コリアうめーや!!第277号
<ごあいさつ>
9月15日になりました。
まだまだ暑い日が続いておりますが、
ときおり夕方などに秋の風を感じます。
厳しい残暑と戦う毎日というのも、
あと少しの辛抱なのかもしれませんね。
早く秋の気配を存分に味わいたい。
キリン「秋味」をグビグビ飲み干しながら、
3日後の月見バーガーを心待ちにしています。
さて、そんな中、今号のテーマですが、
先日の江原道出張から本格的に語ります。
今回、足を運ぶに当たって、
どうしても行きたかった地域のひとつ。
おかげさまで、大満足となりました。
コリアうめーや!!第277号。
ひとり胸を張っての、スタートです。
<真剣勝負のひとり焼肉in横城!!>
韓国をひとりで旅していると、
「え、ひとりなんですか!?」
「ひとりで旅行をしているんですか!?」
「なんでひとりなんですか!?」
と驚かれることが多々ある。
韓国人にとって旅行とは大勢で行くものであり、
ひとり旅を楽しむ習慣はあまりないらしい。
同様に食事をひとりで楽しむ習慣もなく、
飲食店にひとりで行くと……。
「え、ひとりなんですか!?」
という問いに何度も答えなければならない。
最初は、あれこれひとり旅の説明に苦労をしたが、
いろいろ試してみたところ、
「ええ、外国人なので」
の一言でだいたい納得してくれるのがわかった。
ひとり旅と外国人の間に、直接の関係性はないのだが、
異文化の人、という一応の理解が生まれるようだ。
最近では飲食店に入って、
「え、ひとりなんですか!?」
という反応をどこか期待している自分がいる。
「何名様ですか?」
「ひとりです」
「おひとりですね、こちらへどうぞ」
なんの驚きもなく案内されてしまうと、
肩透かしをくらった気分で、どうも居心地が悪い。
横城(フェンソン)の焼肉店も、そんな対応だった。
江原道の横城は山間部に位置する内陸の町。
韓国でも有数の韓牛(ハヌ)生産地として知られ、
ソウルの焼肉店でも、横城韓牛を自慢とする店は多い。
同様にツルニンジンの産地としても有名だ。
いつかは横城に行って本場の韓牛を食べよう。
そんなことを考えつつも、なかなか機会がなかったが、
今回、江原道を巡って、ようやく念願がかなった。
ただ、店を訪れる前に唯一不安だったのが、
「え、ひとりなんですか!?」
「おひとり様はちょっと……」
という可能性。
実際、今回江原道を巡っている間にも、
ある韓定食店にて、ひとりでの利用を断られた。
韓定食は2人前以上を基準として料理を出すので、
無理ない話なのだが、焼肉店でも同じ可能性がある。
ドキドキしながら店の人にひとりを伝えると……。
「はい、大丈夫ですよ」
と笑顔で迎えてくれた。
拍子抜けしながらも、ホッとする瞬間である。
同時にそこで店のシステムも確認する。
僕が足を運んだのは横城畜産協同組合が運営する、
「韓牛プラザ」という精肉店を兼ねた焼肉店。
高品質の韓牛を、直接顧客に届けるという名目で、
畜産協同組合が自ら、店舗を構えて営業をしている。
横城郡内に3軒のほか、仁川市内にも1軒あり、
僕はその中のひとつ、「セマル店」に足を運んだ。
横城バスターミナルからは、タクシーで20分程度。
道中、運転手氏も、
「横城で韓牛を食べるなら、韓牛プラザがいちばん!」
と熱烈なプッシュを受けた。
こういう地元の人からの推薦は何より心強い。
この「韓牛プラザ」が人気を集めているのは、
精肉店を兼ねる「セルフ店」と呼ばれるスタイル。
一般の焼肉店が……。
「店に入る → 肉を注文する → 肉を食べる」
という手順であるのに対し、
セルフ店では……。
「店に入る → 肉を購入する → 肉を食べる」
という流れに切り替わる。
店を入ると、精肉店のようなショーケースがあり、
そこで自分が食べたい肉を選んで買うのだ。
パック詰めの牛肉をスーパーで買うのと同じ感覚。
これをレジで会計した後、家に持って帰って食べてもいいし、
併設されている、飲食店スペースに持ち込んでもいい。
上質の肉をリーズナブルにガッツリ味わえる。
ちなみに、飲食店スペースに持ち込む場合は、
ひとり当たり、5000ウォンのセッティング代がかかる。
葉野菜や、副菜などが、この費用に含まれる形だ。
ちなみに肉の値段はこんな感じだった。
・韓牛霜降りロース1++No.9(1万2000W)
・韓牛霜降りロース1++(1万1000W)
・韓牛サーロイン1++No.9(1万W)
・韓牛サーロイン1++(9000W)
・韓牛ミスジ1+(6500W)
いずれも100グラムあたりの値段。
詳しい人ならわかるだろうが、びっくりするほど安い。
そして、これ以外にもたくさんの部位がある。
霜降りロースと訳したのはコットゥンシム。
サーロインと訳したのはアレトゥンシム。
ミスジはプチェサルと呼ばれている部位である。
1++というのは、牛の等級を表す単位で、
1~3等級まであって、1等級がいちばん上。
1+はその上であり、1++はさらに上だ。
日本ではA5級という単位を使ったりするが、
そこに相当するのが1++だと考えてもらえばいい。
韓国語ではこれをツープラスから派生した俗語で、
「トゥップル」というふうにも呼んでいる。
そして、今回横城に行って初めて知ったのが、
1++の上に、No.9という評価基準があること。
これは脂肪の差し込み具合を示したもので、
No.1から、No.9まであって、No.9が最上。
1++に指定される肉は、No.8とNo.9の2種が該当し、
すなわち、No.9は1++の中でも最高との意味だ。
僕が悩みに悩んで購入したのはこちらの2種。
・韓牛サーロイン1++No.9(236g=2万3600W)
・韓牛ミスジ1+(242g=1万5730W)
グラムで書くと想像しにくいかもしれないが、
サーロインステーキ2枚に、焼肉用の分厚いミスジが5枚。
大勢だったら、もっといろいろ買えたのだが、
そこはいかんせん、ひとり旅の悲しさ。
涙を飲んで、2パックだけを購入することにした。
なお、飲食店スペースでも肉の注文はできるが、
その場合は霜降りロースが160gで3万8000W。
100g当たりで計算し直すと……。
購入時:100g=1万1000W
注文時:100g=2万3750W
購入時の値段は、なんと半額以下になっている。
テーブルセッティング費用の5000Wを差し引いても、
セルフ店方式のほうが圧倒的に安い。
そして、自分で試してみて思ったのだが、
自分で食べる肉を選ぶのは、いかにも真剣勝負で楽しい。
部位名から肉質の特徴を判断する知識は必要だが、
そうでなくとも、見た目だけで充分選べる。
肉の分量から、値段とのバランス、脂肪の差し込み具合、
カットされた枚数や、肉の分厚さなどもみな違う。
まわりの人たちも、あれこれ手にとってみては、
気が変わって、別のパックに取り替えたりしていた。
なんともイベント性に富んだ焼肉ではないか。
その後、自分の選んだ肉を飲食店スペースで味わうのだが、
これはなんというか、答え合わせというような趣がある。
「自分の眼力は正しかったのか!?」
とドキドキしながら、肉を口に運ぶのだが、
この緊張感はひと口食べた瞬間に霧散。
そもそもが畜産協同組合の直営店であり、
最高品質の牛肉を、ベストの状態で用意しているのが大前提。
どの肉を食べても、たまらない至福の連続であった。
あとはセルフ店なので、焼くのも基本的に客まかせ。
韓国の焼肉というと、店の人がいっぺんに焼くため、
あたふた慌ただしく食べねばならない状況が多々ある。
セルフ店では自分のペースで焼くことができるので、
ビールを飲みながら、ゆったり焼肉を楽しんだ。
これまで韓国各地で焼肉を食べてきたが、
横城のセルフ店は、楽しさと満足度で群を抜く。
「美味しいよ!」
なら、どこにでもあるが、
「美味しいうえに、楽しいよ!」
というのが何よりの感想。
僕のひとり焼肉で、あれだけ楽しいのだから、
気の合う仲間同士であれば、もっと楽しいはず。
ぜひ、連れ立って足を運んでみて欲しい。
<店舗情報>
店名:横城畜協韓牛プラザセマル店
住所:江原道横城郡隅川面牛項里167
電話:033-342-6159
<お知らせ>
そんな横城の焼肉も含めた江原道ツアーを、
11月3~6日の日程で企画しています。
郷土料理ばかりを食べ尽くすグルメ至上の3泊4日。
ぜひ胃袋に気合いを入れてご参加ください。
八田靖史と行くコリアうめーや!江原道・まんぷくツアー4日間
http://www.sanshin-travel.com/original/010/entry/000754.html
<リンク>
ブログ「韓食日記」
http://koriume.blog43.fc2.com/
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FACE BOOK
http://www.facebook.com/kansyokunikki
<八田氏の独り言>
済州島の黒韓牛、潭陽のトッカルビ、
横城のセルフ焼肉が、僕の3大牛焼肉です。
コリアうめーや!!第277号
2012年9月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
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