コリアうめーや!!第8号
<ごあいさつ>
蒸し暑い日々が続いています。
梅雨が明けるのもそう遠くないことでしょう。
韓国では待ちに待った恵みの雨がついに降ったそうです。
南部地方ではちょっと降りすぎて川が氾濫、
農作物に被害が出たなんて新聞記事もありましたが……。
ま、全体的に見れば喜びの雨なのでしょう。
さてコリアうめーや!!第8号。
暑い夏がやってくるということで今回は鍋料理を紹介。
うんざり、げんなり、ぐったりしながら、
汗をだらだら流して読んでみて下さい。
不快指数をさらに上げつつスタートです。
<鶏一羽でタッカンマリ>
韓国で肉といえば「牛肉」だと思っている人が結構いる。
間違ってはいない。それで正しい。
しかし八田氏は違う。
韓国で肉といえば輝く第1位は「鶏肉」であると強く主張する。
次に豚肉。そして最後に牛肉。(他の肉はとりあえず省略)
その理由。
鶏肉は安く、牛肉は高い。
貧しい留学生のみでそうそう牛肉なんて食べられるものではなかった。
鶏肉料理なら牛肉料理の3倍は食べられるのだ。
この先「コリアうめーや!!」はますますヒートアップし、
今まで紹介されてこなかったコアな韓国料理もどんどん紹介していくつもりだが、
「韓定食」とか「牛カルビ」とかの高級料理はいくら待っても登場しない。
むしろ「焼魚定食」とか「牛カルビでダシを取ったスープ」とかに情熱を注いでゆくのだ。
なんて強がってはいるが、どこまで行っても負け犬の遠吠え。
ほんとは牛肉を食べたいし、偉そうに高級料理を語りたい。
でも、牛肉より鶏肉が1番だと主張するというのはウソではない。
値段を抜きにしても韓国の鶏肉料理はかなりレベルが高いのだ。
第3号で紹介したタッカルビしかり、有名な参鶏湯、タットリタン、ペクスク。
料理の詳細はいずれまた語るとして魅力的な料理が目白押しなのである。
その中でも今回紹介するタッカンマリは鶏肉料理の王道。
人を感動させるために存在する料理と言っても過言ではない。
まずネーミングからして感動的であり、直訳すると「鶏一羽」。
鳥をまるまる1羽、鍋で煮たから「鶏一羽」という、実もフタも、飾りもあられも、てらい
もけれんみも、それこそなーんにもないという実に直球勝負の料理なのだ。
タッカンマリは鍋料理であるから鶏が鍋に入って出てくる。
ニラやネギ、場合によってジャガイモなどが入っているが、それが目に入らないくらい鍋の
中で鶏肉が自己主張している。鶏が1羽、丸のまま鍋に鎮座ましましているのだ。
お客様に向かってお尻を突き出している時もある。
少し火にかけた後、おもむろにこの鶏を食べやすい大きさにカット。
韓国ではこの場合ハサミが用いられる。料理用のやや大ぶりのハサミだ。
このハサミを巧みに操り、柔らかく煮こまれた鶏をハサミでシャキンシャキンと切り裂いて
いくと、これはもう今まで経験したことの無いバラバラ殺人的な喜びが味わえる。
さて、一瞬のうちに「鶏」が「肉」に変化したら、ここでもう食べ始めよう。
醤油をベースとしたつけ汁に酢を加え、ネギ、ニラを薬味として、味の決め手は和辛子だ。
鶏肉をこのタレにつけて食べると、このうまいことうまいこと。
箸なんか使ってる場合ではなく、思わず手にとってむしゃぶりついてしまう。
残ったスープにカルグクス(うどん)を入れて食べてもよい。
鶏のうまさを丸ごと楽しめる、まさに逸品の料理である。
韓国は鶏が安い。
スーパーで見た最安値は2匹で3000ウォン(約300円)だった。
だからこそこういったダイナミックな料理がうまれるのだろうか。
韓国で肉といえば鶏。
それでいいじゃないか。
<八田氏の独り言>
最近家で韓国料理を作ります。
こないだチヂミを焼いたんですが、それを見てうちの妹が
「うわー。おいしそうなコゴミ!!」
<感謝の弁>
推薦文を書いていただきました。
カスタードさん、ありがとうございます。
<お詫び>
前回のカムジャタンに関しひとつご指摘を頂きました。
前半部分で「むしろメインは豚の背骨」としながら、
後半部分で「ジャガイモをメインに食べる料理」であり、
「ジャガイモが主役」と語っているのは矛盾していないかと。
まったくその通りであり、もう1度ジャガイモがメインとした上で、
深く頭を下げる次第であります。ぺコリ。
コリアうめーや!!第8号
2001年7月1日
発行人 八田 靖史
hachimax@hotmail.com