ビビンバを中心に全羅北道の食を探索するツアー。
前編では3泊4日の、2日目途中まで紹介をしました。
冒頭の写真は少し飛んで3日目の昼。
あくまでも主題はビビンバツアーなので、
目立つ冒頭だけでも、ビビンバにしてみた次第です。
1日目の夜と3日目の昼。都合2回だけなんですけどね。
その2回目がまた、ひとひねりあるビビンバでした。
みなさん写真のビビンバいかがですか?
盛り付けといい、色合いといい、見事じゃないですか?
とっても美味しそうでしょ。でしょ、でしょ、でしょ。
とやけに白々しいことを書いていますが、これ自作です。
全州での3泊目を韓屋村(伝統家屋の集まる村)に設定し、
チェックイン直後の食事を、ビビンバ体験と致しました。
韓屋村の先生に作り方を教えて頂きつつ、自分たちも実践。
材料を切り、下味をつけ、炒め、焼き、盛り付け、そして食べる。
そこまでを一挙に体験できるというお得なイベントです。
全州のビビンバは美味しい、ということに加え、
自分で作った料理はさらに美味しい、という2倍の幸せ。
かき混ぜるのがもったいないぐらい、いとおしいビビンバでした。
とここで、話はまた戻って2日目の夜。
任実、南原、淳昌、高敞と移動して、いったん全州に戻り、
再びマイクロバスに乗って完州郡の花心豆腐村へ。
一帯は大豆の産地で、水質がよいことから豆腐作りが盛ん。
50年続く豆腐料理店があるほど、有名な村です。
上の写真、ちょっと見にくいですが豆腐の表面に、
ハングルで「花心(ファシム)」と書かれています。
江原道の名物、草堂豆腐も同じように作られていましたね。
名産地の自負を込めた、渾身の豆腐だということでしょう。
・モトゥブ(豆腐の温やっこ)
・トゥブジョンゴル(豆腐入りの寄せ鍋)
・パジラクスンドゥブ(柔らかい豆腐の鍋、アサリ入り)
・コギスンドゥブ(柔らかい豆腐の鍋、肉入り)
・トゥブジョン(豆腐で作ったチヂミ)
といろいろな豆腐料理を味わいましたが、
個人的に念願だったのが、写真のピジドーナツ。
豆腐を作るときにできる、おからを利用した知恵の一品。
店頭で揚げているため、テイクアウトでも人気です。
もう何年も前のことになると思いますが、
全州を特集した雑誌で、このドーナツが紹介されていました。
いつかは食べたいと思いつつ、なかなかチャンスがなく。
4度目の全州で、ようやく出会うことができました。
おからで作っているせいか、食感がふわっと軽く、
素朴な甘さで妙に後を引く優しい味わい。
あえてこのために完州まで行くべしとはいいませんが、
近くを通る機会があったら、ぜひ思い出して欲しい一品です。
閉店間際に行ったので、冷めた状態で食べましたが、
いつかまた、ぜひ揚げたてを食べてみたいですね。
3日目の朝は市内の有名粉食店でカルグクス。
全州通の方なら、見ただけでどこの店かはわかるはず。
超細麺のカルグクスに、卵を溶いたとろとろスープ。
粉唐辛子、海苔、エゴマの粉と実がたっぷり振りかけられます。
後ろにちらっと見えるのはひと口大のミニマンドゥ(餃子)。
タンミョン(春雨)が入っているのも粉食店っぽいですね。
褒め言葉としてのチープ! を楽しめるいいお店です。
冒頭の写真、手作りビビンバが昼食で、
夜はこんな贅沢な店にやってきてしまいました。
全羅道の美食を一挙に味わうことができる韓定食店。
覚えているだけでも、こんな料理が出ていました。
・テハプクイ(焼きハマグリ)
・ホンオタン(ガンギエイのスープ)
・ホンオサマプ(発酵したガンギエイの刺身)
・カリビグイ(ホタテ焼き)
・ミルサム(野菜のクレープ巻き)
・クルビグイ(イシモチ焼き)
・ユッケ(韓国式の牛刺身)
・刺身(ヒラメ、タイ、アワビなど)
・ナクチボックム(テナガダコ炒め)
・ファンポムク(クチナシで染めた緑豆のゼリー)
・カルビチム(牛カルビの蒸し煮)
・ホバクチョリム(カボチャの煮物)
・オジンオムチム(イカと野菜の和え物)
・モドゥムジョン(野菜や白身魚の衣焼き)
・トラジムチム(キキョウの根の和え物)
細かな料理も含めればもっとあったはず。
テンジャンチゲ(味噌チゲ)やヌルンジ(オコゲスープ)、
デザートの果物なんかもありましたしね。
個人的に強い印象として残ったのはこちら。
ナスのジョン(衣焼き)で細切りの野菜や錦糸卵を巻いたもの。
湯がいた細ネギで巻くパガンフェという料理は稀に見ますが、
この料理はそこにナスのジョンが加わるという手間の一品。
こうやって細い野菜で食材を巻いてまとめる料理を、
総称してカンフェといいますが、たいていは細ネギかセリ。
ナスのカンフェ、カジガンフェというのがあるのかどうか、
はたまたオリジナルなのかは、聞くことができませんでした。
いつかまた取材でゆっくり話を聞くチャンスが欲しいですね。
こちらはホンオチム。ガンギエイの蒸し煮です。
ガンギエイは全羅南道に位置する木浦あたりの特産品ですが、
全羅北道でも、重要なご馳走のひとつと珍重されます。
発酵させて食べるホンオフェがよく知られていますが、
あえて発酵させなければ、特ににおいはありません。
身の柔らかな煮魚、といった感じで食べられました。
豪華な韓定食を食べた後は、再びマッコルリタウンへ出撃。
その特異なシステムについては前編をご参照ください。
上の写真は、隣に座っていた方にご馳走頂いた一品。
僕も初めて食べました。ピョンオフェ(マナガツオの刺身)です。
この日は珍しいものを、たくさんご馳走になりましたね。
チョノグイ(コノシロ焼き)とか、テハ(タイショウエビの踊り)とか。
確かにテハの季節ですが、生きたまま出てきたのはびっくり。
ビチビチ跳ねるエビをグイッとつかみ、頭をむしって殻を剥ぎ、
まだビクンビクンしているところをガブリと食べました。
残酷ではありますが、いかにも韓国らしい食べ方です。
最終日の朝、名残を惜しむように最後の1軒。
2日目朝にも食べた、コンナムルクッパプを別の店でもう1度です。
卵と粉唐辛子と、その他もろもろがぐつぐつに煮立てられ、
表面をアクのように覆っていますが、見た目に比して美味。
昆布と煮干でとったスープにアミの塩辛をたっぷり。
うまみ濃厚なスープには豆モヤシとごはんが沈んでいます。
全州を訪れる喜びの要素に、朝食は大きな比重を占めますね。
全州からの帰り際、最後の最後は利川での食事でした。
陶磁器の里として知られ、かつ韓国有数の米どころでもある町。
名物料理はその米を釜で炊いた、サルパプ(米飯)です。
カルチジョリム(タチウオの煮物)、ポッサム(茹で豚)、
チェユッポックム(豚肉炒め)などの料理が並んでおりますが。
それらはすべて米を美味しく食べるための脇役。
自慢のごはんをわしわしと食べ、美食三昧のツアーは終了です。
短い期間で、あちこちを回るハードスケジュールでしたが、
思っていた以上に、たくさんの料理と接した旅でした。
ご参加くださった皆様、および三進トラベルには本当に感謝。
おかげさまで僕にとっても貴重な経験となりました。
いつかまたこういう機会を他エリアでも出来たらいいですね。
旅をしながら思ったのは、本当に移動が楽ということ。
個人で行ったらバスや電車を待つというロスが必ずあります。
仮にタクシーを使ったとしても、地方では台数が少ないため、
どうしても電話で呼ぶ、といった手間が必要になります。
語学が堪能でも、地方旅行というのはかなり大変なんですよね。
今回のように自由に地方から地方へと旅が出来たのは、
専用のマイクロバスと、現地ガイドさんのおかげです。
普段の旅からすると、背中に羽が生えたような思いでした。
たぶんここまで食に特化したツアーに一般性はないでしょう。
でも好きな人が集まっていくぶんには、至極便利なはず。
韓国の情報が増え、誰でも個人旅行が出来るようになったいま、
あえてツアーの意義は、こういうところにあるのかなとも。
個人的にもいろいろ勉強になり、考えさせられた旅でした。
そして、ひとつお知らせとお詫び。
昨日の記事でも下のお知らせ欄に少し書きましたが、
別に募集していた、チンチャツアーは中止となってしまいました。
本当にギリギリでしたが催行人数に満たなかったとのこと。
お申し込み頂いた皆様には、本当に申し訳ない限りです。
いつかまた機会があれば、再度実現を目指せたらと思っています。
本当に申し訳ありませんでした。
8 Responses to 全羅北道を巡るビビンバツアー後記(後編)。