パンチャン再利用問題の考察。

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ソウル滞在中に出会った、お店の方や、一般の方々などに、
合間合間で、パンチャンの再利用問題について聞いてみました。
昨年末に、客の残したパンチャン(副菜)を使いまわし、
他の客に出している飲食店が、大多数だったと問題になった件。

昨年は韓国でも食の衛生、安全が問われた年だっただけに、
大きな話題となり、ニュースでも大きく取り上げられました。
それから数ヶ月。どんなものかと思ったのですが……。

いつの間にやら、沈静化しているんですかね。

本質的な問題は解決しないまま、熱は冷めている気がしました。
特に印象的だったのはタクシーの運転手さんによる、

「韓国人は料理がたくさん並ぶのが好きだからね」
「使いまわしたって言っても、口に入れたものじゃない」
「別に汚いものじゃないから大丈夫さ」

というセリフ。
飲食店関係者がいうならまだしも(それはそれで大問題ですが)、
一般消費者の立場で、この意見が出るのは驚きです。

でも、確かに韓国人の本音が混じっているかなとも。

韓国人も使いまわしをよしとしている訳ではないでしょうが、
かといって、パンチャンの量が減るのは好みません。
パンチャンを使いまわさないで店側が利益を守るとすると、

・量を減らす
・値段を上げる

の二択しかないでしょうから、客としては不満です。
これを解決するには、韓国人全員が食事への意識を改革し、
食べ切るぶんしか要求しない、また店も出さない覚悟が必要となります。
ただこれは、韓国人が長年培った食の基本精神と矛盾するんですね。

「客が食べきれないほどの量を出すのが美徳」

という国ですから。
気持ちの問題でもあり、改革は容易ではないでしょう。

パンチャンをたくさん出す
 ↓
食べきれないので、残り物が出る
 ↓
店側はもったいないので使いまわす
 ↓
仮に使いまわさなくても生ゴミが増える
 ↓
もったいない!

というところまで韓国人は頭で理解しつつ、
でも、やっぱり食事のときは、料理をずらりと並べたい。
と矛盾した気持ちを抱えているのでしょう。

結果的に、報道が大きく出たときは大いに怒ったものの、
少し時間が経ち、まあいいやになってしまったのかなとも。
根本的な解決がしにくい、大きな問題です。

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そんな中で見つけたいくつかの試み。
初めて訪れた店ので、以前からのシステムかもしれませんが、
パンチャンの再利用問題を受けているものと推測しました。

ハングルで書かれているのは、

「パンチャンのおかわりはセルフです。残さないようにしましょう」

冒頭の写真が、そのパンチャンを置く台。
最初に少しずつ出しておいて、追加は客に任せる。
食べたい人は、食べるだけを自分で取るというシステムです。

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もうひとつ別の店。
大きな器に入ったキムチと、取り皿が運ばれてきました。
これも自分の食べるだけを取ってください、という意味でしょう。
同じく、店の壁には「残さないようにしましょう」との貼り紙が。

余談ですけど、店の壁にはずいぶん貼り紙が増えましたね。

店のメニューに原産地表記が義務付けられたため、
「米:国産、キムチ:国産」などの貼り紙がずいぶん目立ちます。
しっかり貼り紙をする店や、既存のメニューにマジックで書き足す店など、
店ごとの対応も、雰囲気をよく表しているようで面白かったり。

セルフでのおかわりも、キムチを壷で運んでくるのも、
前々からある手法ですが、確実に増えている気はします。
使いまわしをせず、たっぷり感を出すにはいい方法なのでしょうね。
また、こうした対策を明確にすることで、ウチの店は使いまわしをしていない、
と暗にアピールをする役割も担っているようです。

韓国人にとっては、気持ちに矛盾する頭の痛い問題でしょうが、
いまや韓国料理は韓国人だけのものではないですからね。
ウォン安時代に、大勢の観光客が訪れていることも含め、
このまま沈静化させず、問題意識を高く持って欲しいものです。



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