるんですよね。
定番デザートがないというのは、韓国料理が抱える大きな弱点のひとつ。
ホットクをアレンジしたデザートプレートなどは、
この問題に立ち向かった、ひとつの答えだと思います。
ちなみに冒頭の写真は銀座にある「ボクデン銀座店」のもの。
もともとは岡山に総本店を持つ韓国料理店ですが、
銀座店も連日予約なしには入れないほどの象徴的な旗艦店。
一切の取材を受け付けない、という仕事では行けないお店なのですが、
それとは別に、ブログで書くのはまったくOKなのだそうです。
昨年末に行って、ぜひ書かねばと思っていたのですが、
年末年始のバタバタでタイミングを逃してしまいました。
このデザート記事でトップを飾ってもらうことをきっかけとして、
近いうちに、いまさらながらの報告記事も書きたいと思います。
せっかくなので「長寿韓酒房銀座店」の写真も再掲載。
この記事の発端となった、サツマイモとホットクのドルチェです。
下に薄く焼かれた状態で敷いてあるのがホットクでした。
同じく銀座から「韓豚屋銀座店」のホットク。
アイスを載せるとともに、きな粉と黒蜜をふりかけています。
大きく焼いたホットクを石のプレートでどーんと出すあたりは、
屋台料理も売りに掲げる「韓豚屋」ならではのスタイルですね。
パッピンス(韓国式のカキ氷)はすでに夏場の定番デザート。
家庭料理店でも、夏場限定で提供している店は多いです。
季節感が強すぎるのが、難点といえば難点ですが、
個人的には冬場に出てきても、まったく問題ないはずとにらんでいます。
ちなみにこれは、かなり初期の段階からパッピンスをメニューに載せていた、
恵比寿の「韓国料理ワンス」で2006年に撮影したもの。
当時はメニューにパッピンスがある!
というだけでその店まで足を運ぶ理由になりました。
マニアがぐっとくるメニューのひとつだったんですよね。
こちらは新大久保「ヘラン」のパッピンス。
マッコリを飲むアルマイトの器に盛りつけております。
コースの最後にちょっとしたデザートとして出てきたのですが、
独特のチープ感がいい方向に働いておりました。
一方、宮中料理方面に行くとデザート類は意外に多彩。
知名度が低いのと、作るのに手間がかかるのは仕方ないところですが、
一部の高級店では伝統菓子、宮中菓子を上手に取り入れています。
この写真は日本橋「御廚」でコースの最後に出たもの。
左から、
・五味子茶(チョウセンゴミシ茶)
・チャプサルトク(もち米の餅)
・ファチェ(シロップに浸した果物)
といったラインナップでした。
伝統茶と組み合わせることでより雰囲気が出ます。
こちらは白金高輪の「高矢禮」。
テチュチャ(ナツメ茶)とクウントク(焼き餅)のセットです。
閉店してまいましたが、銀座の「南漢亭」からも。
手前左が4分の1サイズに切られた薬菓(揚げ菓子)。
その右がカンナン(生姜の菓子)で、その後ろが五味子のゼリー。
左奥についてきた柚子茶とあわせてのセットです。
あと、この記事を書くために、過去の写真をあさっていたら、
高麗人参を使ったデザートが多いのに気がつきました。
こちらは赤坂「古家庵」の高麗人参ジュース。
牛乳にミキサーにかけた高麗人参とハチミツを加えたもの。
独特のほろ苦さを、牛乳とハチミツが上手に中和しています。
東麻布の「コサリ」はソフトクリームが自慢の店。
そのまま食べても充分すぎるほど美味しいソフトクリームですが、
そこにハチミツと少量の高麗人参酒をかけると美味しさが増します。
高麗人参の苦味と土くささが、ソフトクリームの甘さを強調。
後ろでボケていますが、左の小さなカップに入っているのが高麗人参酒で、
右で見えている大きな器にハチミツが入っています。
銀座「韓国薬膳はいやく」では高麗人参のプリンが出ていました。
韓国らしい食材を既存のデザートと組み合わせることで、
韓国テイストを出す、という選択肢はなかなか応用が利きそうです。
問題は何で韓国テイストを出すか、というところですが、
まずは高麗人参からいろいろ試してみるのはよさそうです。
そういった意味では、このコーン茶のブリュレは斬新ですね。
こちらも店自体は閉店しましたが、麻布の「文家」で出ていたデザートです。
ほかにも伝統餅などを、毎日手作りしていたお店でした。
ということで今回集めたデザートは全部で12種類。
強引にまとめて分析すると、
1、韓国の甘味系料理を提供、またはアレンジして提供する
2、伝統菓子、伝統餅、伝統茶から提供する
3、韓国とは無関係な甘味系料理に韓国的要素を加える
といった可能性が導き出せそうです。
ただ、1のケースは該当する料理が少ないから困るわけで、
ホットクの例は画期的にしても、伸びしろを考えると難しい気がします。
ある程度の知名度がないと、喜ぶお客さんも少ないでしょうしね。
2のケースも、店側がどこまでやるかという問題が大きいでしょう。
それを考えると、3の選択肢がいちばん可能性は広いのかも。
高麗人参だけでなく、柚子茶なんかの伝統茶類も用途が幅広いですしね。
最後に僕も新たなデザート候補を考えてみました。
・チョコパイケーキ(オリオンの情チョコパイにろうそくをさして提供)
・バケツアイス(バケツサイズで提供するアイスをみんなでつつく)
・コグマケーキ(サツマイモを使ったケーキ、半冷凍の状態ならよりベスト)
・バナナウユ(ピングレのバナナ牛乳。もし輸入が適うなら狂喜)
・みたらし風トッポッキ(焼いた韓国餅にみたらしなら美味しいかと)
うん、やっぱり駄作ですね。
ちなみにみたらし団子にコチュジャンを入れた友人がいましたが、
こちらはずいぶんと評判がよかったのを覚えています。
7 Responses to 韓国料理店におけるデザートの考察。