しばらく続いた大阪シリーズもこれで最後とします。
短い滞在でしたが、気付いた点をまとめて次回につなげます。
まだ、分析をするほどの情報はないので、感想程度。
それを踏まえて、次回以降掘り下げていければと思っています。
まず冒頭の写真、桃谷にあるコリアンストリートの百済門です。
東京の新大久保にも、門がないと常々言われておりますが、
これがあることで、コリアンストリートであることが強調されます。
いろいろ見て歩いた中でも、やはりここがいちばん印象的。
鶴橋の商店街も魅力的ですが、ここをもう少し探索したいですね。
基本的に飲食店よりも食材店が豊富なエリアですが……。
近年の韓流人気でこんなショップもできています。
韓流グッズがあり、伝統工芸品があり、飲食スペースもあり。
交流の家と書いてあるように、キムチ作り体験なども開催しています。
イベントスペースとしても使われているようですね。
韓流関係のCD、DVDなどを専門に扱うショップもありました。
ポスター、キーホルダー、マグカップといった定番のグッズもあり。
全体的にどの店も新大久保に比べたら規模が小さいですが、
それは新大久保のほうが異常というものでしょう。
地方から来る方々が、新大久保を聖地と呼ぶ理由がよくわかります。
精肉店前のトルハルバン。こういう雰囲気は好きですね。
けっこうな長さの1本道が軒並み韓国関係の店ばかりなので、
町全体としての雰囲気作りがなされている印象でした。
ちなみにこの桃谷のコリアンストリートから鶴橋駅までは15分程度。
桃谷駅からも15分弱はかかるので、交通の不便さが唯一の難点です。
鶴橋の商店街は駅と直結しているので行きやすいですが、
あえて目指さないと、このコリアンストリートまでは来られない場所。
その意味では観光スポットとしてだいぶ損をしているはずですね。
多少歩いてでも、目指す価値があることを強調しておきたいと思います。
そして、この鶴橋、桃谷が東京の新大久保と大きく違うのは、
新大久保がニューカマーの町であるのに対し、在日の町であること。
東京でいうと三河島、東上野あたりの町と似たイメージです。
ここに住んで50年、60年という方々もいらっしゃるため、
韓国でも消えつつある、古い文化を残しているという価値があります。
ただし、そういった過去の魅力を今に残しているという反面、
リアルタイムで進行する韓国の流行からはどうしても遅れる部分があり。
90年代以降、新大久保でニューカマーの店が隆盛を極めたのも、
本場の料理をダイレクトに味わえるという魅力からだったといいます。
そのころには旅行で韓国を訪れる人も増えていましたからね。
旅行で食べたアレ! が見つかる町だったというわけです。
そういったニューカマーの町が大阪にもないのだろうか。
そう思っていろいろ聞いて回ったところ、紹介されたのがこちらでした。
桃谷から鶴橋とは別方向に歩いて15分程度の今里。
駅でいうと、地下鉄「千日前線」で鶴橋の隣駅になります。
確かに歩いてみると、韓国料理店、食材店が多いですね。
でも、昼間に歩いてしまったせいか、閉まっている店がほとんど。
夜に行ったらまた雰囲気が違うのかもしれませんが、
賑やかさという面では、鶴橋、桃谷には及ばない印象です。
ただし、よく見ていくとお店の看板に、
「ポシンタン専門」
などという文字がハングルでだけ書かれていたり。
ハングルの読めない人には伝わりませんが、
読めれば、ここに犬肉の鍋があるのだとわかります。
そんなディープな韓国料理店も普通に点在しているため、
韓国にどっぷりハマった人には喜ばれるのでしょう。
今回、大阪で出会った韓国通の方はみな口を揃えて、
「鶴橋、桃谷だけでなく今里にも行くように」
と語っておられました。
ほかにも天満、十三、東心斎橋といったあたりに、
ニューカマー系の韓国料理店が集まっているようです。
このあたりは今後も探索してみたいですね。
そしてもうひとつ。
今後の成り行きとして絶対に注目しておかねばならないのが、
コリアンタウンとは別に増えている、新しい韓国料理店の存在。
東京でもいちばんの注目株ですが、大阪でも同じ印象を受けました
これら新しい感覚の店が、大阪各地に点在しています。
以下は僕の個人的な分類なのですが……。
古くからある在日経営の焼肉店、韓国料理店 → 第1世代
8、90年代からぐっと増えたニューカマーの韓国料理店 → 第2世代
2000年以降、韓国を外国と捉えた世代の韓国料理店+α → 第3世代
と便宜上のカテゴリを作っています。
もちろんこうした枠組みから外れる店もあるので、
一概にこの分類がすべてではありません。
端的に書くのは難しいですが、W杯、韓流以降、増えている、
在日3世、あるいは日本人経営の韓国料理店という存在。
これに韓国からの進出チェーンや、日本企業主導の韓国料理店。
そのほかもろもろ近年できた新しいタイプの店を総称して、
第3世代の新しい韓国料理店と僕は捉えています。
この第3世代のいいところは、韓国を外国として見られる部分。
在日も3世まで来ると、日本的な暮らしが基本となりますし、
韓国語や韓国文化は留学で学ぶという人も多くなっています。
従って、韓国という国を外からの視点で冷静に見つめ、
日本でのニーズに合った、「いいトコ取り」が出来ることになります。
ただし、それは本場そのものではないかもしれませんし、
日本的な要素、あるいはまた別の国の要素が混じるかもしれません。
韓国料理というジャンルから半歩はみ出すケースもあるでしょう。
下手をすると、韓国好きな人からはそっぽを向かれることもありますが、
逆に韓国とは無関係な人たちを、取り込める可能性も出てきます。
特に若い世代をターゲットとする場合はさらに顕著でしょう。
いわば、日本で韓国料理のすそ野を広げていく急先鋒。
韓国にもない、韓国料理の新しさを創造していく世代の店です。
いま日本で広く知られている韓国料理の大半は焼肉店の料理。
それは第1世代に属する店が長い年月をかけて作り上げた土台です。
そこに第2世代が作る、本場そのものの料理や雰囲気が重なり、
第3世代がまた新たな価値観を付け加えていくのだとしたら。
日本における韓国料理はたいへんに幅広く、深いものになりますね。
現在進行形で、そういう状況が作られていると僕は考えています。
大阪ではその第1世代が作りあげた影響力が非常に強く、
韓国がどうこうでなく、生活に密着した食文化として根付いています。
町を歩けば、いたるところに焼肉店、ホルモン店の看板を見かけますし、
チヂミなんかは、お好み焼きの一種と捉えられているフシもあります。
そのため日本料理と韓国料理の境目が他地域よりも曖昧で、
本場の韓国料理をうたう、第2世代が目立たないのかもしれません。
本場であるはずの料理が、すでに生活の中に溶け込んでいるため。
このあたりはまだ第一印象なので、単なる仮説ですけどね。
東京と似たような要素を含みつつ、大阪ならではの事情もある。
そのあたりを掘り下げていくと面白いかもしれませんね。
今後の課題として、頑張っていきたいと思います。
とりあえず今回の大阪探索はこれにて終了。
お付き合い頂き、ありがとうございました。
4 Responses to 第1回大阪韓国料理事情まとめ。