コリアうめーや!!第206号
<ごあいさつ>
10月になりました。
ふと気付けば、今年も残り3ヶ月。
秋の気配とともに、年末も近づいてきています。
月の数字がふたケタになると驚きますよね。
8月、9月まではまだ年の半ば気分ですが、
10月になった途端、突然もう終盤という感じ。
今年1年をどう締めくくろうかなど、
つい難しいことを考えてしまったりもします。
来年に向けて、ラストスパートを頑張りたいです!
などと殊勝なことを書いておきながら。
今号のメルマガではちょっと変わった報告を致します。
ある意味、お仕事報告的な内容なのですが、
ずいぶんガラにもないようなことに挑戦しました。
八田くん、相変わらず妙なことをしているな、
と広い心で読んで頂ければ幸いです。
コリアうめーや!!第206号。
ズンズンドコドコと、スタートです。
<堂々完成「スンドゥブ」の応援歌!!>
僕の仕事は文章を書くことである。
名刺の肩書きは「コリアン・フード・コラムニスト」。
韓国の食をフィールドとして文章を書いている。
取材やインタビューで人と接する場合もあるが、
基本的には自宅で、パソコンのキーボードを叩いている。
職業としては、寡黙な部類に入ると思う。
だが、何故か。
ここ最近、寡黙でない仕事も多く頂く。
その代表格といえるのが、人前で話をする仕事。
講演と呼べるほどカッチリした話ではないが、
韓国料理を口頭で紹介する機会がままある。
大学に出かけて学生の前で韓国料理の話をしたり、
あるいは韓国語教室に呼ばれて体験を語ったり。
また一昨年からは定期イベントも行っている。
吉本興業所属の韓国通芸人「チング」の2人と、
東京、新大久保で月1度、韓国関連のトークをしている。
韓国の芸能事情や、生活文化、料理の話などなど。
1時間半の間、あれこれ語って盛り上がる。
はたまた、人前に立って話をするだけでなく、
ラジオ、テレビなどのメディアに呼んで頂くこともある。
スタジオでの収録だったり、ロケに出かけたり。
先日もマッコリをテーマに韓国の地方を1週間巡った。
「八田くんって、いろんな仕事をしてるよね」
と人にいわれることもあるが、
確かに自分でも本業がたまにわからなくなる。
舞い上がって自分を見失わないよう気をつけねばならないが、
貴重な体験をさせてもらえることには素直に感謝をしたい。
ということを踏まえて。
いろいろな活動をさせてもらっている僕だが、
今回のオファーはさすがにちょっと驚いた。
「八田さん、歌を歌ってもらえませんか?」
「は、歌ですか!?」
寝耳に水どころか、鉄砲水。
濁流に押し流されてもがく暇もなく、
そのままあの世に行ってしまいそうなほどの話だ。
あるいは、寝耳に熱湯ほどの衝撃である。
もちろんカラオケとか、そういった話ではなく、
CDに録音し頒布する歌を、僕に歌えというオファー。
目を点にしたまま、しばらく声が出なかった。
「あの、僕でいいんですか?」
歌を歌うというのはかなり素質の必要な仕事である。
歌を生業にする人がどれだけいるかしらないが、
それぞれ血のにじむような努力をしていることだろう。
素人がほいほい請け負うような話ではない。
「いえいえ、八田さんだからいいんですよ」
先方はずいぶん僕を評価してくれていた。
歌に関してド素人なのは、もちろん承知の上で、
それでもぜひ、と声をかけてくれたのである。
「わかりました、ではご協力しましょう!」
寡黙な職業はどこへやら。
メルマガを購読しているみなさん。
僕は歌手になります。
という訳で歌を歌うことになったのだが、
そんなことになったのはきちんと理由がある。
まず歌のタイトルが……。
「平成スンドゥブ節 春夏秋冬編」
スンドゥブチゲを(柔らかい豆腐の鍋)テーマにした歌だ。
丸大食品が販売しているスンドゥブチゲの素、
「スンドゥブ」のPR用としてCD(非売品)を製作。
スーパーの売り場で流す販促品の一環である。
イメージとしては鮮魚コーナーで流れる、
「さかな、さかな、さかなー、さかなを食べーるとー♪」
と似た性質の歌。
まだ日本では馴染みのない「スンドゥブ」という名前を、
歌の力で多くの人に知ってもらおうという企画だ。
であればコリアン・フード・コラムニストの、
僕が歌っていてもおかしくない、という理屈である。
「八田さんだからいいんですよ」
というのはそういう意味だ。
歌が上手さとか、ビジュアルのよしあしとか、
およそ歌手に必要なことは、すべて差し置いて。
韓国料理に詳しい、ということで声をかけて頂いた。
また、実際には僕だけが歌う訳ではなく、
中心的な歌い手として丸大食品の社員が参加している。
バックコーラスには僕の妻とその友人も加わった。
いうなれば韓国料理好きのコーラス隊。
プロDJの鈴木裕介さんが友情出演してくれてはいるが、
彼もまた「スンドゥブ」をこよなく愛するひとり。
要は「スンドゥブ」好きが集まっての歌だ。
実際に録音を行ったのは8月某日。
夏の暑さド真ん中の時期にぞろぞろと集まり、
東京、中野にある本格的なスタジオへと繰り出した。
現場では片方の耳だけに当てるヘッドホンを渡され、
テレビで見たような、録音マイクの前に立つ。
半分、物見遊山のような気分で足を運んだ僕は、
あまりの本格ぶりに、
「うわ、思ったよりも真剣だった!」
とひとり静かにドキドキしていた。
それもそのはず。歌い手は全員ド素人でも、
音源に関わる部分はすべてプロが担当している。
事前に渡されたデモテープも、予想以上の出来だった。
ドギマギしつつも、マイクの前に立つと、
目の前のモニターに歌詞がどんどん流れてくる。
「ス、スン・ドゥブ ス、スン・ドゥブ、ス、スンドゥブ♪」
テンポよく、ノリのいいメロディ。
文章でそれを表現するのはなかなか難しいが、
元の楽曲である、
「ズンドコ節」
をイメージして頂ければだいたい似る。
多少、アレンジは効かせてあるものの、
「平成スンドゥブ節」は「ズンドコ節」の替え歌。
メインのメロディは基本的に同じである。
僕もこの企画があって初めて知った話なのだが、
ズンドコ節というのは、もともと海軍を発祥とする歌。
著作権がないため、氷川きよしやドリフターズなど、
いろいろな人がそれぞれのアレンジで歌っている。
氷川きよしの場合は、
「ズン ズンズン ズンドコ!」
ドリフターズの場合は、
「ズンズンズンズンズンズンドコ!」
少しずつオリジナリティを出しながらも、
メインとなる「ズンドコ」はいずれでも共通する。
そして、そのメインフレーズが、
「スンドゥブとちょっと似ているよね!」
というやや強引な発想がこの企画の発端。
主導したのは、メルマガ第154号にも登場した、
「スンドゥブ」の開発担当、ハイリホー氏である。
コリアうめーや!!第154号
http://www.koparis.com/~hatta/koriume/koriume154.htm
彼が社内のメンバーとカラオケに出かけた際、
ちょっとした受け狙いで、ズンドコ節を替え歌で歌った。
「スン スンスン スンドゥブ!」
それが意外に面白いんじゃないかと盛り上がり、
CD化にまで至ったという、なかなかすごい話である。
ちなみに「平成スンドゥブ節」の歌詞も彼が書いており、
メインボーカルのひとりとして歌にも参加している。
本当に優秀かつ熱意のある方だ。
歌の録音は極めて順調に進んだ。
もともとが素人集団なので何度やっても出来は同じ。
あとはアレンジと、ノリのよさ、セリフでカバーをする。
ガヤと呼ばれる、ざわざわ声を途中に挟んだり、
メインボーカルを茶化すような合いの手を加えたり。
収録をしながらも、あれをこうしたらとか、
これを加えたらといったアイデアが追加された。
「こういうのはとにかく面白がってやるのがいいんです」
というプロデュース担当の方のセリフがあったが、
まさにその通りで、最初から最後まで楽しみながら出来た。
いずれにしても僕らにとっては貴重な体験である。
そして驚くべきことに!
自分でも意外だが、仕上がりがけっこういいのだ。
アレンジ効果か、僕らの素人声もなんとかサマになっている。
もちろんプロに比べればあまりに拙い歌声だが、
スーパーで流れていれば、けっこう耳を刺激するはず。
「これはいいかも……」
関係者一同、意外な手応えを感じている。
そして、今日。
実は10月1日が記念すべきリリースの日だ。
配信時間がすでに2日間際になっているが、
ギリギリタイムリーな話題としてお知らせしたい。
といっても、ショップの店頭に並ぶ訳でもなく、
どこぞの媒体で流れ始めるということでもない。
丸大食品から関係者に発送されたというだけではあるが、
これまで極秘だった情報を、こうしてメルマガに書けるようになった。
すでに一部のスーパーでは流されているそうだが、
後は全国に向けて、どんどん拡張していくだけである。
もちろん全国どこでも流れるということではないが、
販促に熱心なところなら協力してくれるだろう。
スーパーに行くときはぜひ豆腐コーナーに立ち寄り、
歌が流れているか、確認してみて欲しい。
妙にノリのいいメロディとともに、
赤いスープを絞り出し~♪
白い絹ごし加えます~♪
ぐつぐつひたすら煮込んだら~♪
卵を落としてできあがり~♪
という僕らの歌が聞けるかもしれない。
また、歌が流れていなくても、もし商品を見つけたら、
ぜひ1度、その味を試して頂けると嬉しい。
「豆腐と卵ですぐできる」
というフレーズをうたい文句にしているだけあって、
ものの10分足らずでスンドゥブチゲを作ることができる。
料理好きな方であれば、アサリや豚肉を具として加えたり、
ニンニクを刻んで入れたりすると、さらに美味しい。
丸大食品が魂を込めて作った「スンドゥブ」とその応援歌。
どれだけの浸透力を発揮できるかわからないが、
ひとりでも多くの人に、聴いてもらえることを願っている。
それは「スンドゥブ」という商品そのものだけでなく、
韓国料理としての、知名度向上にもつながるはず。
韓国の魅力的な食文化を伝える新たな一手。
積極的な協力ができたことを喜ぶとともに、
さらなる情報発信にも力を尽くしていきたい。
そして、この歌が世間に広く認知された暁には……。
年末の紅白にお呼びがかかったりしないかなぁ。
<お知らせ>
仕事が忙しくHPの更新ができません。
落ち着いたら、まとめて更新したいと思います。
http://www.koparis.com/~hatta/
<八田氏の独り言>
明日、10月2日は豆腐の日。
それもあって今日のリリースでした。
コリアうめーや!!第206号
2009年10月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com
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