どーん! と音が聞こえそうなくらいド迫力の肉塊。
鉄板の上に折り重なる豚のスペアリブはこれでなんと2人前。
手前の肉塊にはアバラ骨が4本、奥は3本という大盤振る舞いです。
いわゆるテジカルビ(豚カルビ)と呼ばれる部位かと思いますが、
骨同士がつながったままなので、ずいぶんと迫力を感じます。
韓国ではこの料理を、トゥンガルビ、チャッカルビと呼びます。
2つを合わせてトゥンチャッカルビと呼ぶこともありますね。
背骨側のカルビ、すなわちリブの部分を骨ごと食べる焼肉ですが、
このボリュームからいって、内側の肉を使っているのでは。
韓国で食べるよりも、ボリュームを感じる焼き方です。
表面だけを軽く炙った状態で運ばれてくるので、
これを店員さんが客席で、食べやすい大きさにカット。
骨まわりの肉をそぎ落とすようなカット技術が実に見事です。
どのみち後で骨まわりの肉もかぶりついて食べますが、
食べやすさを考えると、できるだけそぎ落としておきたいですよね。
ハサミでカットした肉の内部は、まだピンク色をしていますので、
鉄板上のうまく散らして、全体的に火を通していきます。
外側に骨を並べ、中央にはそぎ落とした肉を並べ。
どちらかと言うと、並べるというよりは敷き詰めるという感じ。
この日は2人だったのですが、2人前の総量に思わず呆然とします。
肉には醤油ベースの甘い下味がつけられているので、
焼けていくにつれて、食欲をそそる香りが周囲に漂います。
通常であれば焼けたそばからモリモリと食べていくか、
あるいはサンチュ、エゴマの葉などに包んで食べるところ。
場合によっては大根の酢漬けなども豚焼肉にはあいますよね。
でも、この店はそういった野菜類が一切登場せず……。
かわりに小さな携帯式のコンロがテーブルに運ばれます。
固形燃料に火がつけられ、上にはアルミで作った皿状の容器。
熱によってぐつぐつ溶けてゆくのはピザ用のチーズです。
そう。しばらく前に韓国で登場した新しい豚肉の食べ方。
チーズフォンデュスタイルで食べる豚焼肉がこの店の看板料理です。
一般的にはサムギョプサル(豚バラ肉)をチーズにつけますが、
骨つきの豚肉を使うというのは、比較的珍しい気がします。
焼けた肉を溶けたチーズにつけて食べるのですが、
なんとこのチーズ、ベースに生クリームが注がれていました。
チーズが溶けて、どこかクリームシチューのような味になります。
チーズだけを溶かすよりも、よりまろやかになってコクがある。
そんな一工夫が、チーズと豚肉の組み合わせをより高めています。
豚肉そのものを食べてもうまいし、チーズにつけてもうまい。
大量と思われた豚肉を、争うようにしてむさぼりました。
骨の部分を食べるために、手袋を渡されるのも面白い部分。
白い軍手に調理用の使い捨て手袋を重ねて使います。
同行者の友人は最初右手に手袋をはめておりましたが、
右利きの人であれば左手にはめるのが普通。
でないと、焼肉を食べながら、箸を使うことができなくなります。
骨もチーズにつけて食べました。
もちろん、そのままかぶりついても美味しいですけどね。
歯でこそげながら、骨まわりの肉も完食します。
手袋のおかげで熱さを感じず、普段より食べやすいのがいいですね。
サイドメニューで頼んだ山菜のナムル。
オーナーの親戚が済州島におり、食材を送ってくれるのだそうです。
真ん中にあるモヤシとホウレンソウのナムルは日本のものですが、
手前にあるワラビと奥のチュィナムル(シラヤマギク)は済州島産。
チュィナムルは以前、新大久保の「韓流」でも出して頂きましたが、
日本ではなかなか食べることのできない珍しい山菜です。
シメは焼肉後の定番、テンジャンチゲ(味噌チゲ)を注文。
アサリ、イカといった海産物が入ったテンジャンチゲでした。
こちらの店、ほかにもサバのサムパプなど珍しい料理がありました。
焼いたサバをごはんとともに葉野菜で包む料理ということでしょうか。
韓国式トンカツという貼り紙もあって、これが妙に気になったり。
薄いトンカツにドミグラスソースがかかって出てくるのでしょうか。
夜だけの営業ですが、定食形式の料理が多かったのも印象的。
場所柄、食事にやってくる韓国の方も多いんでしょうかね。
そのあたりの珍しい料理も目当てに、ぜひまた行きたいお店です。
店名:大長今(てじゃんぐむ)
住所:東京都文京区湯島3-37-11TSツインビル1階
電話:03-3835-1290
営業:17:00~翌4:00
定休:日曜日、祝日
http://www.dejanggum.jp/
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