コリアうめーや!!第252号
<ごあいさつ>
9月になりました。
本日の朝まで釜山にいたのですが、
天候にも恵まれ、有意義な日々でした。
美味しいものを食べ歩いたのはもちろん、
遊覧船に乗ったり、島を訪れてみたり。
いずれも青空が清々しかったですね。
ところが、そんな取材を終えて帰国してみると、
なんと台風12号が直撃しようかというタイミング。
僕の住む東京も、明日以降大雨が予想され、
ずいぶんと不穏な状況下にあります。
日本各地を縦断との予報とも出ていますので、
該当地域の皆様も重々お気を付けください。
さて、そんな中、今号のメルマガですが、
8月に出かけた神戸出張の報告を少しばかり。
あれこれ印象的な体験がありましたので、
ぎゅっとまとめて語らせて頂きたいと思います。
コリアうめーや!!第252号。
てるてるぼうずを拝む、スタートです。
<神戸・新長田を楽しむショートトリップ!!>
汗がとめどなく滴るお盆連休。
僕は3泊4日の日程で神戸出張に出ていた。
主たる目的は三宮の「そごう神戸店」で開催された、
韓国関連の催事イベントに参加すること。
「エネルギッシュコリア韓流美・味展」
上記のように題された期間限定のこの催事は、
韓国文化の一切合切を集める大規模な企画である。
料理、食材、雑貨、化粧品、CD、DVD、書籍など。
ずらり揃った姿は、韓国ファンでなくとも壮観だ。
この催事は4月に池袋、5月に横浜で開催され、
いずれも好評を博しつつ、神戸へと引き継がれた。
そして、僕がこのメルマガを書いている今日。
9月1日からはまた関東に戻って千葉での開催。
JR千葉駅前の「そごう千葉店」6階催会場にて、
9月7日まで、全7日間の日程で行われる。
エネルギッシュコリア韓流美・味展
http://www2.sogo-gogo.com/kankoku/
この催事では各店、各企業の出展に加え、
「韓流セミナー」というイベントも毎日開催。
僕が神戸を訪れたのも、このイベントに出るためで、
韓国の食文化を語る特別講師という立場を頂いている。
ちなみに「そごう千葉店」でもセミナーがあり、
僕の担当は……。
・9月2日(金)13時~13時40分
・9月4日(日)11時~11時40分
・9月6日(火)13時~13時40分
こんな感じ。
「あら、アタシちょうど千葉に住んでいるわ!」
「あら、しかもその日はちょうどヒマだわ!」
「あら、じゃ、顔を出すしかないわね!」
という人がどれだけいるかわからないが、
時間のある方は、ぜひとも足を運んで頂きたい。
なにしろ、この週末は台風直撃の予報。
壇上に立って、空席の山だと落ち込むので、
メルマガをも使って、あえてのお願いである。
胸を張って、
「無料です!」
と最後に付け加えておく。
さて、神戸の滞在中。
僕は日程のほとんどを催事会場で過ごしたが、
それだけではもったいないと個人的な取材にも出た。
隙間を縫ってようやく捻出した自由時間。
僕が目的地としたのは新長田である。
東京に新大久保、大阪に鶴橋があるならば、
神戸は新長田がちょうどそのポジションにある。
新大久保や鶴橋のように、
「駅を降りたらすぐ韓国!」
という風情ではないが、
古くから在日の人たちが多く住んでいる地域。
ポツポツとではあるが、確かに韓国系の店も多い。
ただむしろ、新長田という地域においては、
韓国よりも目立っているものが別にある。
鉄人28号と三国志。
駅前には巨大な鉄人28号の巨大な像が立ち、
商店街には三国志の武将を描いた旗がひるがえる。
両作品の著者である横山光輝氏が神戸出身であり、
その縁から、地域おこしに一役かったそうだ。
新長田の韓国的な部分を目当てに行った僕も、
思わず鉄人の写真を撮り、三国志ミュージアムにも行った。
韓国とは無関係にも、充分楽しめる町であった。
しかし、本題となるのはそこではない。
韓国以外の部分でしっかり楽しめる一方、
韓国というキーワードでも収穫がかなり多かった。
その中でまず、駅前の韓国カフェを紹介したい。
韓流ショップと韓国食材店を併設する、
韓国茶とスイーツの店「韓館」。
地元神戸の店として催事にも出展しており、
韓国素材を用いた手作りスイーツで話題を集めていた。
一例をあげると、
・五味子のパンナコッタ
・柚子のパンナコッタ
・エゴマのプリン
・ナツメのタルト
・エゴマのクッキー
といった感じ。
こうした韓国素材と西洋スイーツの融合は、
昨今の韓国料理業界における流行のひとつである。
神戸というハイカラな土地に似合う工夫であり、
「神戸にもこんな店があったのか!」
と驚く一方、さすが神戸と、
どこか納得させられる店であった。
また、その驚きはスイーツだけに留まらず、
店舗においては、カフェ的な創作料理も豊富に用意。
プレート形式のランチに加え、
・タッカルビカレー
・タッカルビバーガー
・ヤンニョン唐揚げ丼
・トッポギカルボナーラ
といったメニューが並んでいる。
新長田駅に到着後、まず訪れたのがここで、
いちばん気になったタッカルビバーガーを注文。
韓国的なピリ辛味の鶏肉はパン、野菜ともよく合い、
しっかりと馴染んだバーガーに仕上がっていた。
一緒に頼んだドリンクにも韓菓がつき、
それもまた毎日、ひとつひとつ手作りという。
ツボを突いたメニューの組み立てに加え、
時間と手間をかけた仕事の数々は、
「こんなカフェが東京にもあれば……」
と思わずうなるほど魅力的であった。
そして、もうひとつの大きな収穫。
それは新長田の老舗冷麺店に足を運べたことだ。
店の名前を「元祖平壌冷麺屋」といって、
僕にとっては2008年9月以来となる訪問。
そのときは取材として足を運んだのだが、
貴重な話をずいぶんたくさん聞かせて頂いた。
まず、この店は創業が1939年。
創業者である初代のご夫妻は平壌の出身で、
平壌にいた頃は、冷麺の店でも働いていたという。
日本に渡ってからも、故郷の味を懐かしく思い、
自分たちで食べるために冷麺を手打ちしていた。
その当時、冷麺を作るというのは大仕事で、
作ったときには、近所の仲間にも振る舞ったとのこと。
それが評判を呼んで、いつしか商売に発展し、
代を継いで現在まで店が続いたそうだ。
その技術は子ども、孫にのみ継承されており、
現在は神戸のほか大阪、横浜などにも支店がある。
日本における貴重な冷麺の老舗店だ。
余談だが、1939年という数字も興味深い。
僕の知る限り、韓国でもっとも古い冷麺店は、
ソウルにある「又来屋(ウレオク)」で1946年創業。
北朝鮮でもっとも有名な「玉流館(オンニュグァン)」も、
調べたところ1960年創業とのことであった。
北朝鮮内にもっと古い店があるかもしれないが、
朝鮮戦争前からの店がそのままあるとは考えにくい。
あるいは中国などにも可能性は広げられるが、
とりあえずわかる範囲では……。
「世界最古の冷麺店が新長田にある!」
といえるのではないだろうか。
70年を越える店の歴史とともに、
なんともロマンのある話である。
僕が店を訪れたのはちょうど昼時で、
店頭には順番待ちのお客さんがあふれていた。
どうやら地元の人たちがほとんどの様子。
順番待ちの姿を見て、
「うへぇ」
と眉をしかめつつも、
この店なら仕方ないという風でみな待っていた。
僕も炎天下の中、30分以上じりじりと待ち、
ようやく3年ぶりの冷麺にありついた。
この店の冷麺は麺もスープも素晴らしい。
麺はそばの実の芯だけを使用した手打ち麺。
やや太めで中心にクキッとしたコシを残しており、
それを噛むごとにそば粉の香りが口に広がる。
スープはムルギムチをベースとしており、
強めの酸味が、ぎゅっと喉に清涼感をもたらす。
僕はあまり酸味が得意なほうではないのだが、
この店のスープだけはまったくもって別。
どんぶりを抱えてぐいぐいと飲んでしまう。
「待った甲斐があった!」
と心から思える幸せな瞬間であった。
念願の冷麺を、麺1本、スープ1滴まで、
しっかりと平らげて、僕の新長田トリップは終了。
トータルでわずか3時間という短い滞在だったが、
内容は濃密で、新長田をおおいに楽しんだ。
いずれしっかり時間をとってさらに探索すれば、
まだまだ魅力的な姿を発見できることだろう。
新長田という地域はかなり奥が深いと思われる。
そして、そのときはぼっかけも食べねばならない。
ぼっかけとは新長田あたりのローカルフードで、
いわゆる牛スジとコンニャクの煮込み。
お好み焼きや、うどんに載せて食べることも多く、
用途の広い、地元密着の名物といえよう。
実は後日、元町の冷麺店にも足を運んだのだが、
そこにはぼっかけ冷麺なるメニューがあった。
どうやら真剣に神戸の冷麺を語るのであれば、
ぼっかけに関する知識も必要になりそうである。
これをいずれの宿題としつつ……。
「必ずまた新長田へ!」
との決意を表明するとともに、
甚だ中途ではあるが、以上を新長田報告としたい。
<店舗情報>
店名:韓流Shop&韓茶Cafe韓館
住所:兵庫県神戸市長田区若松町3-2-15-201号
電話:078-642-3210
店名:元祖平壌冷麺屋本店
住所:兵庫県神戸市長田区細田町6-1-14
電話:078-691-2634
店名:冷麺処伸
住所:兵庫県神戸市中央区三宮町3-8-8サン・サンビル1階
電話:080-4239-7865
<リンク>
ブログ「韓食日記」
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<八田氏の独り言>
日本全国のコリアンタウンを巡りたい。
そんなことを真剣に考えております。
コリアうめーや!!第252号
2011年9月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com