誰にでも「憧れの人」というのが心にあると思います。
芸能人には疎いので、どんなスターを見てもけっこう冷静なのですが、
自分の仕事に関する分野では、ガチガチに緊張することもしばしば。
最近になってやっとメジャー化の道を歩んでいる韓国料理分野にも、
はるか昔から、道を切り開いてきた偉大な先輩がおります。
この日、西国分寺でお会いした先生もそんなおひとり。
韓国料理に興味を持って、あれこれと調べ始めた大学時代、
まず出会ったのが先生の書かれた数々の文献でした。
滋賀県立大学名誉教授にして韓国食文化研究所の所長。
理学博士との肩書きも持つ、鄭大聲(ちょん・でそん)先生です。
もっとわかりやすい表現でその偉大さを伝えるならば、
モランボンの焼肉のタレ「ジャン」を作った人でもあります。
現在の韓国料理人気もこの方なしにはありえません。
韓国料理関連の文章を書いている僕の机周辺には、
ざっと見まわしただけでも、先生の書かれた本がたくさんあります。
著書、訳書を含め、先生の本なしでは仕事にならないほどです。
『朝鮮の料理書』
『食文化の中の日本と朝鮮』
『朝鮮半島の食と酒』
『韓国料理文化史』
『焼肉は好きですか』
『よくわかる焼肉・韓国料理の歴史』
と、普段からよく見る本だけでもこのくらい。
中でも朝鮮時代の料理書を翻訳した『朝鮮の料理書』や、
韓国食文化研究の権威として知られる故・李盛雨先生の本を、
わかりやすく翻訳した『韓国料理文化史』は学術的にも貴重な1冊。
焼肉から韓国家庭料理までを説明する『焼肉は好きですか』など、
読みやすいエッセイも豊富に出版されております。
そんな先生に会えるとあって興奮はピークに。
集合時間の15分前に到着し、あたりをウロウロしてしまいました。
なお、この日の会場は西国分寺にある「ポンナム」という韓国料理店。
カタカナの店名を見て、桑の木のことかと思っておりましたが、
実際に行ってみると、桜の木という風流な名前の店でしたね。
ちなみにこの日先生にお会いするきっかけを作ってくれたのは、
家庭で簡単に作れるスンドゥブチゲのスープを開発した丸大食品の方。
もう、丸大食品には足を向けて寝られません。
冒頭の写真、カブのキムチなどを軽くつまみつつ、
鄭大聲先生が韓国料理店でいつも注文するというチョッパル(豚足)。
これらを前に生ビールで乾杯をしました。
ほかにも桜エビのチヂミ、
チャプチェ(春雨炒め)、
プルコギ(牛肉炒め)といった料理を注文。
ビールをマッコルリにかえて、グビグビと盛り上がりました。
食べつつ、飲みつつ、貴重な話もたくさん聞きましたが、
ここでは書けないような、本当にもったいない講義ばかり。
裏話なども含めて、ずいぶんいろいろ学ばせて頂きました。
丸大食品の「スンドゥブ」も厨房で調理して頂きました。
先生の貴重なご意見を伺いつつ、みんなで試食。
発売以来、徐々に人気を獲得しており、販路も順調に拡大中。
西友を中心に、スーパーなどで取扱いを増やしているとのことです。
ミーハーにもサインまで頂戴してしまいました。
どんな芸能人のサインよりも、先生のサインのほうが嬉しい。
憧れの人というのは、そういうものではないかと思います。
貴重な体験を糧に、さらに頑張って道を行かねば。
そう気持ちを新たにした1日でした。
店名:コリアン酒家ポンナム
住所:東京都国分寺市西恋ヶ窪2-6-6
電話:042-322-5590
営業:17:30~24:00(月~金)、17:00~23:00(土、祝)
定休:日曜日(最終日曜日は営業)
3 Responses to 西国分寺「ポンナム」で大先生との会食。