具の上に折り重なる、半分割りのインスタントラーメン。
見るたびになぜか、閉じかけの勝鬨橋を思い出したりします。
閉じかけの勝鬨橋なんて、実際に見たことはないんですけどね。
なんとなく、脳のどこかに連想させるイメージがあるのでしょう。
湯島「元祖ブデチゲ」のプデチゲ(ハムやソーセージの鍋)です。
以前の記事でも書きましたが、東京でプデチゲを食べるのならば、
まずはこの店のプデチゲを味わってみることをおすすめします。
韓国でプデチゲ発祥地とされる議政府スタイルの本格派です。
ランチョンミート、ソーセージなど具にこだわるのはもちろん、
味の決め手となるタデギ(唐辛子ペースト)も本場直輸入です。
なんでも議政府に住むタデギ名人作のものを仕入れているのだとか。
そのタデギとじっくり煮込んだ牛骨スープが味の決め手です。
トッピングにはスライスチーズとペンネを推奨。
このスライスチーズも専門業者に作ってもらっている特注品です。
通常のチーズでは、やはり意図する味が出ないのだとか。
ラーメンが煮えて、チーズが溶けたらもう食べごろ。
煮込んだタデギから漂う、少しクセのある風味がたまりません。
個性の強い味噌方面、発酵系の何かが香りの軸を作っています。
粉唐辛子の辛さや、ソーセージなどから出る具のうまみによって、
すぐ裏に消えてしまう、縁の下の力持ち的風味なんですけどね。
でも確実に折り重なった味わいの重要な一端を担っている気がします。
そんなプデチゲを味わいながら、忘れてはいけないお約束がひとつ。
それは決してスープを飲み干してはならないということです。
美味しいからといって、夢中になってしまうと後で大変なことに。
最後のシメ。名物の「炒めメシ」を作れなくなってしまいます。
ある程度のスープがないと、ごはんを入れられないんですよね。
ごはんはわざわざ冷凍させて水分を飛ばしたもの。
これを残ったスープに投入し、ごはんの内部に染み込ませます。
このときのスープの量が非常に難しいのだとかなんとか。
汁気が多いとベタベタになりますし、少ないと美味しくなりません。
溶き卵を加え、刻み海苔と刻みネギ、ゴマ油はたっぷり。
ゴマ油の量というのも、後々重要になってきます。
全体を混ぜて、おじやとチャーハンの中間程度になったら、
大きめのスプーンを使って、鍋肌にごはんを伸ばしていきます。
このときいかにムラなく均一に、かつ薄く伸ばせるかがポイントとか。
ここでさらにゴマ油を足し、全体に馴染ませていきます。
知らずに見ていると不安になるほどゴマ油たっぷりですが、
しばらくすると、熱せられたゴマ油がパチパチと沸騰状態に。
ごはん粒ひとつひとつを、揚げているようにも見えます。
たっぷり注ぐゴマ油は、このための工夫です。
カリッと外側が焦げるくらいになったら火を止めて待機。
ここでお店の人がいったん席を離れますが、
「このままで少々お待ちください」
というセリフを聞き逃してはいけません。
通常、鍋の後にごはんを入れる場合、この時点で完成ですが、
この店の炒めメシは、ここからしばし寝かせる時間が必要になります。
それも、店の人に忘れられているのかな、と思うくらいの時間が。
鍋に貼りついたごはんを眺めながら悶々としていると、
ようやくといった頃に、店の人が戻ってきます。
調理にも使った大きめのスプーンで、貼りついたごはんをガリガリ。
鍋の外側から内側へ、こそげるようにごはんを集めていきます。
やがて中央には、ひと握りのカリカリチャーハンが完成。
香ばしくもふわふわとした、独特の食感を楽しむことができます。
こちらの店に来たら、ぜひ試して欲しいシメの1品です。
ただ、難しいのはこれを上手に作れる人が店にも少ないこと。
この日も入りたてのアルバイトさんで、汁気の多い仕上がりでした。
ちょっとでもベタッとすると、まるで意味がないんですよね。
すべての行程がカリッと仕上げるための、工夫の連続ですから。
これを美味しく作れるのは店のオーナーであるママさんがいちばん。
毎日いらっしゃる訳ではないので、見かけたら幸運と思ってください。
ママさんが作る炒めメシは、職人を思わせる味わいです。
店名:元祖ブデチゲ
住所:東京都文京区湯島3-38-11第2みよしビル1階
電話:03-3834-4563
営業:11:30~14:30、17:00~翌2:00(月~金)、12:00~14:30、17:00~翌2:00(土)
定休:日曜日、祝日
http://www.budechige.jp
<過去の関連日記>
(01月13日)湯島「元祖ブデチゲ」で本格議政府プデチゲ。
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