コリアうめーや!!第280号
<ごあいさつ>
11月になりました。
長かった残暑もどうやら遠のき、
短い秋を経て、冬が見えてきました。
ちょうど、明後日から韓国出張なのですが、
向こうはたぶん、東京より寒いんでしょうね。
しかも、今回は目的地からして江原道。
しっかり防寒対策をして出かけたいと思います。
そんな出張前のメルマガですが、
ちょっと変わったテーマに挑んでみました。
このところ江原道の出張報告ばかりで、
単調だったところへの起爆剤がわり。
新たな方向性から、韓国料理を見つめてみます。
コリアうめーや!!第280号。
アメリカ大陸を目指す、スタートです。
<コロンブスの韓国料理を大捜索!!>
んー、忙しい!
忙しい、忙しい、忙しい、忙しい。
なんだか、このところとっても忙しい。
目の前にある仕事がまったく片付かない。
いつまでたっても忙しい。
こんなに忙しいとものを考えるヒマもなく、
なにか新しいものを生み出す気概が生まれない。
ぼんやりと脳みそがただ惰性で働き、
バチッと目の覚めるようなヒラメキがない。
心の奥底から燃え出すような情熱がない。
ざっくりいえば、自分自身がつまんない。
あああああああ、何か脳みそに刺激を。
素晴らしい発想で鼻血が出るような輝きを。
全人類に向けて勝ち誇るようなドヤ顔を。
いますぐ、この僕に与えてくれぇっ!
……。
……。
……。
てなことを、考えてしまう今日この頃。
まあ、実際ここまで身悶えている訳ではなく、
心が崩壊しかけているのでもないので安心して欲しい。
ただ、忙しくて、自分自身に時間をかけられず、
「なんか考えがマンネリ化しているな」
ということなのである。
まあ、こういうことは往々にしてあるので、
速やかに「対策その1」を講じるのがよろしい。
僕の場合、よくやるのが、
「できるだけバカバカしい企画に取り組む!」
という対策である。
脳みそのベクトルが真面目路線から一転、
バカバカしいほうに向くので、けっこう効果がある。
企画はバカバカければ、バカバカしいほどよい。
今回は、こんな企画を実施してみよう。
だらららららららららららららら、ジャン!
「コロンブスの韓国料理を探してみよう!」
ぱんぱかぱーん、どんどん、ぱふぱふ。
うん、よしよし。それなりにバカバカしいぞ。
その内容を説明すると、前提はまず「コロンブスの卵」だ。
卵をいかに立てるか、というお題に対して、
グシャッ!
と底をつぶせばいいじゃん、という発想の転換。
常識の壁と、凡人の試行錯誤を、ひらりと飛び越える、
超次元的なアプローチを「コロンブス」と定義する。
したらば、「コロンブスの韓国料理」とは、
従来の韓国料理とは違う、超発想の韓国料理を意味する。
それを探すことで、マンネリ化した脳の肥やしとし、
刺激に満ちあふれた発想を取り戻すのだ。
では、その方法。
1、定番韓国料理をピックアップする
2、各料理を「珍しい○○」と日本語で検索する
3、各料理を「トゥギハン○○」と韓国語で検索する
4、適宜、必要に応じて検索語は工夫を加える
5、出てきた珍しい料理を見て超発想に脳が喜ぶ
ちなみに「トゥギハン」は「特異な」という意味で、
日本語の珍しいと、ほぼ同じような感じに使う。
場合によって「個性的な」「不思議な」「妙な」など、
とにかく変わったものが出てくるよう工夫もした。
まあ、手法としてはありふれたものだが、
実際に試してみたところ、けっこう効果があった。
むしろ脳汁がぴゅるぴゅる出る発見も多かった。
論より証拠。
以下に、その結果をずらり並べてみよう。
ランキングを設けて、まずは第15位から第11位まで。
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第15位、すりおろしたニンジンのジョン
第14位、海苔&マヨネーズで包むタッカルビ
第13位、カムジャタンカレー
第12位、キムチチゲハンバーグ
第11位、マグロのユッケジャン
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せっかくなので、それぞれの発見も解説する。
場合によって、既知の工夫もあるかもしれないが、
あくまでも僕の興奮ということで、ご理解頂きたい。
まず、ジャガイモをすりおろすジョンはよく見るが、
ニンジンをすりおろすというのは盲点だった。
色合いの鮮やかなジョンは、見た目にもよく映える。
葉野菜以外で包むタッカルビも面白い。
海苔&マヨなら、辛さもマイルドになっていいはず。
この方向性なら、サムギョプサルですでに登場している、
クレープや、トルティーヤで包むのもアリだろう。
カムジャタンカレーとキムチハンバーグは、
洋風料理と韓国料理を巧みに組み合わせた発想。
味の想像がつきながらも、試してみたくなるのが魅力。
柔軟な発想が、もっとも試される分野だ。
マグロを使ったユッケジャンも面白い。
牛肉のユッケを、マグロで代用する例は一般的だが、
スープ料理で牛肉をマグロにというのは画期的。
どんな味、食感になのかたいへん気になる。
……といったあたりで、やりたいことが、
どんなことか、わかって頂けたのではないかと思う。
どんどんいこう、次は第10位から第6位。
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第10位、星型、ハート型のトッポッキ
第9位、サンチュに包んで食べるキムチチゲ
第8位、蕎麦を入れるソルロンタン
第7位、セリと食べるサムギョプサル
第6位、生卵が別皿で出てくるビビンバ
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トッポッキといえば棒状の形が一般的だが、
韓国の餅には、雪だるま型のものもある。
それをさらに変化させた、星型、ハート形の餅は、
トッポッキの世界に新たなファンシーさを持ち込んだ。
サンチュに包んで食べるキムチチゲというのは、
具のひとつである豚肉をクローズアップしたもの。
サンチュを用意するだけで、具のひとつである豚肉が、
包んで食べる素材へと、二面性を持って立ち上る。
ソルロンタンには、春雨、素麺などが入るが、
蕎麦どころである済州島では、蕎麦入りもあるらしい。
麺の可能性をも導ける、郷土料理ならではの変化球。
セリと食べるサムギョプサルは、セリの産地である、
慶尚北道清道郡が地元式の食べ方として実践している。
豚肉よりも、セリのほうがメインの料理で、
野菜のための焼肉、という逆転の発想が導かれる。
最後の生卵が別皿で出てくるビビンバは、
混ぜる過程で、卵に熱が通ってしまうのを防ぐ工夫。
卵を後入れすることにより、卵の滑らかさを保つ。
まさに「コロンブスの卵」的なサービスだ。
さあさあ、いよいよここからはベスト5。
脳汁出まくり、興奮の極致で、一直線に進もう。
第5位から、第1位までの発表である。
じゃーん!
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第5位、竹筒入りのアワビサムゲタン
第4位、砂肝入りのタッカンマリ
第3位、リンゴやミカンを載せたカンジャンケジャン
第2位、タイ風タッカルビ
第1位、白スープの長崎プデチゲ
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サムゲタンをトゥッペギ(鍋)で煮るのではなく、
竹筒に鶏とアワビも入れて、蒸し上げるという調理法。
清涼な竹の香りが、鶏肉に移ることを考えると、
より洗練された味のサムゲタンを期待できる。
砂肝入りのタッカンマリは「鶏1羽」を名乗りつつ、
内臓はどうした、という強烈なメッセージが見えてくる。
実際は内臓の生臭さを抑えるなど工夫が必要だろうが、
鶏の内臓でアクセントをつけられるなら興味深い。
フルーツとカンジャンケジャンの組み合わせは、
醤油の味を、甘くまろやかにするものと推測される。
カニの甘味が、リンゴやミカンとどうマッチするのか。
あるいは酸味が効くのか、気になるところだ。
タイ風タッカルビは、カレーとの融合を示唆。
実際はパイナップルを具にするという工夫らしいが、
もともとタッカルビにはカレー粉が隠し味に使われる。
・キーマカレー風タッカルビ
・カシミールカレー風タッカルビ
・横浜海軍カレータッカルビ
などの可能性が次々に想起される。
最後のひとつは、あまりに衝撃的だったので、
メルマガより先にtwitterで呟いてしまった。
韓国では昨年、白いラーメンブームがあり、
「長崎チャンポン」という商品もそれに一役買った。
白いスープに、青唐辛子で辛味をきかせたチャンポンは、
時代の勢いに乗って、韓国料理界に新概念を導入。
「長崎プデチゲ」という料理名はすなわち……。
「長崎=白くて辛いスープ」
という単語が誕生したことを示している。
既存の赤いスープを、白くして「長崎」になるなら、
そこからの連想で、
・長崎キムチチゲ
・長崎スンドゥブチゲ
・長崎ユッケジャン
といったメニューがあってもよいだろう。
今後、どんな長崎料理が生まれても驚いてはいけない。
むしろ、長崎料理の可能性を追求してみたい。
ということで、以上。
第15位から、第1位までを並べてみた。
どの工夫も、韓国料理の常識を切り崩すもので、
その発想には、素直に拍手を送りたい。
ただ、いうまでもないが、これらの料理、
実際に食べた訳ではないので、美味しいかは不明。
イマジネーションを刺激し、韓国料理の可能性を考える、
そんな意味での素材として参考にしたい。
おかげさまで脳みそもだいぶリフレッシュ。
新たな刺激を受けて、発想を豊かにできそうだ。
うん、楽しかった!
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
Twitter
http://twitter.com/kansyoku_nikki
FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
既存の韓国料理を鋭い感性で磨く。
そんな志に、目を光らせたいと思います。
コリアうめーや!!第280号
2012年11月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
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