コリアうめーや!!第289号
<ごあいさつ>
3月15日になりました。
花粉が飛び散る、たいへんな時期です。
朝起きれば目がシバシバして開かず、
鼻は詰まるし、クシャミは出るし。
薬が効いているうちはいいのですが、
切れ始めのあたりがけっこうしんどいです。
春になって暖かくなるのは歓迎ですが、
毎年、花粉症には悩まされますね。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
ちょっと迷走したような内容に仕上がりました。
一応、着地点はしっかりしているはずですが、
むしろ爆弾的なオチになっているかも。
右往左往するような文章を逆に楽しみつつ、
最後まで読み進めて頂ければ幸いです。
コリアうめーや!!第289号。
まぶしさを問いかける、スタートです。
<波乱万丈だった2003年のオレ!!>
明日発売の「韓国語ジャーナル44号」で、
フォトライターの栗原景さんと対談をさせて頂いた。
全体のタイトルが、
「これからのために、これまでの10年の話をしよう」
となっており、僕ら以外にも、
多くの専門家が10年を振り返って語った。
・韓流の10年
・字幕翻訳の10年
・韓国留学の10年
といった切り口があり、
いずれも時代を感じられて面白い。
韓国語ジャーナルはたいへん残念なことに、
この号をもって休刊となることが決まっている。
ひと区切りをつけるという意味では、
日韓の未来を見据える、絶好の企画だった。
そしてまた、来週の21日(木)になると、
今度は僕の新刊も発売になったりする。
「韓国料理には、ご用心!」
という少し刺激的なタイトルだが、
決して韓国料理を否定的に叩くような趣旨ではない。
むしろ、韓国料理への愛情を最大限に込め、
「ご用心=身近な存在になってきたから関心を持とう」
という意味で全体を語っている。
主たるテーマはこんな感じ。
第1章:新大久保がコリアンタウンになった理由
第2章:「食の韓流」と新定番料理の台頭
第3章:日本で進化するマッコリ
第4章:日本の食卓に浸透する韓国料理
第5章:韓食の世界化と韓食の日本化
日本におけるここ10年ほどの韓国料理を、
ギュッとひとまとめに整理をしたという内容だ。
韓国語ジャーナルが10年。
僕の新刊もやっぱり10年。
突然、10年にこだわりだしているのは、
やはり今年が、
「韓流10年!」
という節目の年だからだろう。
NHK-BSにおける『冬のソナタ』の放映が、
2003年4月に始まっており、それを起点とした計算だ。
そんな意味から今年は振り返りがブーム。
そう勝手ににらみ、このメルマガでもなにかできないか、
ひと通り、いろいろな可能性を模索してみた。
まず考えたのは、メルマガの10年だが、
これは創刊が2001年なので、ちょっとキリが悪い。
じゃあ、僕の個人的な10年だったらどうだろう。
といったところから、ふと思ったのが、
「あれ、10年前って何してたっけ?」
という素朴な疑問。
留学から帰ってきたのが2000年末で、
その翌年に大学へ戻り、2002年3月に卒業。
就職せずにフリーター兼フリーライターの道を歩み、
なにやら日々を無為に過ごしていた頃である。
「えーと、10年前、10年前……」
と当時の記録を発掘してみると、
意外なことに、なかなか波乱万丈な日々だった。
「面白いじゃないか、10年前のオレ!」
というところから、この10年間ではなく、
方針転換をして、きっかり10年前の自分を振り返る。
コリアン・フード・コラムニストは韓流黎明期に、
どんな活動をして、何を頑張っていたのか。
語ったところで、誰も得をしないような内容だが、
振り返りブームにかこつけて、無駄に書き綴ってみる。
そもそも、このメルマガは2001年3月の創刊で、
この3月15日配信号は、なんと丸12周年の記念号。
そのぐらいのワガママは許されてしかるべきだろう。
うん、そうだろう、そうだろう。
まず、自分の10年前を振り返るに当たって、
もっとも詳細な記録といえるのが、
「週刊サメガレイ」
と題された友人向けの私的メールマガジンである。
僕はこれを留学直後の2001年1月から書き始め、
2006年2月まで全235号を重ねた。
日々のよしなしごとを自由気ままに書いては、
友人らに宛てて、勝手に送りつけるというスタイル。
これがいま見ると、いい感じの記録になっている。
それらをすべて読み返してみたところ、
僕の2003年にはこんなことがあった。
月ごとの単位で大きなものを並べてみる。
・01月:韓国出張(30日間)
・02月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・03月:自宅引きこもり月間(旅行記を執筆)
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・05月:アルバイトを再開する
・06月:韓国出張(約2週間)
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・08月:韓国出張(約1週間)
・09月:韓国出張(2泊3日)
・10月:大学で初めての講演
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
・12月:韓国出張(3泊4日)
ざっと見て、まず思うのが韓国出張の頻度。
1月に30日間かけて韓国一周したのを筆頭に、
全部で5回、合計で2ヶ月も滞在している。
しかも、出張とカッコよく書いているものの、
ほとんどが自腹出張であり、要は旅行だ。
よくそんなお金があったものだとも思うが、
1月の出張は、眞露から奨学金をもらっていた。
食の日韓交流という企画に応募をしたところ、
見事合格して50万円をもらったのである。
そのおかげで地方料理をひと通り体験できたのは、
いま振り返っても、大きな幸運だったといえる。
その後、僕は2ヶ月に渡って自宅にこもり、
韓国一周の旅行記を、ひたすら黙々と書いた。
なにやら旅行作家のような暮らしぶりだが、
決して依頼された原稿ではなく、ただの自主的な執筆。
事実、400ページ強の原稿を書き上げたものの、
どこにも発表されず、ハードディスクに眠っている。
ライターの卵といえば聞こえはよいものの、
奨学金以外の収入はないのだから、ほとんどニート。
直球で語れば、ただのアクティブな無職だ。
自由気ままではあるが、26歳にもなって、
よくもまあ、こんな生活をしていたものだと思う。
いま僕が26歳の自分に会ったとしたら、
間違いなく、人生をナメるなと説教するはずだ。
……と書いたところで、思い出したが、
そういえばこの時期、周囲の大人からよく説教されていた。
僕が人生をナメてて、耳を貸さなかっただけで、
良識ある人たちはみな心配してくれていたのだろう。
10年経ってようやくその気持ちがわかった。
ただ、闇雲ながらも自らの道を突き進んだことで、
僕のもとにはこの年、大きな幸運が降ってきた。
・04月:韓国のテレビ番組取材を受ける
・07月:『八田式「イキのいい韓国語あります。」』発売
・10月:大学で初めての講演
メディアからの取材、書籍の出版、そして講演。
これらはいまの僕にとって、それぞれ重要な仕事だが、
それぞれが「初体験!」として凝縮されている。
・11月:コラム執筆&ビジネス文書の翻訳などに奔走
また、ライターの仕事をもらい始めたのもこの頃。
2003年の前半は、まるっきりニートであったが、
後半はヨチヨチ歩きながらも仕事をしている。
僕がライター活動を始めたのは2001年だが、
身を立て始めたのは、この時期からだろう。
だが、いま思いついて当時の確定申告書を見たら、
手取りの年収が、アルバイトを含めて106万しかなかった。
実家に住んでいたので、食べる、寝るは困らなかったが、
よく生きてたなオレ、と改めてあきれる次第である。
やっぱりこの26歳は人生をナメていた。
というところまで書いて、まとめなのだが、
この唐突で中身のない自分語りは、
「それでもこの2003年はまぶしく見える!」
という部分に着地をする。
まあ、10年経ったオレが見るのだから、
過去の若さがまぶしいのは、ある意味当然のこと。
とはいえ10年前の自分をうらやむのは悔しい。
むしろ、さらに10年後のオレに、
「2013年はまぶしく見える!」
といわせるために頑張らねばならない。
例えば、新刊の「韓国料理には、ご用心!」が、
僕の代表作に成長すれば、革命的な年になる。
すると、これは是が非でもたくさん売れねばならない。
「だから、みんな買ってね!」
というのがオチ。
……ではなく、話はもうひとひねりする。
実はしばらく前から考えていたことなのだが、
少し新しいことを始めたいと思う。
本が売れて代表作になるのとは別に、
新しいことに挑戦する2013年としたい。
まだまったく具体的ではないのだが、
やりたいのは発信の場をリニューアルすること。
あちこちに書き散らかして散漫になっているのを、
少し整理して体勢を立て直したいのだ。
それに伴って……。
このメルマガは今年で閉じようと思う。
キリよく、9月1日配信の第300号で最終回。
残りあと11号で、おしまいにする。
以上、突然の終了宣言。爆弾発言。
2013年は心機一転、再始動の年。
<お知らせ>
3月21日(木)に新刊が発売になります。
タイトルは「韓国料理には、ご用心!」。
版元は三五館、定価は1260円(税込)。
ここ10年ほどの日本における韓国料理事情を、
ギュッとまとめて整理をしたという内容です。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1503.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
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<八田氏の独り言>
創刊から13年目を迎えての決断。
まずは最終回まで全力を尽くします。
コリアうめーや!!第289号
2013年3月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
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