コリアうめーや!!第38号

コリアうめーや!!第38号

<ごあいさつ>
10月になりました。
食欲の秋にまっしぐらです。
冷たい雨がシトシトと降り、日に日に気温が下がってゆく。
ああ、また冬が来るのだなあと物思う今日この頃です。
八田氏は8月生まれの夏男なので寒いのはやや苦手。
鍋物や熱燗がおいしくなるのは大歓迎ですが、
木枯らしに吹かれるのは勘弁願いたいところです。
冬に向けて喜びと悲しみが交錯する。
秋はそんな気持ちの準備をする季節でもあります。
さて今回のコリアうめーや!!。
釜山特集をもう1度やるつもりでしたが、
テレビを見ていて気が変わりました。
いつかは書きたいと思っていた麺料理。
カルグクスの紹介をしてみたいと思います。
コリアうめーや!!第38号。
マニアが争うスタートです。

<讃岐うどんVSカルグクス!!>

讃岐うどんがすごい勢いで攻めて来ている。

2002年9月6日。東京渋谷にまんまるはなまるうどんがオープン。
「驚異の100円かけうどん東京上陸」を宣伝文句に、
安くてうまい讃岐うどんを強烈にアピールしている。
八田氏もさっそく渋谷まで食べにいったがものすごい行列だった。

ニュース番組などで組まれる特集の数もすごい。
テレビをつければ回転ずしか讃岐うどんというくらいの露出度だ。
今や汚ギャルも貴乃花復活も完全に蹴散らした勢いである。

ここまで大々的に紹介されると、なにやら根拠のない対抗意識が生まれてくる。

それほどまでにすごいんだったら、一丁勝負したろやないけ!!
こちとら韓国料理マニアじゃい。韓国のうどん食ったらんかい!!

と鼻息荒く、意味のない対抗意識をメラメラと燃えあがらせ、
讃岐うどんのマニアをわざわざ連れてきて韓国うどんを食べさせてみた。
マニアによるマニアのための日韓うどんバトルである。

今回登場頂いた讃岐うどんマニアは、八田氏の幼馴染で前田和哉くんという。

四国にある某うどん会社勤務。休日になれば車でうどん屋めぐり。
彼女いない歴が年齢と一緒というコンプレックスはあるものの、
専務の娘を見合い相手として紹介されるほど将来を嘱望される優秀な若手だ。
ちなみに名前の和哉は1月8日生まれであるところから名付けられた。

この讃岐うどん偏愛という前田和哉くんに、韓国のうどんを食べさせるとどうなるか。
その反応を見て楽しもうという企画である。

実は八田氏、以前よりうどんを食べに香川まで来ないかと誘われていた。

「うまい讃岐うどんを朝昼晩と食べさせてやろう。」
「いや、でも四国まで行くのが大変だからね……。」

「そうか。わかった。ならば朝、昼、オヤツ、晩と4食ご馳走してやる。」
「新幹線か飛行機だろ。東京から四国は遠いんだって。」

「そこまで言うなら仕方がない。1日5食でどうだ。」
「だから遠いから無理だって言ってるんだよ。」

「じゃあ6食か……。それはちょっと多いぞ。」
「…………。」

この会話に脚色がないというあたりに彼女の出来ない秘密があると思う。

また前田和哉くんは言う。

「ダシをはらずに生醤油をかける『醤油かけ』というのがうまい。釜揚げの麺に生卵を乗せた『かまたま』もうまい。冷たい麺にあったかいつゆをかけた『ひやあつ』もいい。店は看板のない製麺所がうまい。さらに米屋でもうどんが食える。セルフサービスの店もたくさんあって安い。客が自分でうどんを茹でて自分でダシをはって自分で具を乗せるという店もある。自分で畑まで行ってネギを抜いてきて、それを自分で刻んで入れる店まである。どうだどうだ香川に来ないか。」

支離滅裂で訳がわからないながら熱意は伝わってくる。
これだけ讃岐うどんを愛する人物であれば、
韓国のうどんに対しても面白い反応を見せてくれるだろう。

かくして。讃岐うどんVS韓国うどん。
マニア同士による日韓うどんバトルは幕を開けたのである。

韓国のうどんのことを韓国語でカルグクスという。
カルは包丁のこと。グクスは麺。すなわち包丁で切った麺という意味になる。
材料は小麦粉なので、麺に関しては日本のうどんと何ら変わらない。

スープは鶏肉、アサリ、イワシなどでダシを取り、塩と醤油であっさりと仕上げる。
場合によって少々の唐辛子粉を振るが、基本的に韓国料理独特の赤さ、辛さは姿を潜めている。
具にはダシを取った鶏肉や貝のほかに、ズッキーニ、錦糸卵、糸唐辛子などを配色を考えて盛る。

最大の相違点はスープで麺を茹でるというところ。
日本のうどんがツルツルなめらかなノド越しに勝負をかける反面、
韓国のうどんは粉がダシ汁に溶け出して若干トロミのついた仕上がりになる。
また麺そのものが総じて日本より長いというのも特徴のひとつだ。

今回、前田和哉くんにカルグクスを食べさせたのは東京の新大久保。
本来ならば韓国まで連れて行って、本場のカルグクスを試してもらうのが1番なのだが、
予算の関係もあり、コリアンタウンで我慢してもらうことにした。

ステンレスの器に入ったカルグクスが目の前に登場する。
写真も撮影するとあって、必要以上に難しい顔をしながら香りを確かめる前田和哉くん。
スプーンを手にとってスープをそっと一口すすった。

「うん。ダシの味はいい。」

讃岐うどんマニアらしい真剣な面持ち。
酔うと目の前の割り箸を手当たり次第に折り出すという普段の前田和哉くんではない。

音をたてて麺をずずずとすする。
うどんマニア、そばマニア、ラーメンマニア。
これら麺食いマニアに共通するすすった瞬間のしかめっ面。

「うーむ。麺にコシがない……。」
「コ、コシですか……。」

コシがない。それを聞いて途端に弱気になる八田氏。
確かに讃岐うどんは噛み切るときの心地よい抵抗感が命だ。

前田和哉くん曰く。
カルグクスには麺のコシがない。讃岐うどんのモチモチした食感にはるか及ばない。
ダシはうまいし具も豪華だが、麺がまったく主張していない。
麺料理として麺の欠陥は全体が台無しである。

「ト、トロミのあるスープなどいかがでしょう……。」

なんとか挽回を図ろうとする八田氏。

「スープはいい。だがすべての問題は麺なのだ。」
「すべての問題は麺……。」
「讃岐うどんの方がうまいな。」
「…………。」

韓国料理マニア、こてんぱんである。

「それでは讃岐うどんの麺をカルグクスに応用してみてはいかがでしょう。」
「うむ。それにはスープが淡白すぎる。それならまだ秋田の稲庭うどんがいいだろう。」

前田くんは静かにつぶやいた。説得力のあるセリフだった。

讃岐うどんにカルグクスをぶつけに行った八田氏は見事に敗れ去った。
コシだらけの冷麺で再戦を挑もうかとも思ったが、それでは長崎の敵討ちである。
そばマニアと対決するならまだしも、讃岐うどんとではお門違いだろう。

韓国料理マニア諸君。讃岐うどんが攻めて来ている。
讃岐うどんを粉砕出来るうまいカルグクスを探さねばならない。
讃岐うどんマニアをも唸らせるコシのある麺が必要だ。

見つけ次第でただちに連絡してほしい。
韓国料理マニアの奮起を期待する。

さらに。
四国まで行って讃岐うどんを粉砕するカルグクスマニアな韓国人も同時募集。
ただし四国は遠いので費用は自腹で勝手に行ってください。

<お知らせ>
カルグクスの写真をホームページで見られます。
よかったらのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<お知らせ2>
プサンナビというサイトで済州島日記を書き始めました。
韓国人2人、日本人2人で済州島を旅行した話です。
http://www.busannavi.com/communi/hata.html

<アンケート>
新企画です。あなたの好きな韓国料理を教えてください。
ジャンルを問わず好きな韓国料理を1人につき3点まで。
ちなみに八田氏の場合はこんな感じです。

・スンドゥブチゲ
・カムジャタン
・タッカンマリ

応募先はこちら
hachimax@hotmail.com
またはこのメルマガを返信でも届きます。
発表は次号の予定。たくさんのご応募お待ちしています。

<八田氏の独り言>
韓国の激辛チャンポンと対決したい長崎県民大募集。

コリアうめーや!!第38号
2002年10月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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