コリアうめーや!!第233号
<ごあいさつ>
11月15日になりました。
久しぶりに韓国に来ております。
前回来たのが4月だったので、
ブランクは半年以上になりますね。
定期的に来ないと韓国語も鈍りますし、
最新の流行にもついていけません。
この機に情報収集を頑張りたいと思います。
まあ、流行の最先端であるソウルにはほぼおらず、
主に地方ばかりを巡業しているんですけどね。
詳細な報告は、いずれの機会と致しますが、
まずは久々の韓国を満喫してきたいと思います。
さてその一方で、今号のテーマですが、
前号での調査から少し話を膨らませてみました。
リストを眺めながら気付いた、ふとした疑問。
調べてみると意外な結果が出てきました。
コリアうめーや!!第233号。
視点をかえる、スタートです。
<盲点の料理をデータから読み取る!!>
前号で韓国料理の認知度チェックをした。
有名と思われる韓国料理をネット上で検索し、
そのヒット数で、認知度を計るという試みである。
データ整理に2日間もかかって苦労したので、
読み飛ばした方は、ぜひ目を通して欲しい。
コリアうめーや!!第233号
http://www.melonpan.net/letter/backnumber.php?back_rid=670611
そのときに作成したリストを眺めながら、
せっかく作ったので、もう少し何かできないか考えた。
本業の仕事をほったらかして作った苦労の結晶。
2度ぐらい使わないと割に合わない。
などと身勝手なことを考えて、
自らの作ったリストを、さらにじっくり眺めた。
思い至ったのは、認知度の高いとされた韓国料理を、
僕がどれだけメルマガに落とし込んだか、ということだった。
今号でこのメルマガは、第233号を数える。
単純に考えれば、有名であるはずの100+αの料理。
そのすべてを網羅していても充分おかしくない。
僕はこれまでに書いたメルマガのテーマを振り返り、
認知度チェックのリストに、ひとつひとつ印を打ってみた。
メインテーマとして扱われたものには「★」マーク。
複数テーマのひとつとして登場したものには「☆」マーク。
すると下記のような結果が出た。
黒星マークがついたのは66種類。
白星マークがついたのは13種類。
100+αは正確にいうと106種類なので、
約75%、4分の3ほどの達成率であった。
これをだいぶ網羅していると見るべきか、
あるいは、まだ4分の1も残していると考えるべきか。
その答えは、星のつかなかった面々が握っている。
その大半がランキング下位に位置する料理である。
・45位……トゥブキムチ(豆腐キムチ)
・78位……マンドゥクク(餃子スープ)
・90位……スンデクク(腸詰めのスープ)
・95位……タッコムタン(鶏スープ)
・96位……オジンオボックム(イカ炒め)
その顔ぶれを眺めてみても、
有名ではあっても脇役感が否めない。
これなら、
「まあ、仕方ないか……」
と諦めるところだが、問題は上位陣である。
30位台に3つ、20位台、10位台に1つずつ、
そしてなんとひとケタ台にも無星がいる。
ひとケタ台といえば、検索でのヒット件数が、
最低でもウン十万という超有名韓国料理。
「いったいなぜそんなテーマが漏れたのだ!」
という我ながらびっくりの発見であった。
9年半という長いメルマガの歴史から考えても、
まさに盲点のポジションにいた料理なのであろう。
ああ、不遇の有名料理。
それは……!!
それは……!!
それは……!!
じゃじゃじゃじゃじゃじゃーーーーん!
・6位……ユッケ(韓国式牛刺身)
なんと、ヒット件数は250万件。
日本の焼肉店でも定番すぎる一品料理であり、
韓国料理の中でも相当な存在感を誇る。
にもかかわらず、このメルマガにおいては、
非常に軽んじられていた、ということが今回わかった。
我ながらたいへん驚いている次第である。
なお、これとは別にユッケビビンバがあり、
こちらはきちんとメインテーマとして登場する。
第54号/晋州のユッケビビンバに感動落涙!!
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume54.htm
ユッケビビンバで語っているならいいか、とも思うが、
検索のヒット数でいえば、ユッケのほうがはるか上。
ユッケビビンバのランキングは44位なのである。
「コロッケパンの話を書いたからコロッケはいいじゃん!」
という理屈はやはりおかしい。
ちなみに、あんまりびっくりしたので、
全メルマガのテキストを総検索してみたのだが……。
ユッケという単語の登場回数。
「わずかに12回!」
脇役どころか、端役としてもほとんど登場しておらず、
そもそも話題にすらのぼっていないのがよくわかる。
メルマガの平均文字数は1号あたり約4000字なので、
前号までの232号をかけて、92万8000字。
その中で12回、計36文字しか登場していないという、
驚異的な存在感のなさを示しているのであった。
なお、その中でもやや存在感を示したのが第74号。
第74号/骨付きカルビって言うな!!
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume74.htm
この号では「チゲ鍋=鍋鍋」的な例を複数取り上げ、
日本における奇妙な韓国料理名を力強く糾弾した。
せっかくなので、該当箇所を転載しておこう。
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さらに、ユッケ刺(グーグル検索:約257件)。
ユッケは漢字で書くと肉膾。膾とは刺身のことである。
わざわざ肉の刺身とうたっているのだから、その後に「刺」の字を入れる必要はない。
また、生ユッケというのも論外。生で食べるからこそ刺身なのだ。
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うん、わずか4行。
この間に3回登場する「ユッケ」のうち、
2度は誤用例というのがまた泣ける。
いちばん目立ってこの状態であるから、
後の例については、いわずもがなとご理解頂きたい。
いったいなぜこんなことになったのだろう。
個人的にユッケが嫌いであれば話はまた別だが、
決してそんなことはないし、よく食べているとも思う。
加えていえば、ここ数年の韓食生活において、
ユッケに着目した時期が、まったくない訳ではない。
昨年頃から、韓国ではユッケがある種のブームで、
専門のチェーン店が、雨後のタケノコ状態であった。
2008年頃から続いた、韓牛ブームの延長でもあり、
僕も2009年末の第211号で触れている。
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精肉食堂と呼ばれる精肉店兼焼肉店が人気を集め、
焼肉とともに、ユッケや牛刺身を専門とする店も登場。
2010年に続くブームとして注目を集めています。
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この時点で、メルマガのテーマにも充分なりえたが、
その直前、ブログでレポートしてしまったのが痛かった。
第211号でも、そちらにリンクを飛ばしている。
韓食日記/韓国でユッケ&肉刺身ブーム到来。
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-1064.html
速報としてブログで紹介してしまったがために、
メルマガでまた書く訳にもいかず、その直後はスルー。
ユッケにとっては千載一遇の機を逃したことになる。
「別に今からでも書けばいいじゃん」
との指摘もあるとは思うが、ひとつ大きな問題として、
注目を集めると予言した今年に、思うほど盛り上がらなかった。
つまるところ、タイミングを完全に逸したのである。
というところまできて僕は困る。
このメルマガをここまで書いてきた流れ上、
やはりユッケの魅力をきちんと書くべきであろう。
これまで、これこれの理由で書かなかったが、
ユッケについても、これだけ熱く語れる内容がある。
それでこそ、調査した意義が出てくるというものだ。
話の展開としても、それで万事丸く収まる。
だが、である。
ユッケという料理はあまりにも有名であり、
わざわざその魅力を語る、というのも芸がない。
なにか韓国での珍しいユッケ体験でもあれば別だが、
それがあったら、こんな話になる訳がない。
「ユッケ、ユッケ、ユッケ……」
おそらく僕はユッケがあまりに有名な料理だけに、
その魅力を、あえて発掘する努力を怠っていたのだろう。
別に嫌いではないし、普段からよく食べているが、
書くべきテーマが見当たらないのは、思い入れの有無。
僕にとってユッケは、盲点の料理であったのだ。
「これではいけない!」
慌てた僕は、ブログの過去記事を検索する。
韓国で食べた記憶がないなら、日本での経験に頼るべし。
祈るような気持ちで「ユッケ」の文字を打ち込み、
リターンキーを右薬指でパチーンと弾く。
これまでブログで書いた記事は1200件以上。
そこにはユッケの話題も、少なからずあるはずだ。
「なにかひとつでも光る内容があれば!」
と願いつつ、表示されたのが下記の一群。
鶏むねユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-931.html
和風のユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-769.html
納豆ユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-765.html
ユッケの温泉卵添え
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-734.html
タケノコのユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-670.html
ハツ刺しのユッケ風
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-643.html
薄切りのユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-632.html
鹿ユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-571.html
アボガドと山芋の炙りユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-509.html
馬肉のユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-409.html
塩味のユッケ
http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-400.html
いやあ、びっくりした。
すさまじい勢いで、いろいろ出てきた。
もちろん普通のユッケもたくさん出てきたが、
予想外に変わり種が多くヒットしてきた。
ユッケって、こんなにもバリエーションがあったのか。
僕が、
「ユッケという料理はあまりにも有名であり、
わざわざその魅力を語る、というのも芸がない」
などと語っている間に、世間は先を行っていた。
あまりにも有名だからこそ、独自の視点で工夫を加え、
わざわざ語るべき魅力を付与していたのである。
その工夫は上の例だけでも多岐に渡り……。
1、食材そのものを変える
(鶏むねユッケ、鹿ユッケ、馬肉のユッケ、ハツ刺しのユッケ風)
2、味付けを変える
(和風のユッケ、塩味のユッケ)
3、具をトッピングをする
(納豆ユッケ、ユッケの温泉卵添え、タケノコのユッケ)
4、切り方の方法を変える
(薄切りのユッケ)
5、熱を加える
(アボガドと山芋の炙りユッケ)
といった形に分析できる。
いずれも固定観念を見事に捨て去った形で、
調理した人の、卓抜なアイデアが光っている。
ユッケとはこんなにも自由な料理だったのか。
かくして僕は今号のメルマガをこう締めくくる。
これまで僕の盲点にハマっていたユッケは、
定番料理でありながら、無限の可能性を秘めていた。
むしろ、定番であるからこその可能性でもあり、
それはまた、他の韓国料理が内包する魅力にもつながる。
真の盲点は、秘めたる可能性を見抜く視点。
教えてくれたユッケに深く感謝をしたい。
<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/
<八田氏の独り言>
なにかうまくまとめた感がありますが、
これまで無為に食べていたということです。
コリアうめーや!!第233号
2010年11月15日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com