コリアうめーや!!第27号

コリアうめーや!!第27号

<ごあいさつ>
韓国から帰ってまいりました。
4月1日から14日までの2週間。
コリアうめーや!!にうまく合わせての渡韓です。
今回はソウルのみならず、済州島のほうにも足を伸ばしました。
済州島は初めてだったのですが、
いやはや、本当にいいところでしたねえ。
食べ物はうまいし、景色はいいし。
感動的な体験を致しました。
次号からは今回の旅で得た情報もお届けしたいと思います。
さて、コリアうめーや!!第27号。
4月といえばやっぱりこの話を忘れてはいけません。
1年に1回のちょっと特別なオモシロイベント。
季節感あふれて、スタートです。

<悲しみと切なさのブラックデー>

今日は4月15日である。
であるからして、昨日は4月14日なのである。
「何をアホなこと言ってるんだ。そんなの当たり前じゃないか。」
などと、挑戦的なことを言ってはいけない。

そういう人に対しては、
「アホって言ったなあ。お前のほうがもっとアホー。やーいやーい。」
と、子供じみた醜い泥沼の争いに引きずり込む覚悟がある。
断固として昨日は4月14日だったのである。

そこまでこだわる4月14日とは一体何の日か。

「ハイ、先生!!」
「では、木村君。」
「ハイ。工藤静香の誕生日です。」
「はい、正解。よくできましたね。じゃあ廊下に立ってなさい。」
「ハーイ。」

工藤静香はこの際、横においておくとして、
4月14日は韓国ではブラックデーと呼ばれる特別な日なのである。

ブラックデーとは、2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデーに、
「みんななんか浮かれてるけど、俺なんの関係もなかったもんね」という、
恋人のいない寂しい男女が、全身真っ黒い服を着て、真っ黒いチャジャンミョンをすすり
こむという極めて酔狂な日である。

韓国ではこの日、恋人のいない若者たちが寄り集まって「チャジャンミョン合コン」を執
り行う。バレンタインデー、ホワイトデーの雪辱を果すが如く、今度こそはという熱い闘
いを繰り広げるのだが、このブラックデーを機に付き合い始めるカップルもけっこういる
というから、あながちバカにしてもいられない。なにしろ、この日に恋人が出来ないと、
5月14日のイエローデーに全身黄色い服を来て、カレーをむさぼり食うという、さらに
マヌケな行動をしなければならない。アホなイベントなりにみんな必死なのである。

さて、チャジャンミョンである。
八田氏が初めてチャジャンミョンを知ったのは語学学校の教科書であった。
韓国に留学してまだ2週間目。読解の授業中のことである。
教科書には「これは何の食べ物でしょう」というタイトルで10数行の文章が書かれ、
いくつかのヒントから食べ物を当てるという趣向になっていた。

そのヒントとは大体にして次のようなものである。

1、この料理はおいしいです。
2、色がひとつです。
3、麺と食べたり、ごはんと食べたりします。
4、韓国料理ではありません。
5、子供たちに人気があります。
6、材料にはタマネギ、ジャガイモ、ニンジンなどが使われます
7、普通豚肉を使いますが、最近では牛肉やエビなども用います。

こんなん、どう考えてもカレーである。

おいしいし、茶色の単色だし、カレーうどんやカレーライスがある。
韓国料理ではもちろんないし、子供たちにも人気がある。
材料にタマネギ、ジャガイモ、ニンジンの入っていないカレーはありえないし、
ポークカレー、ビーフカレー、シュリンプカレー、全部OKだ。
自信満々でカレーと答えた。

すると、先生は一瞬曇った表情を見せ、
「残念ですが、答えはチャジャンミョンです。」
と、言って次の瞬間にっこり微笑んだ。

ぬわにぃ!! なんだその料理は。

チャジャンミョンとは漢字で炸醤麺と書き、日本ではジャージャー麺と呼ばれる。
チュンジャンという真っ黒い味噌を油で炒め、豚肉や野菜を加えて、どろりとしたソース
を作る。それを麺の上にかけるので、この料理はイカスミスパゲティのように一面真っ黒
になる。普通は麺にかけて食べるが、ごはんやチャーハンにかけてもよい。その際はチャ
ジャンミョン(炸醤麺)ではなく、チャジャンパプ(炸醤飯)という名称に変化する。も
ともとは中国料理で、韓国には19世紀の後半、仁川に伝えられた。当然のことながら子
供たちにも大人気だ。材料には豚肉、サイの目に細かく切られたタマネギ、ジャガイモ、
ニンジンが具として入る。最近では豚肉のかわりに牛肉が用いられることもあり、エビ、
イカ、ナマコなどの海産物が入ったチャジャンミョンはサムソンチャジャンミョン(三鮮
炸醤麺)と呼ばれ中華料理屋では高級な部類に入る。

完璧である。
先ほどの7つのヒントを完全に満たしている。
あまりの完璧さに悔しくて目からよだれが出るくらいだ。

このチャジャンミョン。
一応、中華料理であるから、中華料理屋で食べられる。
一般の食堂でも出すところはあるし、出前料理の代名詞でもある。
安くて、カンタンに食べられて、なによりうまい。

プチンと割った割り箸を両手に1本ずつ持ち、
麺を両側からすくいあげるようにしてソースを絡めていく。
全体が真っ黒になるまで混ぜたら、口の周りをドロドロにしながら食べよう。
なんだかとても懐かしいうまさがある。

韓国に行って中華料理というのもオツなもの。
是非1度お試しあれ。

<おまけ>
チャジャンミョンにも色々な種類があります。カンチャジャンとは水溶き片栗粉を入れず
に作ったもので、チャジャンと麺を別々の皿に入れ供されることが多いです。本文でも触
れたサムソンチャジャンは三鮮炸醤と書き、3つの海産物を使用したという意味。ユスル
チャジャン、ユニチャジャンとは使用される肉の形状をあらわしたもので、ユスルチャジ
ャンは細切り、ユニチャジャンは挽肉を用いたチャジャンミョンです。

<お知らせ>
チャジャンミョンの写真をホームページで見られます。
ぜひのぞいてみてください。
http://www.koparis.com/~hatta/

<八田氏の独り言>
5月14日にカレーを一緒に食べる人大募集。

コリアうめーや!!第27号
2002年4月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com



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